「詩集や本の紹介・感想」カテゴリーアーカイブ

R6.『また夏がきて』78回福島県高校演劇大会で上演(11/30)

全国各県地区の高校演劇大会が終盤を迎えています。島根県大会は11月1,2日に県民会館で開催され、次の3校が中国地区大会(12月21,22日県民会館大ホール)へ出場します。
松江南「ヘルン先生」(演劇部作)、横田高校「サイワイはここにあり青春篇」(伊藤靖之作)、松江工業高校「お手紙かみかみ」(亀尾佳宏作)。それぞれ独自性のある舞台です。

『また夏がきて』(洲浜昌三作)は、平成11年に大田高校演劇部用に書いてラメールで上演した脚本ですが、季刊『高校演劇』や『高校演劇~セレクション2001下』に掲載され,あちの高校などで上演されました。劇研「空」でも『サクラさんの故郷』と改題して平成16年にサンレディで公演しました。数年前に日本劇作家協会が会員の脚本をデジカル化して公開。誘いがあり、少し手を入れて『また夏が来て』をPDFにして送り、デジタルアーカイブに掲載されました。それを見て数校から上演の申請がありました。その中で福島ふたば未来学園高校は地区大会で最優秀賞を受賞し11月29~12月1日に会津風雅堂で開催される福島県大会(41校演劇部加盟)へ出場が決まったと連絡がありました。
ふたば未来学園は演劇を教育の一環として取り入れて活動しているそうです。数年前には全国大会にも出場しています。皆さんの健闘を祈っています。
脚本を読みたい人は、日本劇作家協会のデジタルアーカイブを検索してみてください。たくさん脚本が閲覧できます。

これは10月13日に行われた地区大会用のチラシです。脚本から連想できる示唆に富んだイラストです。
(ブログ:高校演劇『また夏がきて』空20241118洲浜昌三)

R6,芥川龍之介が大田へ来た?(13回「朗読を楽しむ」10/12)

そうなんです。来たんです。大正4年8月。松江出身の友人、井川恭と一緒に。二人は第一高等学校(現在の東大)英文科で同期。芥川が恋が実らず失意の底にあったとき、松江へ招き2週間一緒に過ごしました。そのときに大社や大田の波根へ来て水月亭(今の金子旅館)へ泊まり、海で泳ぎました。写真は波根湖。山側から見た写真です(『石見の100年』より)。戦後、灌漑されて今は一面の水田です。
大正4年7月11日に波根駅は開通したばかりでした。文書を書き残したのは井川ですが、松陽新報(山陰中央新報の前身)に連載し『翡翠記』として刊行されました。

今回の朗読では、この中から大田に関係する文章を中心に朗読します。大田の民話や人麻呂の和歌、芥川の「蜘蛛の糸」なども映像を使いながら朗読します。
前売り券はなし、宣伝もあまりしていません。500円ですが28ページの冊子(朗読した文章を掲載)をお渡しします。
秋は興味深い文化行事がたくさんあります。三瓶でも大森でも魅力的なイベントがあります。どうぞ気軽におでかけください。
(ブログ:詩散歩道 劇研「空」 朗読  20241011洲浜昌三)

R6,うめのしとみ詩集『どきん どきん』第24回中四国詩人賞受賞(高知大会9/21)

9月21日、高知会館で中四国詩人会・高知大会が高知会館で開かれ、決算予算、行事報告や計画を審議。40数名の参加者がありました。開催要項を紹介します。
高知駅南口に降りると、広場にステージがありテントの中に椅子が沢山並べてありました。さすが土佐の高知。そこには坂本龍馬、武市半平太、中岡慎太郎の像と説明板がありました。
閑話休題:中四国詩人賞は7月に岡山で開いた選考会(瀬崎、橘、小野田、八木、洲浜)で、うめのしとみ詩集「どきん どきん)に決定し、この大会で表彰することになっていました。選考委員長洲浜が選考過程と詩集を紹介し、詩集の中から「彼はわたしの兄で」を朗読しました。

7月の選考会では10冊について一冊ずつ意見や感想を述べ合い最終的には投票で決めました。上位得点詩集『どきんどきん』『北浦街道』『星の子』の3詩集について話し合いをつづけた結果、『どきんどきん』を受賞候補とし、午後の理事会で承認され決定しました。以下、「中四国詩人会ニューズレター」54号に掲載された文章です。それぞれキャリアのある詩人の詩集で甲乙つけ難く、読み応えのある詩集です。3詩集の寸評を引用します。

詩集『どきん どきん』大阪市 詩游社発行2千円 うめのしとみ、山口市赤妻町在住 本名 三好征郁子 「GAN]「詩游」に所属)

『どきんどきん』(うめのしとみ):日常を素材にしながら、独自の自由な発想と冷静でリアルな観察眼で切り込み、予期しない表現で「どきん」とさせて、そこに常識を剥ぎ取った新鮮な世界が見えてくる。同時に驚きや発見、面白さ、ユーモアも生まれてくる。言葉を固定したイメージではなく、表現したいモチーフを表現するために自由に駆使する言語感覚は際立っていて注目した。著者の第一詩集だが、長いキャリアと実績のある詩人。

『北浦街道』(魚本藤子):見慣れていて、その良さや本質を忘れたり気が付かなかったものや広い世界が、力みや構えのない柔軟な表現から浮かび、慈しみを持って生を見つめてきた作者の温かい心情が伝わってくる親しみのある詩集である。詩歴の長い著者の第6詩集。

『星の子』(伊丹悦子):端的な言葉でモチーフ探り表現しようとする詩には力感や深みがある。生や死、愛、葛藤など内面世界を見つめた思索的志向が根底にあるが、歴史や時代性の中で書かれ、モチーフが現代性を帯びて生きている。著者の第7詩集です。
懇親会では、何十年ぶりにお会いした人たちと話がはずみました。次の写真は岡山の岡隆夫先生、高知の林嗣夫先生とのスナップ。林先生は米寿とか。詩の朗読もされ、詩について朗々と弁じられましたが、背筋はピンと伸び、言葉も明晰で力感に溢れ圧倒されるとともに感動しました。記念すべきスナップです。

賞状を授与される、うめのしとみさん。受賞の挨拶をされたあと、詩「野口五郎で待ち合わせ」を朗読されました。ユーモアと親しみがある味わい深い詩です。来年度は岡山で開催予定です。
(ブログ:中四国詩人会 詩集紹介  0240928洲浜昌三)

 

R6,第48回中四国詩人会理事会,中四国詩人賞選考会(7/13)・・高知大会は(9/21)

7月6日岡山国際交流センターで表題の会が開かれました。10時から第24回詩人賞選考会が開かれ5人の選考委員(小野田、瀬崎、橘、八木、洲浜)が10冊の詩集について感想や意見を述べたあと2回の投票で最終決定しました。それぞれ特徴と味のある作品で、いつものことながら苦渋、苦痛、苦労の多い選考でした。発表は後日、事務局(川辺真)からマスコミなどを通して行われます。ここでは、素晴らしい詩集の背表紙だけ紹介します。興味の或る人は是非、読んでみてください。
参考までに事務局作成の1回から23回までの受賞詩集一覧を紹介します。

今年度の大会は9月21日(土)高知会館で開催予定で、実行委員長にの国友さんが着々と準備を進めておられます。その大会で中四国詩人賞の授賞式が行われ、選考委員長洲浜から選考経過報告が行われます。宿泊ホテルは早めに予約してほしいとのことでした。

理事会では、予算、決算、行事予定、高知大会、中四国詩人集刊行、その他、様々な問題が審議され承認されました。高齢化、会員数減少、活動の仕方等々、抱えている問題は多々あり、様々な意見が出されました。詳細は後日、事務局から送られてくる「ニューズレター」を御覧ください。
(ブログ:中四国詩人会 詩の散歩道 20240715洲浜昌三)

R5,「この土地に生きて~島根で出会った詩人たち~」(「詩と思想」11月号より)

月刊詩誌「詩と思想」が、「この土地に生きて」というタイトルで各県の詩人を取り上げています。島根の詩人について執筆依頼があり、11月号に掲載されました。書店にもなく、読めない人が多いので紹介します。
編集部から与えられたテーマは次のとおりです:
「心に残っている詩人」「現代の詩に重要な貢献をしているが、一般には広く知られていない詩人」「ご当地で出会い印象に残っている詩人などの功績」
いろいろ考え悩みましたが、「現代の詩に重要な貢献」「詩人の功績」などという観点で取り上げるのには荷が重すぎますし、勝手な評価をして誤解を生む可能性もあります。そこで、「心に残っている島根の詩人」「印象に残った詩人の詩」という観点から執筆しました。限られたスペースなので、取り上げる詩人の数も限りがあり、紹介する文章も十分意を尽くせないものになりましたが、現在の詩誌、「石見詩人」「山陰詩人」「践草詩社」から印象に残っている詩人を紹介しました。

『 詩と思想 』は土曜美術社出版販売 が発行している 月刊 の詩 の 雑誌 。 1972年(昭和47)の創刊で、ぼくは創刊号からの会員です。総合商業詩誌であると同時に、編集は詩人たちが行うことで一貫しており、全国の詩人・詩愛好者のための共同の詩の広場作りを意図する運動誌的性格をも持っています。PRでした。
(ブログ:詩の散歩道  詩集や本の紹介  島根県詩人連合 20240328洲浜昌三)

R5,中尾一郎詩集「猫町Diary」第23回中四国詩人賞

10月21日、広島ガーデンパレスで中四国詩人会大会が開かれました。総会で事業報告、役員改選、事業計画など審議の後、詩人賞の授賞式が行われました。審査委員長を努めた洲浜が経過報告。長津功三郎会長から岡山の中尾一郎さんへ賞状と副賞が授与されました。中尾さん、おめでとうございます。

詩集『猫町diary」は、猫との間に生まれた思いを、肩の力を抜いた自然な言葉で表現した詩で誰でも気楽に読める詩集です。哲学的な思考から生まれた言葉や何気ないユーモアのある詩や深みがあり心を打つ詩もあります。力を抜いたライトヴァースに近い詩には現代性があり親しみが生まれます。「詠嘆の深奥を覗くというより、詠嘆している自己を描くという方法論が作者の独自の視点。片意地はらずに世界そのものをさらりと抜け出すような爽快感に満ちた詩集」「胸にスーッと入ってくる。生き物に対する思いやりがあり楽しい詩集」等々、心に残る読後感、という点で特に高い評価がありました。おめでとうございます。

出版社は土曜美術出版販売,定価2200円。難解だと思って敬遠していた現代詩に、きっと親しみが湧き励まされますよ。

今回で長津会長が退任、岡山の壺坂輝代さんが会長に選任されました。副会長は北村均さんと國友積さん、事務局長だった川辺真さんは理事長と兼務。新たに事務局員とし中尾一郎さん、田尻文子さん、会報は川辺さん、書紀として日笠芙美子さん。また総務理事として池澤、一瀉、菅野、橋本、三好、森崎、吉田、明石、片山さんにお願いすることになりました。各県理事も承認されました。顧問は、長津、岡、高垣、洲浜。来年は高知で大会を予定しています。コロナ禍や高齢化など困難なことが多い時代ですが、二度目になる高知での大会を楽しみにしています。
(HP:中四国詩人会 詩の散歩道 詩集紹介20231025洲浜昌三)

R5,「朗読で楽しむ郷土の民話」約40話より選抜

2023年度は、大田市民会館カルチュアー教室で、「郷土の民話」をみんなで朗読してきました。約40話くらい読んだことになりますが、まだまだたくさんあります。しかし時間も限られていますので、8月2日のカルチュアー教室で、今まで読んだ民話の中から、12回「朗読を楽しむ」(9月30日)に発表する民話を選び,朗読し易いように手を入れ、印刷して冊子にしました。読みたい人があればとどけます。

・たにし息子 ・草鞋の中の石  ・鼻なおし ・兵児かかや
・雷のごちそう・長い名前の子ども・茂ヱ衛門キツネ
・茂右衛門狐 ・尻焼兵左衛門  ・一王・仁王物語
・丹波五反田の石塚       ・三瓶姫逃池物語

できれば、朗読する舞台のスクリーンに絵をプロジェクターで投影したいのですが、残念ながら我がメンバーにはそれができる者がいませぬ。だれかいないかな、と思うのですが、いません。絵が好きな子どもさんでもいいんだけどね。高校の美術部はどうかなと思ってある顧問に話したけど、話しただけ、さあ、どうする。どがしょうかな。こがすりゃどがかな、という人はおらんかな、方言の民話もあるけ、方言がうまく話せる人もほしいな。
(ブログ:詩の散歩道 劇研「空」お知らせ 20230821洲浜昌三

R5,千早茜作『しろがねの葉』&「石見銀山の小説と詩」(『山陰文藝』57号)

「山陰文藝」57号は5月1日に刊行されました。3号続けて短編集説を書きましたが、今回は石見銀山を舞台にした小説『しろがねの葉』が直木賞を受賞、素晴らしい小説でしたので触発されて「石見銀山の小説と詩ー何をどのように描くかー」と題して日頃考えていたことを評論として書きました。日本海新聞と山陰中央新報に紹介されましたので参考までに紹介します。日本海新聞を島根で読む人は少ないかもしれませんが、以前から郷土の同人誌など丁寧に紹介しています。詩を取り上げる新聞は稀になりましたが、同紙は詩を公募して選考し掲載しています。俳句、短歌、川柳は毎週掲載しても詩を載せることはなくなりました。そういう時代なんですね。

「石見銀山の小説と詩ー何をどう描くかー」は7ページありますので、PDFにして紹介します。時間泥棒評論の可能性がありますので、興味がある場合にだけクリックしてくださいTime is money、
Time never comes back again です。
R5,2 エッセイ「石見銀山の小説と詩ー何をどのように描くかー」,『山陰文藝』57号 原稿 11ポイント,22行×25字×2段 jtd

興味のある小説、エッセイなどたくさんあります。目次だけ紹介します。

58号の〆切は8月末だそうです。連絡は事務局(松江市外中原町15-1 額 重敏)へどうぞ。参加大歓迎です。

追記:この57号に掲載された小説などの寸評を58号に書きましたので、PDFで紹介します。
「山陰文芸」57号 寸評記 
(ブログ:詩の散歩道 地域情報 本の紹介 20230703洲浜昌三)

R5,「朗読で楽しむ郷土の民話」(5/24 報告)

スタートが遅くなったので、今回が、第一回目の市民会館カルチュアー教室です。民話や伝承を印刷した16ページ分の冊子を配布して6人で朗読しました。今回は次の本から転記しました。
「たにし息子」「鼠の浄土」(山口町の大谷千代宝さんの語り)
「鳥井地名の由来」「鳥井の石弩城」「若宮さま」「成ヱ門キツネ」「お松きつね」などを朗読しました。
三瓶山口町の民話は、語り口が出雲弁に近く内容も示唆に富んで面白い展開でした。面白いものは、手を入れて再生したいと思っています。次回は6月7日です。
(ブログ:劇研「空」詩の散歩道  本の紹介 20230627洲浜)

R5,詩集「春の残像」書評「石見から世界と心を見つめる」佐相憲一(「コールサック」97号)

詩集「春の残像」(洲浜昌三著)は2018年12月の出版で、編集を担当して頂いた佐相憲一さんは「コールサック」97号へ書評を執筆されました。身に余る心の籠もった書評です。行間や言葉の背後から目指すべき指針が見えてきます。
この書評を他の手段でも公表させて頂く許可は頂いていたのですが、そのままになっていました。読んでみたいとい声もあり、ここで紹介させて頂きます。
出版後にはたくさん感想や書評を頂き、感謝しています。まだ整理しきれていませんが、貴重な声を大切にまとめて置きたいと思っています。この詩集は「22世紀アート」から電子書籍、Kindle版にもなっています。実験的に試みてみましたが、現実をしっかり学ぶことができました。佐相さん、ありがとうございました。
またいつか西の果て石見大田でカンパーイできればいいですね。
(ブログ:詩の散歩道 本の紹介 20230123洲浜)