「観劇」カテゴリーアーカイブ

H30 三刀屋 横田高 最優秀賞(高校演劇島根県大会)

第42回島根県高校演劇発表大会が10月19,20日、県民会館で行われ、8校が高校生らしいエネルギッシュな舞台を展開しました。5人の審査員の話し合い投票の結果、三刀屋高、と横田高演劇部が一致して選ばれ、鳥取で行われる中国地区大会へ出場することになりました。ひとまず速報として紹介します。舞台風景として写真も紹介します。
三刀屋は「続  人生ゲーム」(顧問・亀尾佳宏作)演劇を心得た部員たちの発声、表現、動きはとても自然で安心して見ておれました。観客を巻き込み、面白く展開していく楽しい舞台でした。先生役も流暢な言葉で堂に入った演技でした。ゲームは先生によって事前に仕組まれたという設定だったのでしょうが、先生も生徒と一緒に遊べば、同時進行的なヒヤヒヤ感や臨場感が更に高まったかもしれません。3年連続中国大会出場です。
横田高は初めての中国大会出場です。一昨年、初めて県大会に出場しましたが、その時は放送部として参加しました。今年の四月に「演劇・放送部」に改名されての参加です。きっと部員や顧問が頑張ったのでしょう。謝謝です。生徒が減少し部も縮小されていく現状に対応するためには、「舞台芸術部」とか「演劇・放送・文芸部」のような発想が必要ですね。

横田の劇は「雨はワタシの背中を押す」顧問の伊藤靖之先生の創作です。無駄のない凝縮されたような見事な舞台でした。照明や装置、人物の動きなどを含めたスムーズな展開、舞台処理のうまさ、自然な発声など完成度が高い舞台でした。セリフや象徴的な場面の設定は詩的な舞台を思わせました。
脚本にも工夫と深みがあり、場や状況に埋没したセリフではなく、複眼的な批評性を通過して出てきたとも思える起立した言葉が印象に残りました。少女の母の扱いについては、いろいろな意見が出ました。よく練られた完成度が高い舞台だっただけに、ちょっとした疑問が尾を引きます。

生徒創作脚本賞は松江工業高校の広沢ヒロさん、奨励賞は掛合分校に送られました。掛合の舞台も独創性があり、今までの県大会では見られなかった新鮮な表現がとても印象に残りました。その他の学校もそれぞれ特徴や見どころがあり、充実した二日間でした。みなさん、おつかれさまでした。三刀屋、横田高のみなさん、鳥取梨花ホールで見事な舞台を存分に発揮してください。
(ブログ 詩の散歩道 観劇 高校演劇 20181022 すはま )

H30 「ますだ演劇祭」観劇記(5/20)

1018,5,20 益田市のグラントワで「ますだ演劇祭」が開かれました。


上演した上演団体は次の通りです。

①浜田高校演劇部「渡る異界はクズばかり」 作・ピクト
②石見国くにびき十八座「この道をつないで」作・金田サダ子
③明誠高校演劇部「七人の部長」 作・越智優 潤色・渡辺聖梨 演出・熊谷莉緒 渡辺聖梨
④劇団ハタチ族「跳べ、守護神!」作・土橋淳志 演出・西藤将人
⑤市民演劇集団「ドリームカンパニー」「私の黄色いハンカチ」作・大畑喜彦

「誉め合いや、ただのイベントで満足するのではなく劇評をお願いします」と、実行委員の1人・ハナモト彩音さんの声掛けで、当日は劇研「空」の山本くんと観劇に行きました。10ページの観劇記はすでに送りましたが、読めない人もありますので、PDFで紹介します。興味のある人はどうぞ。

H30、観劇記 「ますだ演劇祭観劇記」5月20日 グラントワ

第二回があるかどうか未定ですが、張り切っておられます。おつかれさまでした。
(ブログ 詩の散歩道 観劇 すはま)

H30,4 観劇記「コーヒーと共に生きた男 三浦義武」

3月24、25日、浜田の石央ホールで上演された創作劇「コーヒーと共に生きた男 三浦義武」の劇評を頼まれていましたが、4月12日の山陰中央新報文化欄に掲載されました。字数が限られていますので、十分なことは書けませんでしたが、参考になればと思います。劇や小説など文学作品は100人いれば、100人の感想があります。この劇評もあくまでone of themです。これじゃ読めませんよね。字が小さし上にボケている。PDFで紹介します。

H30,4 新聞 観劇記「コーヒーと共に生きた男 三浦義武」山陰中央新報_

当日のプログラムを記録として風景写真で紹介します。

公演前にもブログで紹介しましたが、脚本、演出の美崎さんは、浜田高校演劇部が全盛期時代、昭和56年に「オズの魔法使い」を演出、出演して全国大会へ出場しました。高校演劇ではまだミュージカルなど上演しない時代でした。舞台上で大勢のアンサンブルを見事に振り付けて演出する力量は当時から身についていたものでしょう。「ベテランと一緒に初めて舞台に立つ人もいると思うけど、どのように演技指導しているんですか」と聞いたら、「その人の持ち味を生かすようにしています」との答え。なーほどな、と感心しました。

アンサンブルの処理の見事さという点では、この公演の一週間後に雲南市のチェリヴァホールで上演された創作劇「水底平家」(亀尾佳宏 作、演出)にも感心しました。次々と展開されるシーンで大勢の武士を見事にさばいていき、劇の流れをうまく演出していました。我が劇研「空」の山本くんも出演しましたが、キリッ!と引き締まったセリフは場面も引き締めましたね。濃密な時間が流れる舞台に圧倒されました。

石見と雲南で同時期に素晴らしい創作劇が上演されました。みなさん、おつかれさまでした。(ブログ 詩の散歩道 観劇 すはま)

H30 大田市で懐かしい「活弁公演」(3/3)

2018,3,3 大田市民会館中ホールで、「活弁公演」がありました。吉岡長太郎フィルムコレクション、長太郎活動写真弁士保存会の石川晩酌さんと影山酒時さんが弁士として見事な活弁を披露されました。大田市文化協会主催。中ホールで約30人が懐かし映像と活弁を楽しみました。
最初に昭和初期の飯南町周辺で撮影されたフイルムが上映されました。当時の元気な若者や子供たちが参加した行事が次々と映されました。貧しいけど活気に満ちています。全国的にも貴重な記録フイルムです。長太郎さんが撮影されたものです。

長岡長太郎さんは明治24年飯南町真木に生まれ、20代に幻灯と映画に注目し、映写機やフィルムを購入してリヤカーに乗せ、県内や県外を上映して回られました。当時は無声映画ですから長太郎さんが弁士を務め、奥様のサダさんが機械を操作されたそうです。

長太郎さんは昭和39年に他界されたそうですが、貴重なフイルム(175タイトルもある)を飯南町に寄贈され、現在頓原町公民館が管理、活動写真弁士保存会が活用しています。今回はアニメや「血煙高田の馬場」(約10分)「実録忠臣蔵」(約25分)が活弁付きで上演されました。画面と弁舌に違和感がなくピッタリでした。活弁のライヴですから、劇と同じように生身のリアル感があり退屈しません。当時フイルムは何度も切れてつないでいるので短くなったとか。そのため映像のテンポや活弁の変化やスピードも速く、退屈する暇がありません。大河内伝次郎や片岡千恵蔵伴淳三郎なども登場しました。

ぼくは活弁を実際聞いたのは初めてです。子供のころ田所公民館で映画はよく見ましたが、いつも満員でした。当時はトーキー映画でした。無声映画はありましたが、活弁付きではありませんでした。今回の公演を聞きに行ったのは、大田市の相生座でも上演されただろうと思ったからです。終わってシュジさんと名刺を交換しいろいろ話しました。出前公演をやっておられます。

【閑話】このブログで、昨日グラフが急上昇した項目がありました。「吾郷水木生くん島根凱旋公演!」です。ナンデカナ ナンデダロウと思ったら、昨夜NHKテレビで、「のど自慢チャンピオン大会」が放映されました。チャンピオンになったのは加藤大和さん。素敵な声と表現で「指輪」を歌われました。作詞作曲が大田市出身の吾郷水木生くんです!うれしい話ですね。吾郷くん、またいい歌を作ってください!(ブログ 詩の散歩道 観劇 昌ちゃんの演劇だより)
http://stagebox.sakura.ne.jp/blog/2005/06/26/吾郷水木生くん島根凱旋公演!/

H30,大田ミュージカル講習会の成果「フレンズ」発表(1/21) 

大田市民会館の主催事業として今年も「ミュージカルスクール」が、昨年12月から土曜、日曜に6回開かれ、7回目の最終日、21日に中ホールで成果が発表されました。会館スタッフの全面的なバックアップがあり、音響や照明器具などもフル活用。ライトは50台くらい釣込んであり、楽しそうに歌い踊る19人の舞台を彩り浮かびあがらせました。
わずか20分の上演ですから、あっという間におわりましたが、充実した舞台でした。初心者も多いのですが、笑顔を見せ楽しそうに演じていましたので、観客も安心して楽しむことができました。いつものように「風花」の卒業生や現役の経験者たちがしっかりとリードし、中心を固めていました。

講習の成果発表が目的で、わずか20分の上演なので、ストーリーの骨格披露、という感じでしたが、あちこちでプロのヒラメキを感じました。神話の人物が現在によみがるとき、ホリゾントへ時計を投影して何千年の距離を一瞬の身近な時間として暗示したり、浮き布の池の大蛇が人間に変身する場面では、太鼓と和楽器の演奏とても活きていました。終演後、作曲・編曲を担当された川崎さんと話し、作曲の一端をうかがいました。短期講習とはいえ、3人のプロ(脚本・佐藤万里、演出・三浦克也、音楽・川崎絵都夫)が関わった舞台。超贅沢舞台、超受恵舞台です。短時間の舞台ですが見事に出来上がっています。

現地指導者として、いつものように「レイココンビ」を忘れてはいけません。。歌唱指導は中村玲子さん、振り付け指導は岩根礼子さん。礼子さんは「S3-1」出身なのだ。(わかる人にしかわかりませぬ)当日も動き回って世話をしていました。オツカレ!
山陰中央新報も二回紹介しています。記録として遠景で紹介します。読みたい人は購入するか、1/23,1/25日の石見版を図書館で見てください。こういう舞台での子供さんたちの経験が、内面を豊かにし、いろいろな場面で必ず活きてくることを確信しています。みなさん、おつかれさまでした。(ブログ 詩の散歩道 地域情報 観劇 すはま)

H29, 作陽高校演劇部 最優秀賞 全国大会へ

第55回高校演劇中国地区大会は、2017年12月23,24日、下関市民会館で行われ、最優秀に作陽高校の「待ちの風景」(山崎公博 作)が選ばれました。来年8月長野県上田市で開催される全国大会へ出場します。

優秀賞3校は、広島市立商業「八月五日」(黒瀬貴之 作)、岡山工業「やっぱりパパイヤ」(阿部 順 作)、三刀屋高校「まちこのこまち」(亀尾佳宏 作)でした。
(会場とても広い。約1400席。2階席がないので後部席は舞台から遠い)

電車の都合で全部は観劇できませんでした。作陽高校は立体的な舞台装置がとても効果的で劇を引き締め、イメージを広げ、劇を凝縮していました。ラストのすばらしいシルエット劇でも装置が役者の動きを立体化、効果的にし素敵でした。二人の会話も生きていました。広島市立商業は、多分近年では初出場だと思います。粗削りなエネルギーが魅力でした。これは大切です。最近みんな演技がうまくなり、うまさが類型化しパターン化していていました。うまければいいというもんではありません。岡山工業は演出が見事でキャストが登場人物を過不足なく的確に表現していて統一感がありました。
三刀屋は舞台や客席を自由に使って意欲的な演出の劇でした。出だしのマチコの語りも魅力的で、合唱とともに動く集団演技もステキでした。大健闘しましたが、劇が集約型というより拡散型でしたので、作陽高校と対照的でした。テーマは拡散するより、「深く井戸を掘れ、そうすればいろいろな水脈に出会う」というほうが、一時間の劇ではインパクトが強くなる気がします。松江工業も健闘しましたが、ラメールでは舞台が狭いので、目の前で役者の動きが身近に感じられましたが、この広い舞台空間ではどうしても劇が遠い風景のようになります。また、場面が多いので展開が細切れになる印象が残りました。山口県光高校の「彼方此方、知り吾」(緋岡 箒 作)はまさに「激」でした。目の前の平和な日常の中で激しい戦争場面が同時展開されるのです。実験的ともいえる刺激的な舞台でした。
帰りは新山口から津和野→益田→浜田→と乗り換え、江津止まり!時刻は23時30分!大田までの電車なし!激しい風雨!寒い!タイヘンデシタ。
みなさん、おつかれさまでした。(ブログ 詩の散歩道 高校演劇)

H29, 独創的な新作オペラ「石見銀山」大田で誕生(観劇記)

7月2日、大田市民会館大ホールでオペラ「石見銀山」が昼夜2回上演されました。いずれも満席、終わると何度もカーテンコール、お客さんは大きな拍手とスタンディングオベーションで感動と感謝を舞台へ届けました。(ここで感動的な舞台写真を紹介したいところですが、できないので、世間に流布済みのチラシでどうぞ!)

石見銀山世界遺産登録10周年記念事業として実行委員会が結成され、オペラユニット「レジェンド」の皆さんの絶大な協力によって生まれたオペラです。日本で生まれたオペラは多くありません。作曲、脚本、オーケストラ、舞台美術、歌手、ホール、経費等々、難問の山だからです。それだけに作曲家、脚本家にとってオペラ創作は悲願だそうです。その悲願が石見銀山を舞台にして実現したわけですから、大田市にとっても大きなcultural heritageです。

昨年、オペラに石見神楽を取り入れる、と聞いた時、どうなるかと危惧しました。今まで劇に神楽を取り入れた舞台を見たことがありますが、みな付け添えでした。しかしこのオペラは神楽を中心に据えて創作されました。テーマの中心や周辺で神楽が重要な働きをしていました。この点について大屋神楽代表の松原さんも感心しておられました。脚本の吉田知明さんは真正面から堂々と取り組まれたのです。(神楽の場面は、銀山の鉱夫たちがお祭りで石見神楽を観て楽しむ、という場面だけと思っていた人が多いのではないでしょうか。制作者にも練習にも、その方がはるかに楽です)

事務局長の谷本さんから電話があって、4月初旬から演技やセリフに関してほんの少し係わったのですが、学ぶことがたくさんありました。台本は385ページ!楽譜や歌詞や総てのことが書き込まれています。あちこちにあるセリフや時間の流れも、すべて音節最優先です。「ここでもっと間をとってください」などと言ったら、流れやテンポが台無しです。花音の皆さんを中心にした合唱はかなり仕上がっていました。しかしあちこちにある劇に近いセリフ、40人近い鉱夫たちの舞台での集団演技。それは単純で簡単そうに見えても、とても難しい。振り付けの嘉田さんは東京の中村さんとメールでやりとりしながらノートにメモして頑張っておられました。現地にこういう人がいないと、積み重ねた練習が振り出しのもどります。音楽の指導者をはじめスタッフの皆さんの大奮闘に頭が下がりました。

(練習中の舞台。手前は山陰フィルハーモニー管弦楽団 指揮は中村匡宏さん)

練習中の中村匡宏さんの「一瞬一瞬を、つまらないとは思わせないようにする」といわれた言葉が、度重なる練習を通して本番の舞台で実現したのを目の当たりにしました。
石見銀山の民謡やそれを基調にした音楽や歌も素敵でした。今でもふと気がつけば、メロディや歌が耳で響いていて、驚くことがあります。衣装や舞台装置も素敵でした。最初、鉱山の女性労働者に白い衣装?と一瞬思いましたが、ナールホド、とその舞台上での効果に感心しました。

オペラがクライマックスを過ぎると、何故か「魂の救済」という心情が伝わってきました。古来からの純粋に日本的な魂の救済ですが、オペラの本家である西洋の人たちの目には不思議な魅力があるのではないかと思いました。科学的、合理的ではない未知の不思議な世界です。9月25日には新国立劇場で上演予定で、チケットは完売だそうです。今後の発展が楽しみです。すばらしいオペラをありがとうございました。おつかれさまでした。東京公演、成功を確信しています。

追記 参考までに:
脚本について数名の人から疑問や質問がありましたので、参考までに記しておきます。
島根県史資料編に「おべに孫右衛門ゑんき」が掲載されています。その中に次のように書かれています。(「清水寺天地院縁起」にもほぼ同様な記述があります。「石見八重葎」にも)

『おべに孫右衛門ゑんき』(一名『銀山旧記』)
石州仁万郡佐摩村白銀掘り初る事
大永六年丁亥三月廿三日ニ山人仕候、
此白銀仕始る者ハ、雲州田儀三島清右衛門殿、大工をつれ来る事、
雲州杵築の内鷺の銅山より下り申候、
大工吉田与三右衛門殿、同藤左衛門殿、おべに孫右衛門殿三人頭として銀を掘申候
大永八年八月十八日おべに孫右衛門殿事を山の敷ニて打果し候、然ル処に吉田与三右衛門殿、同藤左衛門殿、両大工に罷成候、左様二候処、孫右衛門両大工に種々崇をなし候而、 今の山神の脇ニ社を立置候、妻の山神と申すハ是なり、

大屋神楽の創作神楽「於紅谷」のあらすじ:
与三右衛門の妻・「お高」は、孫右衛門に恋心を抱いた。そのため孫左衛門は吉田兄弟に殺され、お高も自害。怨念から竜蛇になって祟(たた)り、銀山には災いがつづき銀の産出量も減少。見かねた大山津見命が竜蛇を退治し、お高の怨念を払い孫右衛門の御霊を土山津見命と讃え、お高と共に祀り、銀山に平穏がもどった。

「孫右衛門縁起」には「お高」という女性は出て来ません。『新 石見銀山物語』を執筆された故・石村勝郎さんが、原典からイメージをふくらませ、お高という女性を創作、6ページにわたって悲恋と怨念、救済の物語を書かれました。大屋神樂の「於紅谷」は、これを参考にして創作されたものです。男女の怨念という普遍性や現代性もあり、魅力的な創作神楽です。

石村勝郎さんの本は十数冊本棚にありますが、いつも利用させてもらっています。新聞記者で郷土史家でもありましたが、詩人でもありましたので、歴史的記述のなかに、あちこちで空想的な物語が入り込んでいます。実証的でないという人もいますが、僕には石村さんの自由な発想がとても面白く、物語の核となり、広がっていきます。石村さんの功績を忘れてはいけない、という思いで、長々と書きました。たいくつさまでした。(e? taikutusinai? kokomade yomu hitowa oran. souka, soudane)(ブログ 詩の散歩道 観劇記 地域情報  20170708すはま)

H29 大田市波根で現代劇『ちゃんぽん』上演(観劇記)

5/14、波根町で『ちゃんぽん』(ユン・ジョンファン作、津川泉訳、演出・金築秀幸)が上演されました。チラシに「ニルソンカフェ」で上演とありましたが、旧石原旅館の舞台付き広間でした。カフェは同じ屋敷内にあります。旧旅館は、以前何回か行ったことのある懐かしい場所ですが、久しぶりに行ったので行きすぎて迷い、引き返して人に尋ねて、やっとたどり着きました。波根駅のすぐ近くでした。

なんといっても嬉しかったのは、劇場やホールではなく、普通の広間で現代劇を上演されたことです。会場を貸し出されたヒラタさん、上演を決意された劇団フレンズ装置の皆さんの心意気に感銘を受けました。ホールなどで上演すれば大金が必要です。前売り券も何千円になり、事務的な仕事や苦労も倍増。長続きしません。気軽に発表出来る場が必要です。「飲み物や食べ物は厳禁です」ではなく、「ビールでも飲みながら観劇してください」と、入口で飲み物や菓子類も販売されていました。いいですね。本来日本の地芝居は石見神楽と同じです。観客と共に楽しむ場です。うまく演じれば自ずと観客は静かになります。

脚本は韓国戯曲作家協会戯曲部門新人文学賞を受賞した作品で、多数の死傷者がでた1980年5月の光州事件を素材にした劇ですが、政治的な大事件を、「春来園」という小さな料理店で働く庶民の立場で、うまく絡ませて描いていました。店主ジャンノと恋人ミラン、ジャンノの妹で店員ジナ、その恋人マンシク。ケンカもしながら、みな普通のささやかな夢を持って生きていますが、次々と大事件に巻き込まれていきます。突拍子もないマンガチックな場面も多いのですが、それを重ねて、「普通の夢が失われていく悲しさ」を舞台にあぶり出していきます。三人を失った店主のジャンノが回想するラストシーンは感動的でした。ジャンノの目にも涙があふれていました。好演でした!

劇というものは、あくまでフィクションで作り物で嘘ですが、その「嘘」から「真実」(うそからまこと)を創り出すのも劇です。おもしろおかしく奇想天外なフィクションを積み重ねてお客さんを楽しませて引っ張り、その中から一つの真実を紡ぎ出し突きつける ー そのうまさを見た気がしました。

劇では、劇への切り換えがなんとなく進んだことや、出だしの演技やセリフにも日常性がありすぎて、普通の人が劇じみたことをしている感じがしましたが、ストーリーが展開しテーマとのからみが見えてくるにつれて、だんだん迫真力が出てきて、それぞれの人物にも血の通った人間性が見えてきて、展開とともにそれが統合され、最後は感動的でした。発声や滑舌にはちょっと個人差がありましたが、スピーデーにセリフ喋り、言葉がわかる点ではかなり練習を積み重ねておられると思いました。

出雲や雲南では、最近特に、若い人たちの演劇活動が活発になりましたね。その余波が津波のように波根まできたのでしょう。大田よ!どがするだ。

帰るときに、ヒラタさんが、「ここで朗読をやりませんか」と声をかけられました。そのうちニルソンカフェへ行ってゆっくりコヒーでもビールでも味わいながら話してみましょう。

みなさん、おつかれさまでした。いろいろな意味でとても刺激になりました。ありがとうございました。
(ブログ 詩の散歩道 観劇記 すはま)

H28 松江工業 三刀屋高 中国大会へ(高校演劇県大会)

第40回高校演劇島根県大会は9校が参加して加茂町のラメールで行われ、松江工業と三刀屋高校が最優秀賞を受賞し、中国大会への出場が決まりました。充実したレベル高い大会でした。中国大会は11月26,27日、総社市総合文化センターで開かれます。
dsc07549%e3%83%a9%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%83%ab(ラメールです。童話に出てくるような夢のあるおもしろい建物ですね)

島根県大会 雲南市加茂文化ホール ラメール
 横田『眠れる森の少女』(作:伊藤靖之)奨励賞
松江農林『めろん』(作:高橋幸雄)、
松江商業『Canon~大きな桜の樹の下で~』(作:伊藤靖之)
三刀屋『笛男~フエオトコ~』(亀尾佳宏) 県代表
松江北『桶屋はどうなる』(作:三輪忍)
松江工業『僕と先生』(作:伊藤靖之) 県代表
情報科学『トシドンの放課後』(作:上田美和)、
明誠『修学旅行』(作:畑澤聖悟)、
出雲『カケル』(作:出雲高演劇部)創作脚本賞

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横田高は一年の松田さんの一人芝居。大健闘です。顧問の伊藤先生が出雲から転任した最初の創作で参加。どうなるかと思っていましたが、さすがですね。情熱があれば一人でも参加できる!見本です。発音もきれい。単調になりがちな一人舞台をうまく照明や音楽を生かしていました。松江農林高は、「笑って泣かせる劇」を皆さん達者に演じとても楽しい舞台でした。発声もよく言葉もよく分かりました。装置も手を抜かず工夫してありました。登場しない父の扱いが重要な影の役をしていますが、その扱いに工夫が欲しかった。松江商業高校の部員は36名!すばらしい。きっと部活動に惹き付ける楽しさや魅力があるのでしょう。舞台にも多くの人が出て転換も多いのですが隙間のない処理や展開はみごとでした。脚本は入れ子構造になっていて複雑。部分ごとの面白さはうまく演じて美事なのですが、全体を貫く太い骨がほしい気がしました。
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三刀屋高は亀尾先生の旧作『笛男~フエオトコ~』。平成15年27回大会で松江工業が上演したのを観ていますが、とても素敵な劇でした。このところ三刀屋は脚本選択に苦心していましたが、男性も入って選択の巾が広がり、部員の力量が生かせる脚本に出会うことができました。音響、照明、演技、演出など総合的に完成度の高いとてもいい舞台でした。子どもって残酷なんですね。それを意識していないだけ。なつかしい世界がほろ苦く蘇ってきます。人間関係が少しぼかしてあるのは意図的かそれとも観客の理解不足か、そんなところも議論になりました。

5%ef%bc%8e%e6%9d%be%e6%b1%9f%e5%8c%97松江北高の劇は舞台にゴミの山。劇はとても抽象的で分かりにくいのですが、ゴミという具体がリアルで生きていました。衣裳なども工夫してあり、少ない部員でよく頑張ったという声がありました。
dsc07512松江工業は3年連続中国大会出場。舞台装置や演技、演出など総合芸術として完成度の高い舞台でした。よく上演される有名な既成の脚本ではなく、あまり知られていなかった伊藤作品を美事に舞台化して新鮮な劇にして見せてくれました。発声や演技も安定し、さらに意表を突く舞台装置が劇を新たな世界へ展開し深化させるという美事な舞台でした。男性が多いので無理のない自然な発声が抵抗なく届きます。「批評とユーモアは裏腹の関係」と詩を書く時、よく思うのですが、この劇でもそのことを何度も思いました。単なる笑いではない。伊藤作品には批評眼が裏打ちされているのです。
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情報科学高は全国でよく上演される『トシドンの放課後』おとなしい不登校生と問題の多い女性徒を同じ部屋に居らせることによって起こる心理的な変化を劇にしたものですが、真反対の正確の男女が親近感や共感を持つようになる微妙な過程がうまく演じられないと感動は薄くなる。二人の位置、先生の言葉など細かい演出が必要だと思った。一般の人たちには感動があったかと思う。
石見部から唯一出場した益田市の明誠高校。演劇同好会が生まれ(高校演劇で活躍した村上彩音さんが先生になって着任し同好会が生まれた、いや、ウンダ)演劇部になって多分一年。そんな短期間にここまでの舞台を創りあげるとは美事!いや、感動的!です。10人以上舞台へ出るのですが、みんな堂々と演じ声もよく通りました。先生を戯画化し過ぎて笑いの対象として演じたところに違和感がありましたが、その男性も堂々と演じていて楽しかった。今後が楽しみです。

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伝統のある出雲高は顧問の伊藤先生が横田へ転任。どうなるだろう、と思っていましたが、部員の皆さんが力を出し合って新鮮な創作脚本を創り、舞台でも自信をもって堂々と演じました。出雲高の舞台はいつも役者の足が地に着いている(ヘンダナ?床に着いている?コレモヘンダナ)ので安心して観ておれます。この劇も照明、音響、演出を含め、しっかりした舞台でした。劇がはじまって36分過ぎたごろからストリーが動きはじめ展開する。そんなまどろっこしさがあった。Ⅰ時間の劇では10分以内にテーマが展開しはじめないと、結局、遊びに付き合わされることになる。理想的には、ストリーと遊びは同時に展開したいものです。創作ではどうしても別々になりがちですね。(おもしろい場面はつい調子に乗って書きすぎてしまうので)演出の観点から、ちょっと第三者の目が入れば、不確かなところが明確になったり、展開に関連性が生まれたり、完成度が高まったかと思いますが、皆さんが知恵を寄せ合ってつくりあげた新鮮な舞台だったことは確かです。

九校の劇を簡単に紹介しました。今回の講師は昨年につづき、大島宏美、洲浜昌三、審査員は木村文明、勝部加緒里、神山正博先生でした。審査ではあまり意見が異なることはなく代表校を決定しました。中国大会を大いに楽しみにしています。

みなさん、おつかれさまでした。

H26 広島県高校演劇大会(福山)観劇記

2014年(平成26)11月22,23日、福山市で第56回広島県高校演劇大会が開かれました。
福山リーデンローズのホールは2000人以上のキャパという大ホールです。

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事務局からの急な依頼でしたが、都合よく空いていましたし広島の高校演劇とは当初から縁があり喜んで出かけました。懐かしい先生方に久しぶりに会いました。伊藤隆弘先生の変わらぬ笑顔もなつかしく、嬉しく、その元気な姿に励まされました。

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平成26年度 広島県高校演劇大会(福山リーデンローズ)

1. 福山明王台高校 「祭りよ、今宵だけは哀しげに」  加藤純・清水洋史 作
2.比治山女子高  「恐怖のズンドコ」       柳本博 作 土井一生潤色
3.福山中・高等学校「止まった針を」        林 名央 作
4.広島観音高校  「ミサンガ」          森井あや香 作
5.清水ヶ丘高校  「梅入りおにぎりはいかが」   岡田隆一 作
6.鈴峰女子高校  「夏の夜の…」         畠山真代 作
7.尾道北高校   「KTK2014」                  尾道北高演劇部 作
8.舟入高校「広島戦災孤児養成所『童心寺物語』」吉本直志郎 原作 須崎幸彦構成・潤色
9.基町高校 「うつつうらしまー浦島子・高橋虫麻呂異聞-」松本誠司 作
10.尾道中・高等学校 「急須で淹れた紅茶」コダルマ・ゴロウ 作 中村春菜 潤色 11.呉三津田高校   「銀河旋律」          成井豊 作
12.沼田高校     「はないちもんめ」       黒瀬貴之 作
13.福山中・高等学校 「僕のばあちゃん」       新宮正一 作

講師審査は長田佳代子先生(舞台美術家)、洲浜昌三(劇研「空」代表、全国高演協顧問 )審査員は広島県の演劇部顧問の先生3名、計5名。代表校は舟入高校、沼田高校。

中国大会は12月20,21日松江の県民会館で開催。島根は出雲、松江工業、安来高校が出場。岡山では岡山工業高校が出場しますが、顧問の森脇健先生は大田高校の元演劇部員で、劇研「空」の劇を手伝ってもらったこともあります。

この冊子は、閉会式での講評を少し詳しく劇評として書き、求めに従って、事務局(舟入高校・須崎幸彦先生)へ提出、各上演校へ送られた原稿をまとめたものです、参考になれば幸いです。誤字等は判読ください。文中の写真は遠景撮影という条件で担当者の許可を得ました。

広島県大会へ行ったのは今回で8回目になります。 広島県大会は各校の劇評メモを渡すことになっています。大会中は書く暇もありませんので、後日書いて、事務局へ送りました。その冊子版を紹介します。あくまで洲浜の見方であることを前提にして読んでください。ぼく自身、劇を上演して、劇の感想や批評を聞くのがとても勉強になりました。芸術や文学、演劇は多角的な視点からの批評が養分になります。高校演劇を応援するのが劇研「空」の一つの目標でもあります。このブログで高校演劇関係の記事はよく読まれています。中国地区大会で数人の顧問の先生から、「観劇記を楽しみにしています」と言われたのも励みになり紹介します。

H26 劇評 広島県高校演劇大会(福山)縦2段書き12.10