第20回「しまね文芸フェスタ」は県民会館中ホールで開催されました。今年度は散文部門が担当。開会式では環境部長竹内さん、会長の額 重利さん、松江市長(代理)松江文化協会会長の挨拶がありました。
全体会では、「山陰の古事記の謎解き旅~日本史上初の王はイズモの地で誕生した~」をテーマに、『山陰文芸』に、古代の出雲やスサノオなどをテーマに歴史小説やエッセイ、俳句を書かれた宮本よしえ、草野慎一、寺井敏夫、沢村俊介、米澤達夫各氏の作品紹介と朗読がありました。寺井さんは数年前に他界されましたが、意欲的に郷土の人物を取り上げて書き、出版されました。
講師は多羅尾整治氏。1047年米子市生まれ、慶応大卒、金融業界を経て地域振興、観光開発、ビジネスホテル開業。大山スキー場開発時の地理歴史調査をきっかけに古代史の研究をライフワークにするようになったと紹介された。
文献を何度も読み、現地へ足を運び、神社の歴史や伝承を詳しく調べて来られた上に達した見解なので説得力がありました。青銅器と鉄との関係、大陸、九州、岡山、奈良との関係、スサノオの位置づけなどとても興味がありました。
大和中心に大和から見た出雲を解説した古代史の本が多いのですが、多羅尾さんは青銅器や鉄を産するイズモの地から見た古代史です。定説はありませんが、説得力があり触発されました。本も売るためではなく読んでもらうために定価も安く抑えて出版したそうです。読んでみたいと思いました。
午後の詩の分科会は川辺、稲田、洲浜、それに新しく渡邉さんが詩を持参、朗読されました。自作詩を朗読、合評しました。詩に興味がある人をどうして増やすか。課題、難題、ドウスリャイインダイ。
全体会は十数年前は200人前後でしたが(7年前、詩部門が担当したときは講師・谷川さんで600人!満員)ここ数年は100人弱。今回はコロナ禍もあり約60人。高齢化、人口減、若い人の文学離れetc. 関係がなければ、ヒトゴト、どうでもいいことですが、30数年関わっていますので、ナヤミのタネです。
(ブログ:詩の散歩道 しまね文芸フェスタ 島根県詩人連合 劇研「空」20220925洲浜)
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R4,「しまね文芸フェスタ2022」県民会館で開催(9/23)
第20回島根県民文化祭の文芸部門「しまね文芸フェスタ」は23日(秋分の日)県民会館で予定通り開催されます。一昨年はコロナ禍で中止、昨年は無観客で動画・「島根の風物~詩と映像~」を撮影し「しまねっこCH」で発信しました。
詩部門を担当して、2年間コロナに翻弄されましたが、今年は散文部門が担当です。「山陰の古事記の謎解き旅」と題して多羅尾整治氏が講演されます。午後は分科会です。詩部門は「自作時朗読と詩和会」。朗読する詩を15部持参してください。
散文部門では、会長、額さんの「小説・随筆をどう書くか」という問題提起の後、創作について話し合いです。
(ブログ:しまね文芸フェスタ 詩の散歩道 お知らせ 20220916すはま)
R4, 「何をどのように書くか(小説)」
島根県高等学校文化連盟の文学部門では、長年「小説・随筆コンクール」を実施し、入賞作品を『作品集」として刊行しています。16年間選考に関わってきましたが、短期間に多い時は80編余、普通でも30~40編の作品が集まります。やっと選評も書き終わって担当校の先生へ送りました。俳句、短歌、川柳、詩もすばらしい作品がありますが、新聞などで一度も紹介されたことがないので、関係者しか知らないでしょう。4年分の表紙を紹介します。この中からきっと優れた文筆家が出てくるでしょう。
さて、「小説で何をどのように書くか」今年の島根文芸フェスタ散文部門のテーマでもありますが、平成元年に同じテーマで高文連から依頼されて高校で講演したことがあります。その時の資料の一部を何かの参考になればと思い、紹介します。興味のある人はPDFを開いてみてください。
R1, 講演資料 何をどのように書くか(小説) 20200730
詩でも、小説でも脚本でも短歌でも(なんでもじゃ!)「書く」ということは、「何をどのように書くか」という問に対する答えを求め模索していく長い旅でもあります。参考になればと思い紹介しました。
8,9月は、今年は特に多忙。やっと上記の選考、選評書き、「山陰文藝」の小説26枚、朗読劇「あの夏 校舎は原爆病院だった」、朗読会のテキスト作成、アンソロジーのエッセイ・・・やっとこさ!完了!。これから10月1日の第11回「朗読を楽しむ」の舞台進行プラン、パンフレット作成準備です。
(ブログ:劇研「空」 詩の散歩道 高文連文学部門 本の紹介 20220912洲浜)
R4,英詩「The position of the universe」(「石見詩人」148号より)
短詩を英訳していますが、発表したことはありませんでした。今回始めて「石見詩人」148号に掲載してもらいました。
The position of the universe
by』Shozo Suhama
While I was busily crawling around
Forgetting the seasons,
You seem to have been moving silently
Without showing yourself up.
Over the fresh snows of the mountain ranges,
Over the young leaves of the fresh greenery,
Over the pebble of the bright riverbed,
Over the cosmos swaying in the wind.
One morning as I stepped out the front door,
You are standing there in a beautiful appearance.
A deep pure white peony.
Nature always remains in silence,
telling my position of the universe.
宇宙の位置 洲 浜 昌 三
季節を忘れて
這いずり回っている間に
あなたは 静かに
移動していたらしい
連山の新雪の上を
新緑の若葉の上を
明るい河原の小石の上を
風にゆれる秋桜の上を
ある朝 玄関を出ると
美しい姿で そこに立っている
純白の一輪の牡丹
自然は いつも黙って
宇宙の中の ぼくの位置を
教えてくれる
最近、山陰中央新報が文化欄で郷土出版トピックと題して同人誌などを紹介し関係者には好評です。他分野のことはこのような記事がないと全くわかりません。とても貴重だと思っています。
(ブログ:詩の散歩道 詩作品紹介 20220811洲浜)
R4,井上嘉明詩集「背嚢」新聞書評紹介
鳥取の詩人、井上嘉明さんが昨年11月に詩集を「編集工房ノア」から刊行されました。2000年に土曜美術社出版販売から発行された現代詩文庫「井上嘉明詩集」を含めると第12詩集になります。書評を依頼され山陰中央新報に掲載されましたので、紹介します。
1982年に発行された詩集「汽水域」から書棚にありますが、一貫して言葉に対峙する姿勢が変わらないのは、詩表現への信頼があるからでしょう。「詩ノート」が何冊もあり、古いノートを何冊も広げて、言葉をほじくっている ー とあとがきにあります。「最新のノートは記憶も新しいし、よい〈獲物〉に当たりそうなものだが、そうともいえない。言葉は新しくて、古いのだ。古くて投げていたものが、急に蘇ることもある」と続きます。高齢になっても衰えない詩魂に拍手を贈りたいと思います。
(ブログ:詩の散歩道 詩集紹介 地域情報 20220730洲浜)
R4,short poem 「Treasure」短詩「たからもの」(石見詩人138号)
Treasure by Shozo Suhama
“Hands off!”
The moment I reached my hand to the basket,
She made a mad dash and gave it a tight hug.
With searching eyes she glared at me.
Even when playing outside with her friends,
Even when going shopping with us by car,
She carried with care that wisteria vine-basket.
If someone knows what I have, it turns out no value –
I feel I used to have that kind of treasure.
At night, when Aya-chan is sleeping soundly,
Secretly I opened the basket.
Inside were five pebbles,
and three maple leaves.
「石見詩人」138号に英語に翻訳した短詩を寄稿しました。英詩が載るなんて、創刊以の珍事で、読んだ人はびっくりされたことでしょう。いろいろな詩を書いてきましたが、子供などを素材にした短詩も書いてきました。それを東京にいるgrandsonの一暁クンと一緒に英訳していますが、その中の一編です。写真は詩と直接関係ありませんが、eldest sonが撮したものです。いい写真です。もとの日本語の詩も書いておきます。
たからもの 洲浜 昌三
「だめ!」
バスケットへ手を伸ばした途端
猛然と走って来て抱きしめ
鋭い目で僕をにらみつける
みんなで外で遊ぶときも
車で町へ買物に行くときも
大切に持ち運ぶ藤つるのバスケット
見られたら価値がなくなるもの
そんな宝物が僕にもあった気がする
夜 あやちゃんが
ぐっすり眠っているすきに
こっそりバスケットを開けてみると
小石が五つ
もみじの葉が三枚
(ブログ:誌の散歩道 詩作品紹介 短詩 20220726洲浜)
R4,佐藤洋二郎著 短編小説集「Y字橋」紹介
R4,「山陰文藝」55号紹介・ 松江で合評会開催
「山陰文藝」55号が5月初旬に発行され、29日に松江で理事会と合評会,文芸フェスタ打ち合わせ会が開かれ8名が参加しました。今号では22人の作品が載っています。席上で日本海新聞と山陰中央新報が配られ、簡潔にまとめてありましたので日本海新聞の記事を紹介させて頂きます。
「学者大名 池田冠山」(内藤丈二)鳥取の若桜藩の大名に、こんな素晴らしい人がいたことは驚きです。よく調べて書かれています。毎号、山陰の人物を取り上げ力作を発表しておられます。「布都外伝」(沢村俊介)は連載4回目ですが、古代出雲の歴史に独自の視点で肉付けをした意欲的な小説です。
「祖母のふるさと」(洲浜昌三)は短編小説。東京で不登校になった小学生の絵梨を見かねて、祖父の武留が、コロナ禍なのに両親の反対も押し切って、車に載せて故郷へ連れて行き、様々なことに出会う話です。絵梨が会いたかった「大きいばあちゃん」は入院していましたが、満州で子供を亡くしていた「大きいばあちゃん」は、感動的な短歌を農事日記張に書いていました。「魂は蘇るなり と人の言う 産声あげし子あり 関東の地で」。書いた日付けは絵梨の誕生日でした。短編を読んだ人たちから、感動した、とか涙が出た、などと感想を頂いています。(not fake)
本は県内の書店にあります。購入したい人は次の所へ申し込んでください。
690ー0875 松江市外中原町15ー1 額 重敏
(0859ー33-7850)
作品も募集しています。どうぞエッセイでも、記録でも、小説でも書いて送ってみてください。詳細は本に書いてあります。
(ブログ:詩の散歩道 詩集や本の紹介 20220602suhama)
R4,島根県民文化祭 文芸作品募集要項
県民文化祭の一環の活動ですが、令和4年度の「文芸作品募集要項」ができました。例年通り、俳句、短歌、川柳、詩、散文(随筆、小説、評論)で、募集期間は7月1日~9月2日です。表彰式は12月10日(土)松江。チラシは公民館、市民会館、学校など公的な場所には置いてあります。多くの人たちの応募を期待しています。詩部門にも是非!ジュニアーの部もありますので、幼、小、中学生のみなさんも参加してください。
島根県内へ通勤、通学している人、島根出身者で海外県外在住の人も応募できます。電子メール応募もOKです。応募先、問い合わせ先はチラシの下の方にあります。島根県文化国際課(TEL 0852-22-5586)です。
(ブログ:劇研「空」詩の散歩道 島根文芸フェスタ 島根県詩人連合 詩の散歩道 20220516洲浜)
R4,「島根年刊詩集」50集発行
島根県詩人連合が結成されたのは1972年2月。その年に「島根年刊詩集」第一号が発行されました。それ以前に、斐川町の高田正七さんが個人で発行されていた5年分を引き継いだ形です。昭和40年代は、まだ詩は一般の人達にも読まれていた時代ですが、時代風潮も変わり、次第に詩の同人誌も高齢化して若い人が少なく、維持継続も困難な時代 になりました。これは 全国的な現象です。
そう中で半世紀にわたり詩作をつづけてこられた皆さんの熱意に敬意を表したいと思います。
50周年記念特集としたかったのですが、コロナ禍で理事会も総会も3年間開催できず書面承認という状態だったこともあり、巻頭に「島根年刊詩集50集刊行にあたって」と題して理事長の文章を掲載、「31集~50集の作品掲載一覧」、そして「しまね文芸フェスタ2021」の報告を載せました。事務局長・川辺 真さんの尽力です。
「島根年刊詩集」50集 目次です。
写真 「島根年刊詩集」1~50集、左上5冊は高田正七版
最近は個人書店がなくなったので、置かせてもらうところがなくなりました。欲しい人には送りますが、詩人連合では発行毎に次のようなところへ贈呈しています。
国立国会図書館始め県I内図書館など約40冊、全国の詩人協会など34冊、県内新聞マスコミ関係など8冊、詩関係の出版社16冊、詩人など12冊余(ある年度の記録より)
県内の図書館へは献呈していますので、キチンと管理保存されている図書館では読むことができるはずです。同人誌など「本」扱いされず廃棄処分されている場合も多々あります。見かけや体裁によらず、同人誌は、それぞれが貴重な時代の証言、記録です。
(ブログ:昌ちゃんの詩の散歩道 島根県詩人連合 詩集や本の紹介 地域情報 島根年刊詩集50集 20220509洲浜)