Monthly Archive for 5月, 2013

詩 「礼節」  (現代生活語詩集2012)

 

           礼 節                               洲 浜 昌 三

道ばたじゃ三回唾(つば)ぁ吐ぁて
ちょっとごめんなさい いうて シッコをせにゃいけんよ
川へ小便(しよんべん)をすりゃ目がつぶれるけぇな

迷信だと思いながら
何故か子どもの時から守ってきた

 

世界一豊かな国の高層ビルディングが
あっという間に地上に崩れ落ち

 

世界一貧しい国の大地が連日爆撃されはじめ
神と神が正義を高く掲げて真正面から衝突し
泥沼の戦いが始まったさわやかな日本の九月

 

自然に優しく安上がりで安全と一億二千万を
越える人がひしめく小さな島に創りあげた
原 発神話が吹き飛んださわやかな若葉の春三月

 

正義のために
人を神に仕立てて戦った国の子孫であり
豊かさのために 科学を神のように信じてきた国の住人である
ぼくはますます無神論者になる

 

ー 目に見えぬ神は何処(いづこ)と人問(と)わば
神は水なり火なり土なり ー

 

中国山脈の紅葉に囲まれた盆地
ふるさとの晩秋の森の社(やしろ)で
目にした短歌一首

 

縄文人と弥生人の混血児であるぼくには
これこそ懐(なつ)かしい

 

母の言葉は
太古の昔から 命を生み
命を育んできた
大地への礼節だったのだ

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2012年10月に大阪の竹林館から出版されました。北海道から沖縄まで153名の詩人が詩を寄せています。編集者の一人、永井ますみさんは、直接本人の朗読する映像を撮影するために、今回も全国へ足を伸ばしておられます。そのうちDVDが完成することでしょう。

上の詩は冒頭だけ、島根県邑智郡邑南町田所で使われている生活語で書いています。方言は文字では10パーセントも方言の特徴を出せません。声でないと味がでません。そこが難しいところです。

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H25 「しまねの風物詩」Ⅱ刊行計画 ー詩人連合総会で決定ー

2013年5月26日、大田市のパストラルで島根県詩人連合総会を開きました。午前10時30分からは理事会、午後は総会と「島根年刊詩集」第41集の合評会を開き、16時30分に閉会しました。参加者は10名前後ですが、中身の濃い一日でした。

行事報告や決算、予算などと共に大きな議題は「しまねの風物詩」Ⅱの刊行計画案の審議でした。いろいろな意見がでましたが、詩人だけではなく、多くの人に詩に親しんでもらうことを目標にして、まず過去の作品で自薦他薦を含めふさわしい作品を集めてみよう、ということになりました。もちろん新作も大歓迎です。

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(パストラルの玄関でパチリ。益田の高田夫妻は都合があり途中で帰られました。2年前には90歳を過ぎた肥後敏雄さんや松田勇さんも参加されました。杖をついてゆっくりと歩いて帰られる姿は今も脳裏を離れません。詩を書いて徳をすることなど何もありませんが、その「志の高さ」には頭がさがります)

「しまねの風物詩」は1995年に刊行しました。益田市の画家・金本裕行さんのスケッチをたくさん挿入して読みやすい詩集になりとても好評でした。道の駅や大森銀山の店などにもおかせてまらい、かなりうれました。1000円という手軽さもよかったのでしょう。

先日はシンガポールと千葉から娘の友人が石見銀山に来られ、娘の依頼で案内しましたが、おみやげに「しまねの風物詩」を贈呈しました。菓子などに添えて一緒におみやげにするのもいいなぁ、と思った次第です。多くの人に参加していただきたいものです。事前に購入数予定を調べて、発行資金の一部にすることになっています。一冊1000円です。10冊でも20冊でも予約して強力してくだい。

次に最初に刊行した「しまねの風物詩」の表紙を紹介します。今でもすこしですが残部がありますので欲しい人は申し出てください。書店にはもうありませんが、毎年数冊は購入希望があります。

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    「しまねの風物詩Ⅱ」の刊行について                             (事業の内容)

1.刊行の目的    県内の詩人の県内での発表の場としては詩誌「山陰詩人」、「石見詩人」、「光年」 アンソロジー「島根年刊詩集」などがあるが、読者はそれらの詩誌等に属している詩 人にほぼ限られている状況です。一般県民の人たちにもわかりやすい「しまねの風物」 という視点から作品を収録し、刊行することによって詩人以外の人たちにも詩に親し んでもらう機会とするものです。

2.作品の募集
(1)島根県詩人連合の会員だけではなく、県内、県外の一般の人も対象にして募集する。
(2) 自薦他薦も含め過去の作品からふさわしい作品を選ぶ。「島根文芸」の入選作品や過去の個人詩集からも選んで推薦する。
(3)募集要項を作り関係者やマスコミ、図書館、公共機関などに送りPRする。
(4)小中学生や高校生の作品でも(既成を含む)ふさわしい作品は対象にする。
(5) 募集期間は、平成25年4月~25年8月(予定)とする。

3.作品の内容    島根の風景や、行事、歴史、地名、人物、事件、文化、精神的な風土、伝承、神話、   民俗、風習などあらゆるものを対象にした詩を対象にする。名前にこだわって狭い意  味の「風物」に限定しない。

4.本の内容
(1) 詩の作品が中心になるが、前回のようにスケッチを入れるか、あるいは写真を入れるかは編集段階での検討課題とする。
(2)本の体裁は前回のものをベースに検討する。総頁数は概ね100頁とし、作品数は     40~50篇とする。
(3)地域別の編集とし、方言詩やこどもの詩などを別に編集することも検討。

5.作品の選考
(
1)理事を中心とした選考委員会を作り、応募・推薦作品の中からふさわしい作品を選考する。
(2)選考作業期間は、平成25年10月~11月(予定)とする。

6.刊行予定       刊行時期は平成26年2月(予定)とする。

 

総会では、いかにして若い人を増やすかも議論しました。インターネットに自由に詩を書く若い人から、高いお金を出して同人誌に書く意味があるのか、といわれると明快な言葉は返せません。どの文化団体でも切実な問題です。発行毎に一編の詩のために5千円、8千円という負担を若い人に要求することは無理です。難しい問題ですね。

 

詩「空にそびえる草原」

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空にそびえる草原   

洲 浜 昌 三

広大な草原の海原が 目の中に飛び込んできたとき
山育ちのぼくの世界は砕け散った
ー草原(くさはら)が空までつづいているー
昭和三十年高校生の時のこと

その後この山は国立公園に指定された
「全山が芝 根笹でおおわれわれ
世界的にも貴重な草原風景の美しさ」
それが指定の根拠になったという
昭和三十八年のこと

この美しい山を再び訪れた
国立公園指定審議委員の沼田氏は
「昔の面影はまったくない 指定を外すべきだ」
と語ったという
平成三年のこと

30年の間に何があったのか

牛の姿が広い草原から消え
雑草や雑木が自由に伸び伸びと育ち
山頂近くまで杉やカラ松が植えられ

貧しかったこの国は
世界第二位の経済大国になった

牛の放牧は江戸の初期に始まるという

明治元年 3000頭
昭和33年 1766頭
昭和41年 743頭

標高1126メートル 山頂までつづいた
美しい風景は
牛と大地が生み育てた草原だったのだ
350年の歳月をかけて

写真は北ノ原です。後ろの親三瓶は木が密集していますが、昔の三瓶の写真をみれば一面きれいな草原です。

島根県詩人連合では、続「しまねの風物詩」刊行を計画しています。平成25年5月26日の総会へ提案します。島根の風物や歴史などを詩にし一般の人たちに読んでもらおうという企画です。誰でも応募できますが編集委員会で審査します。