第50回広島県高校演劇大会舞台評です(NO.1)

(テストです。書いた文章をそのままにしておいてやがて消去処分にしてもなんだかもったいないので、整理を兼ね、興味がある人に多少でも役に立てばと思い、載せることにしました。)

平成22年11月13,14日に尾道のしまなみ交流館で広島県大会が開かれました。参加し、依頼された舞台評を書いていましたの写真を入れて紹介します。

上の写真はしまなみ交流館です。平成17年にはここで45回大会が開かれ守輪咲良さん(劇団「咲良舎」主宰)と講師を務めたことがあります。大田高校で教えていた卒業生がインタヴィユーにきてビックリししました。中国新聞社記者になっていたのです。2日後の新聞へとてもいい記事を書いていました。

次の文章はパンフレットに載ったものです。

上演順に6校までの舞台評を紹介します。あくまですはまが感じて書いたことです。こうゆう見方もあるのかと参考になればそれ以上のことはありません。写真は舞台風景として載せました。

第50回広島県高等学校総合演劇大会 講評
NO.1
三原東高等学校    上演作品   Let’s begin   (坂本良子 作)

メモより:
・総 評3人の高校生の会話だけで成り立っている劇。幼なじみの3人が進路を真剣に考えて悩み議論する。台本にも思わぬ展開や仕掛けがあり劇として工夫してある。後半はやや教訓染みていて作者の手中で人物が動かされている不自然さがあるが誠実な台本で、舞台も演技も飾り気がなく台本をそのまま素朴に演じた劇だった。

・台本を読んだ時、高校生らしい生き生きとした会話を舞台で表現できれば自然で心温まる劇になるだろうと思ったが実際は平板な劇になった。精一杯声を張り上げて喋るところが多く言葉が分かりにくい。声を張り上げて喋ると一本調子になり登場人物の気持ちが表現できない。東と裕太が机を挟んで進路について話す場面は声も自然で聞き取りやすかったが、座ってばかりいては変化がない。動きで心理を表現したい。

・喋るとき、相手との距離によって声の強弱が必要。同じ調子では不自然。
・舞台では事件が何も起こらない会話劇で、よっぽど会話による表現が豊かでないとお客さんを引きつけるのは難しい。会話の表現も強弱だけではワン・パターンになる。
・暗転で劇をプツプツ切ってはだめ。暗転処理に工夫をしてほしい。
・会話だけで引きつけるのは難しいので小道具などを利用したい。装置も机だけでは単調。何か小道具や装置を持ち込むことによって劇がやりやすくなり、舞台の表現が多彩で豊かになる。
・父親が死んでからの戸田の心の変化をもっと出したい。
・脚本の面白さがあちこちにあるが、一本調子の演出演技のために舞台でそのおもしろさが十分生かされなかった。
NO.2
舟入高等学校    上演作品  「夕凪の街と人と」  (太田洋子作 作)(須崎幸彦 脚色)
メモよりー
・総 評:劇全体を通して、劇作りの強い意志や知的な密度の高さを感じて圧倒された。
広島の文学者を素材にして高校生の取り組みを描いていて、今までにない原爆への新しいアプローチで新鮮な印象を受けた。劇としては印象に残る場面がたくさんあり劇作りのうまさを味わった。劇中劇と部員の議論が同じ比重だったためか、一本通して訴えてくるものがやや弱く、強烈な各場面が孤立した印象として残った気がする。
・あちこちに印象的な場面がたくさんあった。
・幕開き:「コレガ人間ナノデス」を群読しながら被爆直後の被災者の行進場面は強烈な印象で舞台が立ち上がった。言葉が立ち上がって動き出した気がした。
・太田洋子をみんなで非難。水爆。洋子の「ざまみろ!」の場面も強烈だった。
・蛍の場面は舞台にさわやかな叙情があふれた。

・装 置:立体的でよかった。下手に台を二つ置いて演技したので複雑な劇が立ち上がってわかりやすくなった。吊り物は抽象的でいろいろな場面の表現に使われて劇が豊かになった。しかし基町の河原の場面で石垣に思えなっかのは何故だろう。

・発 声: 力を抜いて自然に喋るときには言葉がよく分かるが、力むとわかりにくい。
・最初の議論の場:動いて大声で喋り議論するが何故そんなに対立しているのか分からず付いていけない。特に明奈は最初から原爆劇に強い不信感を持っているが攻撃的すぎて、何故なのかすぐについていけない。
・不自然さ:劇が3分の1くらい進んだところで、篤子が大田洋子を素材にして書いた台本を取り出し、みんなですぐ練習し始める。しかもとても完成度が高い演技。数日前から渡しておいて練習していたことにしてはいけないのか。または大田洋子だけは衣装をつけて演じ、他のものはそのままの服装で演じるたらどうか。その方が自然で納得がいく。

・テーマが一本化しない問題:この劇は大田洋子の劇と原爆劇を取り上げるかどうかという部員の意見の対立と議論で構成されているが比重が同じで印象が分裂し弱まる。1時間の劇ではテーマは一本に絞ったほうがいい。大田洋子と基町のバラックを中心に劇にしても十分インパクトがあると思う。

NO.3
大門高等学校  上演作品  「トシドンの放課後」   (上田三和 作)

・総 評:この劇は異質の世界に生きる二人の高校生がだんだん近づき友情まで育って行過程と別れを描いたものである。その過程の表現がやや一面的で荒っぽかった。
全体的に素直な演技で好感は持てたが、もっともっと細かい心理に気を配り神経が行き届いた演出や演技をしたい。

・装 置:大がかりな部屋をよく作っているが何の部屋かわかりにくい。ポスターや掲示物などや置物などを工夫して、何の部屋かすぐ分かるようにしたい。
・机の配置:長机と生徒用机を客席に向かって並べていたが、これでは二人が対等に前を向いて話すことになり、何かのスピーチのようで二人の人間関係が出せない。
暗転:ギターの曲で暗転をつないでいたがとてもよかった。曲は劇に合っていた。
劇のリズム:あかねが「も分かったてば!」と勢いよく部屋へ入って来る場面は劇の単調さを破り劇のリズムを作った。
・衣 装:先生は新卒と言うことで黒いスーツにしたのだろうが、生徒の黒い征服と同じに見えて差が出なかった。新米と言えども社会人。もっと工夫したい。
・人間関係:この劇では不登校の平野と非行を犯したあかねというまったく正反対の心理状態の人間を同じ部屋に閉じ込めるということからスタートする。二人がすぐ馴れ馴れしく話し始めてはこの劇の狙いから大きくはずれる。違う世界を持った人間が徐々に近づいて行き、最後には友情さえ生まれる。その心理の流れをしっかり追って行かないと荒っぽい劇になる。

・平野は熱心に登校して頑張ったのだがついに単位は認められなかった。がっかりした内面はしっかり出してほしかった。
・トシドンの面を持ってあかねが平野へ説教する場面はもっともっと力強く泣きそうになるほどの迫力で演じて欲しかった。それによってこの劇は一段と現実を突き抜け大きく飛躍し強い感動を与えるはずである。

NO.4
広島高等学校   上演作品  「Letters]        (木川田敏晴 作)

総 評:3人だけの会話劇だがそれぞれの個性をよく生かして演じていたし、何かを予感させる劇の流れとテーマをうまく押さえて劇を作っていたので観客を引きつけ、おもしろく最後まで観ることができた。
・装 置:バックに5枚の白い壁。女性中心の演劇部室らしい置物が生きていた。下手の台が劇の中で有効に使われていた。さらに立体的な舞台にすると劇も立体的になり生きてくる。
・感心した場面:小林が書いたラブレターを美枝子が読むときただ読むだけではなく、同時に二人の演技がありおもしろかった。・3人の個性を出してうまく動きも取り入れてお客さんの意識を引っ張っている。・小林は力を入れて喋ると言葉が分かりにくい。しかし3人がリラックスして自然に喋ると舞台がお落ち着く。・静かに入って来るギターの曲は美枝子の心を表すようで効果的だった。・二度目の暗転の時にもギター曲を流せばよかった。
・雪:ラストの雪の場面でエフェクトマシーンがくるくる回り激しい雪になった。劇とは別の世界がホリゾントに展開された。無理になくてもいい。想像力で観客はゆっくりと降ってくる雪をイメージしているのだから。

NO.5
尾道北高等学校    上演作品    「KTK」        (演劇部 作)

メモより:
総評:会話だけで成り立つ劇なので観客を引っ張って行くためには工夫が必要。つばささんに出会って二人の高校生が明るく前向きな人間になっていく。すっきりして温かく面白いがコントを思わせる。帰宅部部長という発想は面白いが問題が安易に解決しすぎて作り話のような軽さもある。ドラマは葛藤が核にないと迫力がない。言葉だけで説明し言葉で解決してはドラマとして説得力が弱い。

・装 置:中央にベンチとゴミ入れの籠。上手にチュウリップの鉢。下手に黒い山の様なもの。これは滑り台の積もりだったらしい。全体に装置がばらばらで荒っぽい。ただ集めてきて置いただけという印象。
・会話劇:言葉だけで進めていく劇は難しい。身体表現や言葉の変化を豊かにしないと退屈する。全体に会話が平板だった。
・音 響:BGMがずっと流れていた場面があったが劇には逆効果。
・ストリーや人物に工夫を:KTKは学校の七不思議の一つとある。それならその部長をもっと奇抜で不思議で面白い謎の様な存在にしたらどうだろうか。七不思議だというのにあまりにも普通の高校生では劇が平板になる。

NO.6
基町高等学校    上演作品  「お喋りなものたち (松本誠司 作)

・ 総 評:発想が斬新でとても面白くユニークな劇だった。出だしのエレベーターの場面は不思議な世界を暗示しながら観客を物語の世界へ導入していった。地下の世界には子どもたちがいて、懸命に物語りをしている。一つの物語が終わると次ぎの物語。ベッドには子どもが寝ているという。技師がシーツをめくると白い煙のような物が舞い立つ。子どもたちをエレベーターに乗せて地上へ上がる。ふと気づくと子どもたちがいない。どうやら初めからいなかったらしい。技師は物語を語り継がなければいけないと誓う。それぞれの場面は印象的ですばらいい。しかし人間関係や地上や地下など場所との関係がぼんやりして分からない。劇全体を貫く太い骨が見えない。部分だけが目立って理解しにくいのが難点だった。

・装 置:エレベーターはよくできていたがフロアーに落ちた照明の輪が大きすぎてエレベーターの枠をはみ出ていた。四角な枠が投射される器具を使えばよかった。エレベータの台を上手に置いたので劇としてアクティングエリアが狭くなったことを考えると、台はなくてよかったかも知れない。吊り物の布は光によって多彩なイメージを作ることができて効果的だった。
・発声:全員発声がよくあまり力まずに話すので言葉がよくわかり安心して舞台に集中できた。劇中でのアナウンスの声と響きは古めかしい機械の雰囲気が出ていてとてもよかった。
・理解するためのキーワードを:分からない所を残したまま劇が進みさらに理解不能な箇所が次々と重なると観客はフラストレーションを起こす。イメージを主体にした劇だからそれ自体は人によって理解は様々でいいが、劇を作る側には明確なテーマや意図が必要だと思う。地上はどうなっているのか。お婆さんと子どもの関係は?技師とお婆さん、技師と子どもたちの関係は? 何故深い地下にいるのか?何故物語りをし続けるのか?ある程度分かるようなキーワードが必要だと思う。

以上6校でした。以上の文章は事務局長の依頼により各校演劇部へ提出したものです。次は7から13校です。そのうち掲載します。

 

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