「昌ちゃんの演劇だより」カテゴリーアーカイブ

H30 「ますだ演劇祭」観劇記(5/20)

1018,5,20 益田市のグラントワで「ますだ演劇祭」が開かれました。


上演した上演団体は次の通りです。

①浜田高校演劇部「渡る異界はクズばかり」 作・ピクト
②石見国くにびき十八座「この道をつないで」作・金田サダ子
③明誠高校演劇部「七人の部長」 作・越智優 潤色・渡辺聖梨 演出・熊谷莉緒 渡辺聖梨
④劇団ハタチ族「跳べ、守護神!」作・土橋淳志 演出・西藤将人
⑤市民演劇集団「ドリームカンパニー」「私の黄色いハンカチ」作・大畑喜彦

「誉め合いや、ただのイベントで満足するのではなく劇評をお願いします」と、実行委員の1人・ハナモト彩音さんの声掛けで、当日は劇研「空」の山本くんと観劇に行きました。10ページの観劇記はすでに送りましたが、読めない人もありますので、PDFで紹介します。興味のある人はどうぞ。

H30、観劇記 「ますだ演劇祭観劇記」5月20日 グラントワ

第二回があるかどうか未定ですが、張り切っておられます。おつかれさまでした。
(ブログ 詩の散歩道 観劇 すはま)

H30,4 観劇記「コーヒーと共に生きた男 三浦義武」

3月24、25日、浜田の石央ホールで上演された創作劇「コーヒーと共に生きた男 三浦義武」の劇評を頼まれていましたが、4月12日の山陰中央新報文化欄に掲載されました。字数が限られていますので、十分なことは書けませんでしたが、参考になればと思います。劇や小説など文学作品は100人いれば、100人の感想があります。この劇評もあくまでone of themです。これじゃ読めませんよね。字が小さし上にボケている。PDFで紹介します。

H30,4 新聞 観劇記「コーヒーと共に生きた男 三浦義武」山陰中央新報_

当日のプログラムを記録として風景写真で紹介します。

公演前にもブログで紹介しましたが、脚本、演出の美崎さんは、浜田高校演劇部が全盛期時代、昭和56年に「オズの魔法使い」を演出、出演して全国大会へ出場しました。高校演劇ではまだミュージカルなど上演しない時代でした。舞台上で大勢のアンサンブルを見事に振り付けて演出する力量は当時から身についていたものでしょう。「ベテランと一緒に初めて舞台に立つ人もいると思うけど、どのように演技指導しているんですか」と聞いたら、「その人の持ち味を生かすようにしています」との答え。なーほどな、と感心しました。

アンサンブルの処理の見事さという点では、この公演の一週間後に雲南市のチェリヴァホールで上演された創作劇「水底平家」(亀尾佳宏 作、演出)にも感心しました。次々と展開されるシーンで大勢の武士を見事にさばいていき、劇の流れをうまく演出していました。我が劇研「空」の山本くんも出演しましたが、キリッ!と引き締まったセリフは場面も引き締めましたね。濃密な時間が流れる舞台に圧倒されました。

石見と雲南で同時期に素晴らしい創作劇が上演されました。みなさん、おつかれさまでした。(ブログ 詩の散歩道 観劇 すはま)

H30 大田市で懐かしい「活弁公演」(3/3)

2018,3,3 大田市民会館中ホールで、「活弁公演」がありました。吉岡長太郎フィルムコレクション、長太郎活動写真弁士保存会の石川晩酌さんと影山酒時さんが弁士として見事な活弁を披露されました。大田市文化協会主催。中ホールで約30人が懐かし映像と活弁を楽しみました。
最初に昭和初期の飯南町周辺で撮影されたフイルムが上映されました。当時の元気な若者や子供たちが参加した行事が次々と映されました。貧しいけど活気に満ちています。全国的にも貴重な記録フイルムです。長太郎さんが撮影されたものです。

長岡長太郎さんは明治24年飯南町真木に生まれ、20代に幻灯と映画に注目し、映写機やフィルムを購入してリヤカーに乗せ、県内や県外を上映して回られました。当時は無声映画ですから長太郎さんが弁士を務め、奥様のサダさんが機械を操作されたそうです。

長太郎さんは昭和39年に他界されたそうですが、貴重なフイルム(175タイトルもある)を飯南町に寄贈され、現在頓原町公民館が管理、活動写真弁士保存会が活用しています。今回はアニメや「血煙高田の馬場」(約10分)「実録忠臣蔵」(約25分)が活弁付きで上演されました。画面と弁舌に違和感がなくピッタリでした。活弁のライヴですから、劇と同じように生身のリアル感があり退屈しません。当時フイルムは何度も切れてつないでいるので短くなったとか。そのため映像のテンポや活弁の変化やスピードも速く、退屈する暇がありません。大河内伝次郎や片岡千恵蔵伴淳三郎なども登場しました。

ぼくは活弁を実際聞いたのは初めてです。子供のころ田所公民館で映画はよく見ましたが、いつも満員でした。当時はトーキー映画でした。無声映画はありましたが、活弁付きではありませんでした。今回の公演を聞きに行ったのは、大田市の相生座でも上演されただろうと思ったからです。終わってシュジさんと名刺を交換しいろいろ話しました。出前公演をやっておられます。

【閑話】このブログで、昨日グラフが急上昇した項目がありました。「吾郷水木生くん島根凱旋公演!」です。ナンデカナ ナンデダロウと思ったら、昨夜NHKテレビで、「のど自慢チャンピオン大会」が放映されました。チャンピオンになったのは加藤大和さん。素敵な声と表現で「指輪」を歌われました。作詞作曲が大田市出身の吾郷水木生くんです!うれしい話ですね。吾郷くん、またいい歌を作ってください!(ブログ 詩の散歩道 観劇 昌ちゃんの演劇だより)
http://stagebox.sakura.ne.jp/blog/2005/06/26/吾郷水木生くん島根凱旋公演!/

H30,大田ミュージカル講習会の成果「フレンズ」発表(1/21) 

大田市民会館の主催事業として今年も「ミュージカルスクール」が、昨年12月から土曜、日曜に6回開かれ、7回目の最終日、21日に中ホールで成果が発表されました。会館スタッフの全面的なバックアップがあり、音響や照明器具などもフル活用。ライトは50台くらい釣込んであり、楽しそうに歌い踊る19人の舞台を彩り浮かびあがらせました。
わずか20分の上演ですから、あっという間におわりましたが、充実した舞台でした。初心者も多いのですが、笑顔を見せ楽しそうに演じていましたので、観客も安心して楽しむことができました。いつものように「風花」の卒業生や現役の経験者たちがしっかりとリードし、中心を固めていました。

講習の成果発表が目的で、わずか20分の上演なので、ストーリーの骨格披露、という感じでしたが、あちこちでプロのヒラメキを感じました。神話の人物が現在によみがるとき、ホリゾントへ時計を投影して何千年の距離を一瞬の身近な時間として暗示したり、浮き布の池の大蛇が人間に変身する場面では、太鼓と和楽器の演奏とても活きていました。終演後、作曲・編曲を担当された川崎さんと話し、作曲の一端をうかがいました。短期講習とはいえ、3人のプロ(脚本・佐藤万里、演出・三浦克也、音楽・川崎絵都夫)が関わった舞台。超贅沢舞台、超受恵舞台です。短時間の舞台ですが見事に出来上がっています。

現地指導者として、いつものように「レイココンビ」を忘れてはいけません。。歌唱指導は中村玲子さん、振り付け指導は岩根礼子さん。礼子さんは「S3-1」出身なのだ。(わかる人にしかわかりませぬ)当日も動き回って世話をしていました。オツカレ!
山陰中央新報も二回紹介しています。記録として遠景で紹介します。読みたい人は購入するか、1/23,1/25日の石見版を図書館で見てください。こういう舞台での子供さんたちの経験が、内面を豊かにし、いろいろな場面で必ず活きてくることを確信しています。みなさん、おつかれさまでした。(ブログ 詩の散歩道 地域情報 観劇 すはま)

H29, 作陽高校演劇部 最優秀賞 全国大会へ

第55回高校演劇中国地区大会は、2017年12月23,24日、下関市民会館で行われ、最優秀に作陽高校の「待ちの風景」(山崎公博 作)が選ばれました。来年8月長野県上田市で開催される全国大会へ出場します。

優秀賞3校は、広島市立商業「八月五日」(黒瀬貴之 作)、岡山工業「やっぱりパパイヤ」(阿部 順 作)、三刀屋高校「まちこのこまち」(亀尾佳宏 作)でした。
(会場とても広い。約1400席。2階席がないので後部席は舞台から遠い)

電車の都合で全部は観劇できませんでした。作陽高校は立体的な舞台装置がとても効果的で劇を引き締め、イメージを広げ、劇を凝縮していました。ラストのすばらしいシルエット劇でも装置が役者の動きを立体化、効果的にし素敵でした。二人の会話も生きていました。広島市立商業は、多分近年では初出場だと思います。粗削りなエネルギーが魅力でした。これは大切です。最近みんな演技がうまくなり、うまさが類型化しパターン化していていました。うまければいいというもんではありません。岡山工業は演出が見事でキャストが登場人物を過不足なく的確に表現していて統一感がありました。
三刀屋は舞台や客席を自由に使って意欲的な演出の劇でした。出だしのマチコの語りも魅力的で、合唱とともに動く集団演技もステキでした。大健闘しましたが、劇が集約型というより拡散型でしたので、作陽高校と対照的でした。テーマは拡散するより、「深く井戸を掘れ、そうすればいろいろな水脈に出会う」というほうが、一時間の劇ではインパクトが強くなる気がします。松江工業も健闘しましたが、ラメールでは舞台が狭いので、目の前で役者の動きが身近に感じられましたが、この広い舞台空間ではどうしても劇が遠い風景のようになります。また、場面が多いので展開が細切れになる印象が残りました。山口県光高校の「彼方此方、知り吾」(緋岡 箒 作)はまさに「激」でした。目の前の平和な日常の中で激しい戦争場面が同時展開されるのです。実験的ともいえる刺激的な舞台でした。
帰りは新山口から津和野→益田→浜田→と乗り換え、江津止まり!時刻は23時30分!大田までの電車なし!激しい風雨!寒い!タイヘンデシタ。
みなさん、おつかれさまでした。(ブログ 詩の散歩道 高校演劇)

H29,第55回 高校演劇中国地区大会(下関市民会館で)

2017年度の中国地区大会は12月23、24日、下関市民会館で開催されます。各県代表2校(山口は3校)が出場。昨年に続いて島根県代表は松江工業高校、三刀屋高校です。島根県大会では素晴らしい劇でした。楽しみです。各県代表校と演目、上演時間を知りたい人は次のPDFを開いてみてください.

H29,高校演劇中国地区大会発表校 下関市民会館_

岡山から岡山工業高校が出場します。顧問は森脇 健先生。大田高校では演劇部員でした。大学生だった平成16年に、劇研「空」が市立図書館で「朗読を楽しむ」を開催したとき、参加してくれました。岡山工業で毎年素晴らしい劇を生徒さんとともに創っています。下関で会えるのが楽しみです。
松江工業は伊藤靖之作「ハダカノ王様」で23日13時~、三刀屋高校は亀尾佳宏作「まちこのこまち」24日13時~、岡山工業は「やっぱりパパイヤ」23日14時20~の上演です。
それぞれの劇は同一視点で比較できない独特のうまさと面白さ魅力があります。下関市民会館は平成10年の大会で行ったことがあります。講師は文学座所属の松本祐子さん、青森中央高校の畑澤聖悟さん。講評も楽しみです。山口は隣の県なのに、交通が不便なのがガンです。昔は下関行きの深夜列車があったのにね。(ブログ 詩の散歩道 高校演劇 すはま)

 

H29, 松江工業、三刀屋高演劇部 中国大会へ

第41回「島根県高校演劇発表大会」が10月28,29日、雲南市のラメールで行われました。審査の結果は今年も昨年と同様に、松江工業、三刀屋が最優秀賞を受賞し中国大会へ出場します。中国大会は12月23,24日、下関市民会館で開催されます。
松江工業は「ハダカノ王様」(伊藤靖之 作)は不登校問題を扱った劇ですが、部員と顧問でかなり脚色し、素晴らしい劇に仕上がっていました。舞台空間をうまく使いながら、大小のどんでん返し毎に問題が深まり考えさせられ胸に迫ってきました。

三刀屋は「まちこのこまち」(亀尾佳宏  作)で圧倒的な舞台を見せてくれました。ハチャメチャとも思えるくらい楽しく、客席も効果的に使って伸び伸びと演じ、3つの和歌を一本の縦糸にして見事に劇を展開し納めました。
松江農林高校の劇は農村の跡継ぎ問題と真正面から取り組み、しっかりした演技と生き生きした舞台を見せてくれました。ラストの処理に甘さが残り残念でしたが、主役も演じた門脇優里さんに創作脚本賞が贈られました。写真がたまたま一枚ありましたので、舞台風景を紹介します。

他の高校の劇もいつか紹介したいと思います。記録として残しておきたいのですが、写真がないのが残念です。各校の劇を一枚は撮ろうと思っていたのですが、いつのまにか劇に没頭し、終わった後に撮っていなかったことに気がつくのです。アトノマツリです。劇は舞台写真を見れば一目瞭然、下手な説明は不要です。

みなさん、素敵な舞台をありがとう。おつかれさまでした。中国大会、楽しみです。(ブログ 詩の散歩道 高校演劇 すはま)

H29,第41回 高校演劇島根県大会ラメールで(10/28,29)

今年も10校参加してラメールで28,29日に島根県大会が開かれます。1日目は10時から横田高校の創作劇「黄組デコ班物語」ではじまります。松江農林、松江商業、掛合分校、安来、29日は松江工業、石見から唯一の浜田高校、つづいて松江南、出雲、三刀屋は創作劇「まちこのこまち」です。
入場料は無料です。活き活きとした高校生の舞台をぜひ観てください。プロにない面白さや新鮮さがあります。昨年もお客様がかなりありました。松江、出雲地区代表校が9校なので、観劇される人も多いのではないかと思います。

今年も大島先生とスハマクンは講師という役で参加します。代表校2校は中国大会へ。さてどうなることでしょう。昨年は三刀屋と松江工業がすばらしい劇で代表になり、中国大会でも大健闘しました。10校観劇はハードワークですが、活き活きした舞台を見ていると時間を忘れます。写真は記事となんの関係もありませぬ。昨年中四国詩人会米子大会のとき、空を見上げたら機関車が走っていて感動し、パチリとしたものです。(ブログ 詩の散歩道 高校演劇 すはま)

H29, 8,14 サンレディで風花 ミュージカル上演

8月14日は恒例の大田高卒業生総会(瓶陵会総会)ですが、今年は記念イベントで「風花」が、ミュージカル「石見銀山物語」を上演します。次のような案内をいただいています。誰でも観劇できます。
 (サンレディ大田のふれあいホール。可動式座席で約450人のキャパ)

9:00~総会(サンレディ)
10:30~12:00 記念イベント 仲野先生の講演・「風花」ミュージカル
12:30~16:00 懇親会・同窓会 (大田パストラル)
17:00~19:00 クラス会(二次会)

実行委委員は昭和63年3月(62年度)卒業生のみなさんです。この年はぼくが理数科の担任でした。実行委員長のナカオくんから出欠確認のハガキがきました。盆で多用な時で予定もありましたが、ミュージカルでは劇研「空」の山本、松本くんが照明を頼まれていますし、風花の佐藤さんからも「よろしく」とありましたので、終日というハードスケジュールですが、行くことにしました。

劇研「空」はこのイベントで2回公演させていただきました。平成20年は、天領太鼓とのコラボレーションで「石見銀山歴史ものがたり」。語りと太鼓演奏と劇の勇壮な構成舞台でした。瓶陵会幹事さんも多数舞台で演じていただきました!その中に3人も当時の演劇部員がおられました。今も「空」との縁がつづいています。神屋寿禎役で出演していただいたハナダさんは中学校でも全校生の演劇を今年も計画しておられます。すごいですね。うれしいことです。

平成27年は、同じ演目ですが、卒業生で生年劇場の女優・福原美佳さんの語りと講談、大畑茂樹夫妻の生演奏、和樹さんの歌、と多彩な舞台でした。上演後に東京の会長さんが近づいて来られて、「感動のことば」をいただいたのを覚えています。映像も使って銀山の歴史を、歌、語り、講談、民謡、劇で楽しく面白く伝える舞台でした。こういうコラボは簡単にはできません。

今年は風花の「石見銀山物語」です。何度も上演して完成度が高い舞台になっていますので、初めて見る卒業生のみなさんは、驚かれることでしょう。「大田も捨てたもんじゃないね」(ソウナライイネ)芸術文化は心を育て豊かにしてくれます。それが「ふるさとの宝」です。

ハンセイからひとこと:一般の市民のみなさんは、大田高校卒業生に見せるためのミュージカルだと思っていますし、卒業生は、朝からサンレディへいくのは大変なので、午後の懇親会から出席する人が多数です。チラシをいっぱい配ったのにガラガラポン、という可能性もありますので、風花のみなさん、そのつもりでPRしてください。では、楽しみにしています。(ブログ 詩の散歩道 すはま)

H29, 独創的な新作オペラ「石見銀山」大田で誕生(観劇記)

7月2日、大田市民会館大ホールでオペラ「石見銀山」が昼夜2回上演されました。いずれも満席、終わると何度もカーテンコール、お客さんは大きな拍手とスタンディングオベーションで感動と感謝を舞台へ届けました。(ここで感動的な舞台写真を紹介したいところですが、できないので、世間に流布済みのチラシでどうぞ!)

石見銀山世界遺産登録10周年記念事業として実行委員会が結成され、オペラユニット「レジェンド」の皆さんの絶大な協力によって生まれたオペラです。日本で生まれたオペラは多くありません。作曲、脚本、オーケストラ、舞台美術、歌手、ホール、経費等々、難問の山だからです。それだけに作曲家、脚本家にとってオペラ創作は悲願だそうです。その悲願が石見銀山を舞台にして実現したわけですから、大田市にとっても大きなcultural heritageです。

昨年、オペラに石見神楽を取り入れる、と聞いた時、どうなるかと危惧しました。今まで劇に神楽を取り入れた舞台を見たことがありますが、みな付け添えでした。しかしこのオペラは神楽を中心に据えて創作されました。テーマの中心や周辺で神楽が重要な働きをしていました。この点について大屋神楽代表の松原さんも感心しておられました。脚本の吉田知明さんは真正面から堂々と取り組まれたのです。(神楽の場面は、銀山の鉱夫たちがお祭りで石見神楽を観て楽しむ、という場面だけと思っていた人が多いのではないでしょうか。制作者にも練習にも、その方がはるかに楽です)

事務局長の谷本さんから電話があって、4月初旬から演技やセリフに関してほんの少し係わったのですが、学ぶことがたくさんありました。台本は385ページ!楽譜や歌詞や総てのことが書き込まれています。あちこちにあるセリフや時間の流れも、すべて音節最優先です。「ここでもっと間をとってください」などと言ったら、流れやテンポが台無しです。花音の皆さんを中心にした合唱はかなり仕上がっていました。しかしあちこちにある劇に近いセリフ、40人近い鉱夫たちの舞台での集団演技。それは単純で簡単そうに見えても、とても難しい。振り付けの嘉田さんは東京の中村さんとメールでやりとりしながらノートにメモして頑張っておられました。現地にこういう人がいないと、積み重ねた練習が振り出しのもどります。音楽の指導者をはじめスタッフの皆さんの大奮闘に頭が下がりました。

(練習中の舞台。手前は山陰フィルハーモニー管弦楽団 指揮は中村匡宏さん)

練習中の中村匡宏さんの「一瞬一瞬を、つまらないとは思わせないようにする」といわれた言葉が、度重なる練習を通して本番の舞台で実現したのを目の当たりにしました。
石見銀山の民謡やそれを基調にした音楽や歌も素敵でした。今でもふと気がつけば、メロディや歌が耳で響いていて、驚くことがあります。衣装や舞台装置も素敵でした。最初、鉱山の女性労働者に白い衣装?と一瞬思いましたが、ナールホド、とその舞台上での効果に感心しました。

オペラがクライマックスを過ぎると、何故か「魂の救済」という心情が伝わってきました。古来からの純粋に日本的な魂の救済ですが、オペラの本家である西洋の人たちの目には不思議な魅力があるのではないかと思いました。科学的、合理的ではない未知の不思議な世界です。9月25日には新国立劇場で上演予定で、チケットは完売だそうです。今後の発展が楽しみです。すばらしいオペラをありがとうございました。おつかれさまでした。東京公演、成功を確信しています。

追記 参考までに:
脚本について数名の人から疑問や質問がありましたので、参考までに記しておきます。
島根県史資料編に「おべに孫右衛門ゑんき」が掲載されています。その中に次のように書かれています。(「清水寺天地院縁起」にもほぼ同様な記述があります。「石見八重葎」にも)

『おべに孫右衛門ゑんき』(一名『銀山旧記』)
石州仁万郡佐摩村白銀掘り初る事
大永六年丁亥三月廿三日ニ山人仕候、
此白銀仕始る者ハ、雲州田儀三島清右衛門殿、大工をつれ来る事、
雲州杵築の内鷺の銅山より下り申候、
大工吉田与三右衛門殿、同藤左衛門殿、おべに孫右衛門殿三人頭として銀を掘申候
大永八年八月十八日おべに孫右衛門殿事を山の敷ニて打果し候、然ル処に吉田与三右衛門殿、同藤左衛門殿、両大工に罷成候、左様二候処、孫右衛門両大工に種々崇をなし候而、 今の山神の脇ニ社を立置候、妻の山神と申すハ是なり、

大屋神楽の創作神楽「於紅谷」のあらすじ:
与三右衛門の妻・「お高」は、孫右衛門に恋心を抱いた。そのため孫左衛門は吉田兄弟に殺され、お高も自害。怨念から竜蛇になって祟(たた)り、銀山には災いがつづき銀の産出量も減少。見かねた大山津見命が竜蛇を退治し、お高の怨念を払い孫右衛門の御霊を土山津見命と讃え、お高と共に祀り、銀山に平穏がもどった。

「孫右衛門縁起」には「お高」という女性は出て来ません。『新 石見銀山物語』を執筆された故・石村勝郎さんが、原典からイメージをふくらませ、お高という女性を創作、6ページにわたって悲恋と怨念、救済の物語を書かれました。大屋神樂の「於紅谷」は、これを参考にして創作されたものです。男女の怨念という普遍性や現代性もあり、魅力的な創作神楽です。

石村勝郎さんの本は十数冊本棚にありますが、いつも利用させてもらっています。新聞記者で郷土史家でもありましたが、詩人でもありましたので、歴史的記述のなかに、あちこちで空想的な物語が入り込んでいます。実証的でないという人もいますが、僕には石村さんの自由な発想がとても面白く、物語の核となり、広がっていきます。石村さんの功績を忘れてはいけない、という思いで、長々と書きました。たいくつさまでした。(e? taikutusinai? kokomade yomu hitowa oran. souka, soudane)(ブログ 詩の散歩道 観劇記 地域情報  20170708すはま)