「昌ちゃんの演劇だより」カテゴリーアーカイブ

R5,浜田で「岩町功先生追悼展」・「出会いを語る」(12/9.10)

2日とも午前中は、「追悼映像投影」と「出会いを語る」、朗読劇が行われ、午後から演劇が上演され、ロビーでは展示がありました。その中から「出会いを語る」と「展示」を紹介します。(劇の公演は写真が揃えば後日紹介します) 洲浜との交流が展示されていて恐縮しましたが、新聞掲載のために舞台の劇評や書評を何度か頼まれたり、写真集「石見の100年」や「石見の昭和」などで写真の解説を頼まれました。「島根の高校演劇」の編集も先生中心に取り組みました。浜田で上演された10本近い岩町先生の創作・演出の舞台は観劇しています。
上の写真は、初日の「出会いを語る」舞台写真です。浜田高校演劇部だった人たちが思い出を語られました。次の日には4人でしたが、ぼくが話した主な点は次の通りです。

1、昭和46年に邇摩高で演劇部顧問になったとき石東地区大会で岩町先生を講師にお願いした。当時は泊まり込みで矢上で上演し次の日に合評会があり岩町先生の講評を聞いた。東京でプロの劇団におられただけに最先端の演劇論を聞いた。当時は浜田高演劇部は島根の先頭に立っていた。出雲部の演劇は芝居がかった表現だった。先生の指導の影響だった。(現在は石見地方の高校演劇部はゼロ。出雲、松江地区だけ。何でだろう?何でかな?)

2.先生の提案で「島根の高校演劇」を出版することになり、津和野で一泊して編集会議を開いた。演劇の劇評や書評も頼まれたが、新聞社と事前に話をつけてからぼくに電話がきた。一般の人に広くPRし、同時に記録に残す重要性をよく心得ておられた。

3.生涯、島村抱月の顕彰に尽力され評伝「島村抱月」上、下、で貴重な仕事をされた。(頼まれて新聞に書評を書きブログでも紹介)以前は浜田でも抱月は「女狂いの大学教授」と最低の評価だったが、先生の創作演劇のラストで、他界した抱月が舞台に照明を浴びて出てきた時、観客から大きな拍手が沸き起こった。それを見た時、ぼくは「カタキを取られた」「岩町先生の苦労が報いられた」と思って感動した。

4.二人で浜田の居酒屋で飲んだとき、抱月のことや、後輩を育てる重要性、なぜミュージカルか、など貴重な話を聞いた。浜高で創作劇のミュージカル「長靴をはいた猫」を書き作曲して全国大会へ出場し高い評価を受けた美崎理恵さんに期待し育てていきたいことを口にされた。(石西地区大会は津和野高であり、ぼくは講師だったが素晴らし舞台に驚いた)

5,「郷土石見」の会長で歴史家でもあり脚本家、演出家でもあった岩町先生は、「個であるとともに普遍性のある劇」を創ろとされた。歴史に耐える作品を残そうと志しておられた。

以上、主なポイントを記してみました。先生は大きな業績を残されました。改めて敬意を表し、ご冥福をお祈りします。
(ブログ:演劇だより 地域情報 「空」 20231222洲浜昌三)

 

 

R5,劇研「空」群読「長州軍侵攻と最後の代官」浜田で発表(12/10)

12月9,10日、石央文化ホールで、岩町功先生を偲ぶ公演があります。午前中は、先生との出会いを語る会です。10日は美崎理恵、長岡弘志、鹿森偉左雄さんと洲浜昌三が舞台で話します。どんな話が出てくるか楽しみです。
岩町先生が創作脚本「はたちの心ー若き日の島村抱月ー」を書かれて昭和42年に江津高校が中四国大会(高知)へ出場したときの貴重な写真です。岡山の末安先生から送られてきました。

午後からは、山陰久佐松竹座の「関取千両幟」、14:45から劇研「空」の群読「長州軍侵攻と最後の代官ー鍋田三郎右衛門」(洲浜作)を発表します。史実を中心にフィクションも混じえ映像も投影して発表します。16時からは、創作てんからっと、の「大晦日のラプソディ」(美崎理恵作)が楽しみです。
先日浜田城跡へ行き、作家・司馬遼太郎の「浜田藩追壊の碑」をパチリと写して帰りました。森鴎外は「余ハ石見人 森林太郎トシテ死セント欲ス」と遺言状の冒頭に書きました。司馬遼太郎は「石見人」(いわみびと)と読ませて書いています。今回の群読に関係します。紹介しましす。

「石見國は、山多く、岩骨が海にちらばり、岩根に白波がたぎっている。石見人はよく自然に耐え、頼るべきは、おのれの剛毅と質朴と、 たがいに対する信のみという暮らしをつづけてきた。石見人は誇りたかく、その誇るべき根拠は、ただ石見人であることなのである。
東に水田のゆたかな出雲があり、南に商人と貨財がゆきかう山陽道があり、 西方には長門・ 周防があって、古来策謀がそだち、大勢力の成立する地だった。石見はそれらにかこまれ、ある者は山を耕し、ある者は砂鉄や銀を堀り、ある者は荒海に漕ぎ出して漁をして、いつの世も倦むことがなかった。

浜田の地に城と城下がつくられたのは、江戸初期であった。 幕府は、この城をもって、毛利氏という外様藩に対するいわば最前線の牙城とした。以後、藩主は十八代を経、城は二百四十八年つづいた。 幕末、西方の長州藩が革命化して、幕府の規範から離れた。   長州藩は時のいきおいを得、また火力と軍政を一新させ、各地で幕軍を破った。ついに浜田城下に押しよせた。浜田藩は和戦についての衆議がまとまらず、さらに二十五歳の藩主松平武聰は病臥中でもあって、  曲折のすえ、みずから城を焼いてしりぞいた。
明治維新に先立つ二年前の慶応二年(一八六六)のことである。 いま、城あとに苔と草木と石垣のみである。それらに積る風霜こそ、歴史の記念碑といっていい」    司馬遼太郎

浜田城跡へ行ったら、ぜひ読んでみてください。
(ブログ:劇研「空」 詩の散歩道 演劇だより 20,231,208洲浜)

R5,「令和に拓く石見のステージ」リハで浜田へ

12/9,10,表題の公演が石央文化ホールで2日間開催されます。午前中は「岩町功先生を語る」、午後は6団体の演劇などが上演されます。11月26日にはリハーサルが行われ、劇研「空」も参加しました。全員行けなかったので完全なリハはできませんでしたが、立ち位置、映像、マイク、照明などホールのスタッフと話し合い決定しました。
劇研「空」の出し物は朗読劇「長州軍侵攻と最後の代官ー鍋田三郎右衛門」。浜田城炎上も重要な場面です。帰りに、浜田城へ行ってきました。写真など紹介します。下は石央文化ホールです。
浜田市駅です。一昔前の姿と随分違いますね。
司馬遼太郎が書いた「浜田藩追悼の碑」。今回の朗読劇にも関係します。長州が攻めてきたとき、藩主は討ち死に覚悟だったのに、なぜ城を焼いて船で松江へ逃げたのか。屋敷にも火を放ち、千人近くいた武士、その家族を含め4千人余りの人々は歩いて岡山の鶴田へ。そこでどうしたのか。浜田城址に立ててあった浜田城のCGI復元図をパチリ!立派な城だったんですね。最近の調査では本丸はこの時焼けず、明治5年の浜田地震で倒壊したという説が有力になっています。約45分で激動の歴史をまとめるのは大変。何度も台本を書き直しています。単なる朗読ではなくフィクションで劇形式も取り入れています。リハを見た浜田の人said,「勉強になります」。訊いてみると「ぼんやりとは知っているけど、はっきりとは知らない」とのこと。その言葉は大変参考になりました。ホールの職員のみなさん、ありがとうございました。
(ブログ:劇研「空」活動報告 演劇だより お知らせ  詩の散歩道   20231127洲浜)

R5,「朗読を楽しむ inビラ朝山」おつかれさまでした

11月15日、大田市「ビラ朝山」で、約40名のみなさんと朗読を楽しみました。三瓶の富山や朝山は出雲、石見の国境なので両方の方言が入り混じっています。それを活かして潤色しましたが、今は喋る人がいない懐かしい言葉に親しみを感じられたようです。創作民話朗読劇『出口がない家』では涙を流しておられる人もおられました。このような企画は初めてだそうですが、担当者からも喜んでいただきました。
朗読した民話から一編、「姫逃池ものがたり」をPDFで紹介します。興味がある人は開いてみてください。4ページあります。
R5,民話「姫逃池ものがたり」 4P、11,13 ふるさとの民話.$td

劇研「空」は「地域の歴史文化の掘り起こしと再創造、舞台化」を一つの目標にしいますが、文字を音声化し音楽や映像を使い親しみやすい発表形式にする意義を感じた一日でした。劇形式にするのも有効な表現だと改めて感じました。みなさん、忙しいところ、おつかれさまでした。ありがとうございました。
(Hp:劇研「空」 石見の民話  地域情報  20231115洲浜昌三)

R5,「令和に拓く石見のステージー岩町功先生を偲ぶ公演ー」(12/9,10)

昨年12月18日、浜田市の岩町功先生が他界されました。先生は石見地方の演劇や歴史研究、高校演劇に大きな貢献をされました。先生を偲んで表題の公演が開催されます。
12月9日(土)10時~追悼DVD,対談。11時~18時演劇。
12月10日(日)10時~追悼DVD,対談11時~17時演劇。
劇研「空」は10日14時45分~です。(詳細は後日紹介します)
チケットは千円。大田市民会館やサンレディー大田でも販売しています。岩町先生と御縁があった人はどうぞおいでください。
(お知らせ 劇研「空」 地域情報  演劇だより 20231030洲浜)

R5,大田市民会館で、こどもオペラ「おいもさま」15日15時開演です

大田市民会館の会館60周年記念行事、オペラ「おいもさま」を明日に控え、リハーサルが行われました。短期間の取り組みでしたが、迫力のある完成度の高い舞台に仕上がっていました。村人の衣装を着けた市民合唱団の皆さんの歌、そして集団演技も見事でした。過去の舞台経験の積み上げが確実に「活きている!」のを実感し感激しました。
脚本演出の吉田知明さん、作曲家、新垣隆さん、指揮者の中村さんはじめ、プロの歌手、演奏など、実力者揃いの舞台を大田で見られるのも魅力です。

秋の行事がたくさん開催中ですが、ぜひ市民のみなさんがプロのみなさんと力を合わせて仕上げた感動の舞台を御覧ください。
(劇研「空」詩の散歩道 演劇だより20231014洲浜昌三

R5,第12回「朗読を楽しむ」大田市民会館で(9/30)

9月30日午後1時30分から大田市民会館中ホールで朗読会を開きます。今回は「ふるさとの民話特集」です。約60編をみんなで読んで、その中から約10編を選びました。とても愉快で面白い民話がたくさんあります。今回は劇研「空」以外から4名が参加してくださり、9人が朗読します。第二部では、わらべ歌「1かけ2かけ3かけて」や、詩群読「るかな時を越え~江戸からきたひと 井戸平左衛門~」創作民話劇『出口がない家』を朗読します。
10月15日には市民会館で、こどもオペラ「おいもさま」が上演されます。井戸平左衛門のオペラです。詩の群読もその関係で取り上げました。かなり史実に基づいた詩になっています。『出口がない家』は面白おかしい笑いの民話です。題目と朗読者を紹介しましょう。
市内でも各種行事が重なっていますし、前売り券も出していないのでどれくらいお客様が来られるまったく不明ですが、どうぞ気楽に足を運んでください。朗読する民話の資料を印刷してお渡しします。朗読用に手直しした民話です。
(ブログ:劇研「空」詩の散歩道 お知らせ 20230929洲浜昌三)

R5,こどもオペラ「おいもさま」発会式(7/6)

大田市民会館60周年記念事業の一つとして、こどもオペラ「おいもさま」の準備が進んでいましたが、発会式が会館中ホールで開かれました。目下大人21名、子ども8名が参加予定です。林館長の趣旨説明の後、合唱指導者として伊藤さん、大畑さん、大屋神楽の「井戸公」の作者・安達さんが紹介され、すはまくんが井戸平左衛門の事績や演出などについて簡単に話しました。終わるとすぐに発声練習、つづいて「小さな鳥は海を目指す」(新垣隆、作詞作曲)の練習に入りました。眼の前で聞いていると短時間で出来上がって行くのが分かりました。ラストで歌われる歌です。伸びやかで清澄なとてもいい歌です。劇研「空」のメンバーも参加しています。次の練習日は13日(木)19時~21時まで、サンレディーふれあいホールです。
(ブログ:おしらせ 地域情報 詩の散歩道20230711洲浜昌三)

R5,「朗読で楽しむ郷土の民話」(大田市民会館次回6/21)

市民会館のカルチュアー教室、「朗読で楽しむ郷土の民話」、次回からの予定は、6月21日、7月5日、7月26日、19時30分~21時です。21日は、「包み隠し地蔵」から読みます。当日プリントは渡します。興味がある人はどうぞ。1~13までは読み終わりました。面白い民話もたくさんあります。

1 たにし息子 石見の昔話 山口 大谷千代宝
2 鼠の浄土 〃 〃
3 若宮さま ふるさと読本 鳥井
4 茂ヱ門キツネ 〃
5 お松きつね 〃
6 ごかい米 〃
7 きつねのしかえし 〃
8 百済観音 〃
9 狼の恩返し 〃
10 草鞋の中の小石 石見の昔話 斎藤多作 三隅町
11 鼻なおし 〃 渡辺休二郎 富山
12 兵児かかや 〃 〃
13 猫が小判になった話 ふるさと読本      長久町
14 包み隠し地蔵 〃
15 茂右衛門狐 〃
16 目ざまし鎌 〃 土江
17 稲用の殿様 〃 稲用
18 一つ覚え 25 石見の昔話 山口町 大谷千代宝
19 五十猛知名の由来 27
20 釜屋海岸の牛鬼 29 ふるさと読本 五十猛
21 尻焼平左衛門 31 〃
22 飴買い幽霊 34 〃

(ブログ:劇研「空」詩の散歩道 お知らせ 20230617洲浜)

 

R5,勝部義夫さん ありがとうございました(合掌) 

久しぶりに晴れ渡った爽やかな新緑の5月9日、劇研「空」の皆さんの代表も兼ねて、羽根町の長福寺へ最後のお別れに行ってきました。家族の皆様へ、「いろいろお世話になりました。ありがとうございました」と言うのが精一杯でした。懐かしい遺影に手を合わせ、ご冥福をお祈りしました。

1934年3月19日生まれ、大田高校演劇部で活躍、日大芸術学部映画科学入学と同時に帝国劇場研究生、翌年正式に団員になり1955年東宝専属の俳優として活躍、1976年までに327本の映画に出演されました。島根に帰られてからは、大田の文化活動に献身されました。大田市文化協会会長、島根映画祭を設立し実行委員長も務められました。業績は数々あります。
12/3 勝部義夫氏文化賞受賞祝賀会 – Stagebox

一緒に舞台も創りました。石見銀山を素材にした創作構成劇「鶴」、創作音楽劇「琴の鳴る浜」等々。話していると映画の巨匠・黒澤明監督や長谷川一夫、森繁久彌などとの会話やエピソードが自然に出て来て、興味津々でした。出演された映画などの記録映像を数年前に僕に託されました。いつか追悼記念会を開いて多くの人に観てもらいたいものです。
勝部義夫さんへ山陰中央新報地域開発文化賞 – Stagebox

このブログ(stagebox)で、3回ほど勝部さんの受賞や活動などを紹介していました。ファンだったという全国の人たちからメールがきたこともあります。今回のご逝去を知った人たちが、劇研「空」のブログを検索しておられます。ここにペイストしておきましたので、興味がある人は開いてみてください。
12/15 創作音楽劇『琴の鳴る浜』結団式が終わりました – Stagebox

澄み通った空のもと、ゆっくり車で帰りながら、勝部さんが地域文化のために力を注がれた苦労と実績、そして後の人たちに託された思いを、しみじみ噛み締めました。ありがとうございました。どうか安らかにお眠りください。
(ブログ:劇研「空」昌ちゃんの演劇だより 20230509洲浜)