有志の皆さんの熱意でサンレディーのホール備蓄倉庫計画に反対の署名が9747筆集まり、5月9日に市議会議長に請願書に添えて提出されたことは新聞でも報道されました。6月~9月に議会閉会中審査という形で審議されるそうです。どうなるかは分かりませんが、9747筆という署名には重みがあります。
今回の問題で、担当の産業企画課と参加者の質疑応答(私も数回質問しましたが)を聞き、両者の間には基本的な点で齟齬があるのを感じてきました。同じような問題に11年前に直面しましたので、参考までに感想を書いてみます。
簡単に結論を書けば、管轄の問題ですー
・社会教育や芸術文化行政を管轄するのは教育委員会です。
・地域の産業や労働、雇用問題を管轄するのは産業振興部(産業企画課)です。
★働く女性の家・サンレディーを管轄しているのは産業振興部。30年前に政府の設立目的に賛同して補助金を受け、「働く女性の家」を設立しました。ホールは請願を受けて特別に建設。(この規模の立派な多目的ホールが併設された例はほとんどない)しかし現状は女性専有ではなく一般市民の音楽、合唱、舞踊、演劇、展示、講演、集会など芸術文化関係のために使われています。しかし管轄は産業振興部です。大田勤労青少年ホームの例と酷似しています。
大田市民会館の隣に、鉄筋3階建ての勤労青少年ホームがありました。国の補助金を受けて昭和47(1972)開設され、産業振興部の管轄でした。その設立目的のポイントは、「勤労青尐年の福祉に関する事業を総合的に行うことを目的とする施設」です。青少年とは15~35歳を想定していました。三階は広い集会室で多くの団体が使用しました。しかし時代と共に全国的に青少年はあまり使わなくなり当初の趣旨に反して一般市民が主に使用。老朽化などもあり全国的に廃止される例が多くなしました。大田の青少年ホームも同様ですが、耐震化の問題もありました。
勤労青少年ホームは多くの団体が利用していました。
(17団体:ラージボール卓球クラブ44人、ウンドオーケストラ58、劇研「空」15,フォークダンスサークル21,ダンス同好会16,手話サークル10,女性コーラス「花音」31,卓球クラブ10,ラウンドダンスの会6,ジュニアーミュージカル「風花」25,尺八「愁山会」、大田青年会議所31,大田市青年協議会85人、これ以外に次の団体も会には出席されました。音楽協会、合唱連盟、名画シアター、アマチュアーバンド、石見銀山天領太鼓、大田高吹奏楽部、第一中学校吹奏楽部、小中連合音楽会、表現ダンス発表会、石見銀山神楽連盟、市老人クラブ、小笠原流石見支部、池坊石東支部)
定期的に利用者会があり年末には懇親会も開かれていました。
市から廃止解体方針がでると利用者代表と産業企画課、複数の市会議員などとの会合が数回開かれ市長交渉も行われました。最大の問題は、利用17団体の次の集会場所探しでした。
最終的には場所が提案され決着し、40年使用された建物は平成22年(2010)解体されましたが、場所が遠くなったり不便だったり問題も多々ありましたが、高い次元での総合的な芸術文化政策の必要性を痛感しました。
この時点で、ほぼ同時に市民会館の耐震問題が持ち上がりました。市民会館は、社会教育や芸術文化を管轄する大田市教育委員会です、会館は2年間閉鎖されることになり教育委員会は県の文化振興課と協力して「大田市の芸術・文化振興について」文化団体や関係者を対象に何度も説明会や検討会を開き、中央から専門講師も呼んで「文化プロデユーサー養成講座」を何度も開催しました。市民からアンケートも取り、立派な「大田市芸術文化振興計画第二期-2018ー2027」も刊行されています。
(次の2冊のファイルこのときの資料です)
産業企画課と教育委員会ーそれぞれ独自の管轄分野や目標があります。単独ではなく高い次元で総合的に判断する視点が必要です。それは何処か誰か・・さあ、どうする・・。
大田市役所も移転予定。日々、駅東側の小山が崩されています。現市役所は解体して更地にするのか。一部でも残して何かに利用するのか。新しい市役所に市民が利用できる200名程度の舞台付き多目的集会室はできないか。パルの跡地はどうなるのか。大田ふれあい会館はパストラルの跡地に新築予定とか。ならば現在のサンレディーと共にホールも活用できないか。大田まちつくりセンター、中央公民館(まだ名前はそのまま?)文化協会事務局の場所・・・これらはどのようにするのか。
ホールの備蓄倉庫案は12月に急に出てきた計画です。1,2年くらい時間をかけて大田のホール問題、文化芸術活動場所問題を検討してもらったらどうでしょう。備蓄倉庫に決定されるにしても、同時に建設的で総合的な計画が提示されないと署名をした人たちの気持ちは燻り続けることでしょう。上の写真は解体を終えた勤労青少年ホームです。40年間、おつかれさまでした。ここまで書くのもつかれました。おつかれさまでした。
(ブログ:stagebox 詩の散歩道 地域情報 20230517洲浜)