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1940年、島根県邑智郡邑南町下亀谷生まれ・現在、大田市久利町行恒397在住・早稲田大学教育学部英語英文科卒・邇摩高校、川本高校、大田高校で演劇部を担当、ほぼ毎年創作脚本を執筆。県大会20回、中国大会10回出場(創作脚本賞3度受賞)主な作品「廃校式まで」「それぞれの夏」「母のおくりもの」「星空の卒業式」「僕たちの戦争」「峠の食堂」「また夏がきて」「琴の鳴る浜」「石見銀山旅日記」「吉川経家最後の手紙」「父の宝もの」など。 著作:「洲浜昌三脚本集」(門土社)、「劇作百花」(2,3巻門土社) 詩集「キャンパスの木陰へ」「ひばりよ大地で休め」など。 「邇摩高校60年誌」「川本高校70年誌」「人物しまね文学館」など共著 所属・役職など: 「石見詩人」同人、「島根文藝」会員、大田市演劇サークル劇研「空」代表、島根県文芸協会理事、大田市体育・公園・文化事業団理事、 全国高校演劇協議会顧問、日本劇作家協会会員、季刊「高校演劇」同人、日本詩人クラブ会員、中四国詩人会理事、島根県詩人連合理事長、大田市文化協会理事

R2,短詩「森林 森の酸素工場」(全国育樹祭 三瓶山)

2020年5月31日に予定されていた第71回全国植樹祭は、新型コロナウィルスのために、来年度に延期されました。乱雑に積み上げた書棚を整理していると、新聞の切り抜きがでてきました。
平成13年(1991)10月に三瓶山で行われて第15回全国育樹祭前に発行された山陰中央新報です。全面を使って樹木の写真と洲浜昌三の詩「照葉樹林のふもとで」が掲載されているじゃありませぬか。育樹祭前日の10月5日付けの新聞です。
別の詩も出てきました。「大地の詩」と題した農協の広告です。育樹祭前にシリーズで県内の人に執筆を依頼し、写真と共に掲載していたのでしょう。洲浜の詩と隠岐の竹川恵子さんの詩がでてきました。1990年2月19日付けの新聞です。

森林  緑の酸素工場            洲 浜 昌 三

空の海へ
軽やかに 緑の葉を浮かべ
樹々は 光の中に立っている
空の酸素工場は
音もなく 今日もフル回転

生まれたばかりの
さわやかな風が
樹間を 流れていく

大切なものは 目に見えない
せめて
このそよ風を浴び
空の葉擦れの音に
じっと耳を澄まそう

宇宙に 浮かんだ
この 青い 地球から
日本本土 に近い 森林が
毎年 消えていく という

このころはまだ、詩をこういう場でも大きく扱うという文化があったのでしょう。忘れていましたが、なつかしい再会です。
新聞の詩を少し変更しています。
(ブログ  詩の散歩道 詩作品紹介 20200601 洲浜)

R2, 短詩 野外劇「夕焼け」-五十猛の海ー

短詩 野外劇「夕焼け」ー五十猛の海ー  洲浜昌三

一日の終わりは
華やかな野外劇

無限に広がる空
広大な紺碧の海
海が奏でる水の調べ

壮大な舞台で演じられる
華やかな光の無言劇
「夕焼け」

音もなく
地球の舞台が回ると
舟の影は舟へ

黒い舞台の彼方に
無数の小さな星

この詩も以前、石田健作さんに頼まれ、仁万屋の、はがきのダイレクトメールに書いた詩ですが、少し手を加えています。短い言葉で端的に表現しようと思い、苦労しました。ちぎり絵は夕永清子さん作成による五十猛の港の夕焼けです。ちぎり絵は、独特の味があり詩情も湧いてきます。この五十猛の海の絵も、とてもよくできています。永遠にファイルで眠らせておくには、もったいない。
(ブログ 詩の散歩道 詩作品紹介 20200518 洲浜)

R2, 小学生にとって詩とは?「森をかけ抜ける」

現在、小中学校で、詩はどのように扱われているのでしょうか。二人の孫が低学年のとき、毎日のように「音読を聞いて」と言って教科書をぼくの前で音読しました。その中には必ず詩もありました。しかし、「詩をつくる」ということは、これまで一度もありません。多分、そういう時間や指導はないのかもしれません。学校や先生によって違うのかもしれません。次の詩は倉敷にいる4年生のgrandsonが学校で書いたものです。

森をかけぬける

がっさがっさ
とかけ抜ける
ダッシュだ
ダッシュだ
かけ抜ける
ちょとつもうしん
かけ抜ける
ビュンビュン
ビュンビュン
かけ抜ける
今ぼくは嵐になる

素晴らしい詩で驚きました。詩とは単なる言葉ではなく、空白の空間に絵と言葉で思いや感情を埋める作業なのです。リズム、テンポ、言葉の繰り返し、山から駆け下りて来るイノシシの勢い、急斜面の詩、空白・・・画面全体で表現しています。先生はどんな指導をされたのか知りたい。単なる言葉として詩を教えておられないのかもしれません。今の子供たちにとって、きっと絵と詩は一体なのかもしれません。

島根県文芸協会では毎年「しまね文芸」でジュニアーの詩を募集しています。一昨年、ある中学校から90篇の詩がきました。原稿用紙ではなく、A4の紙に自由に書かれていました。選考しながら感慨がありました。募集要項には「原稿用紙2枚以内」と規定してありましたが、そんな言葉は死語ではないか、と思ったのです。上記の詩を見たとき、そのことが立証された気がしました。昔ながらの詩の概念では、もう古いのです。以前、小学校で詩の講師をしたことがあります。昔通りの指導では、子供たちの新しい芽を殺すことになる可能性があります。
写真はgranddaughterが保育園で描いて、老人の日に贈ってくれたものです。豊ですね。あふれています。描かれた二人も若くて満面の笑顔。現実を豊かに反映しています(文学芸術は現実そのものの表現ではないー誰の言葉だ!)
(ブログ 詩の散歩道 詩作品紹介 子供の詩  20200510洲浜)

R2, 短詩「リラの花が咲くころ」

リラの花が咲くころ                洲 浜 昌 三

高校生のころ
ラジオで覚えた大好きな歌があった
「リラの花が咲くころ」

リラ リラ リラ リラ
なんという さわやかな響きなんだろう

村では 見たこともない花だったので
美しい姿だけが ふくらんだ

何十年もたって
英語ではライラック と知って
ますます美しい夢は ふくらんだ

ライラック ライラック ライラック
なんという きれいな響きなんだろう

ある時 ふとしたことで苗木が手に入り
庭に植えておいたら 初夏に花が咲いた

軽やかに風に浮んだ 薄紫の清楚な花房
ふと流れてくる さわやかで高貴な香り

どこまでも沈んで行く 悲しい日
リラは 美しい姿でそこに立っている
青春の日の あこがれの人のように

なぜ、リラを美しい花と思ったのか分かりませんが、歌った岡本敦夫の歌も好きでしたし、歌詞も印象に残ったからでしょう。今ではリラの花はあちこちで見ることができますが、ぼくの村では当時ありませんでした。だから空想が美しく膨らんだのでしょう。

リラ、という音は、ラ行の「ラリルレロ」で、舌を歯茎に当てて弾いて音を出す破裂音です。明快ではっきりしていて綺麗な澄んだ音に聞こえます。ライラックもそうです。「令和」にも通じます。そのことも影響していることでしょう。

生協から取り寄せ、庭に植えておいたら、どんどん大きくなり、ある日綺麗な花をつけました。思った通りの綺麗な花でした。
大きくなり過ぎて、少し枝を切り落としました。根が強いらしく芽があちこちから顔を出します。以前の詩に少し手を入れて紹介しています。自分の作品は、見るたびに不満が先立ち、手を入れたくなります。作品の一回性は尊重すべきなのに、だめですね。
(ブログ 詩の散歩道 詩作品紹介 20200503 洲浜)

R2, 短詩「宇宙の位置」

短詩

宇宙の位置   洲 浜 昌 三

季節を忘れて
這いずり回っている間に

あなたは 静かに
移動していたらしい

連山の新雪の上を
新緑の若葉の上を
明るい河原の小石の上を
風にゆれる秋桜の上を

ある朝 玄関を出ると
そこに 美しい姿で立っている

一輪の深紅の牡丹

自然は いつも黙って
宇宙の中の ぼくの位置を
教えてくれる

20数年前のことです。仁万屋の石田健作さんから、ダイレクトメールに詩を書いて欲しいと頼まれ、仁万屋でフランス料理を一緒に楽しみました。そのダイレクトメールには、仁万屋の懐石料理の案内と健作さんの料理に関するエッセイ、短詩、ちぎり絵(岩永和子さん)を印刷して、月に一回発行、多くの人に郵送されました。健作さんは慶応で合唱部にもおられて、歌も上手、演劇にも理解があり、文化人でした。残念なことに他界され、仁万屋も廃業されました。一緒にいろんなコラボをするつもりでした。上の短詩は少し修正していますが、そのうちの1枚です。この企画は、中国郵政省の年間賞(名前は忘れた)を受賞したそうです。

今日、庭のボタンが、知らぬ間に、とても見事な花をつけていたので、ふと思いついて、ここに紹介しました。短詩も意識的に書いてきましたので、いつか整理しておきたいと思っています。

フェイスブックに何週間も書かないと、何故か1年前、2年前の記事が自動的に出てきて、「何にゅうしとるんなら。さっさと更新せえ。くそったれが!」と無言で怒鳴られているような気がするので、短詩など紹介してみました。
(ブログ 詩の散歩道 詩作品紹介 20200429 洲浜)

 

R2, 文化行事、次々と中止です

島根、鳥取は新型コロナヴィールス罹患者ゼロ行進中でしたが、ついにカウントが始まりました。昨夜の時点で松江、出雲地区で10名と報道されていますが、石見も虎視眈々と狙われています。お互いの自覚と努力でブロックしたいものです。

書くのは久しぶりですが、関係する行事がどうなったか、お知らせします。
1.大田市民会館カルチュアー講座「朗読で楽しむ郷土の作品」。集会は中止ということで、まだ具体的に動いていません。先日仁摩の人から、参加したいという電話がありました。近日中にチラシを作成し、5月下旬ごろから始めればと思っていますがどうでしょうか。今年は、自分が読みたい作品、聞いて欲しいものを選んで朗読することにしています。
1.しまね文芸フェスタ運営委員会は27日に松江で開催予定でしたが、中止になりました。更に9月20日益田で開催予定だった「しまね文芸フェスタ」も中止。講師に荒川洋治氏をお願いしていましたが、残念です。島根県文化団体連合会発行のニュースが届きました。昨年一年間の活動がうまくまとめてあります。

1.9月12日予定の劇研「空」主催「第11回朗読を楽しむ」はどうするか、話し合わないといけません。
1.4月18日の予定だった「令和に新たに拓く石見のステージ準備会」(石央文化ホールより案内文書、来年2月初旬に舞台発表の予定)は延期になりました。
1.5月24日予定の「島根県詩人連合理事会・総会」は中止。文書で了解を得ることに来まりました。
1.5月31日三瓶山で開催予定だった「全国植樹祭」は来年に延期。(スローガンの選考委員だったので出席案内がきていました)
1.5月31日予定の「しまね演劇ネット総会」は、目下予定通りです。そのうち案内がくるでしょう。

上の写真は仁摩町公園です。2月23日に宮脇恍太さんの写真展を見に行った時に写しました。こんなに立派な滑り台があるのに、いつ行っても誰も滑っていない。もったいない。子供さんを連れて行けば、大喜びして何度も空から降りてくるでしょう。
(ブログ 劇研「空」の活動報告 お知らせ 詩の散歩道 20200415 すはま)

R2,山の内ろうほう著『銀山二世松ものがたり』紹介

2018年8月『銀山二世ものがたり』(発行所・ニッチノーマスが出版されました。著者は建具職人でもある山内芳朗さん。昭和62年に、石見銀山の枯れていく老松に出会い、その後熱心に各地の松や土地の歴史を調べ絵にも描いてこられました。そして多くの作品を社寺などに寄贈されました。この本は長年調べてこられた石見銀山や地域の伝承、人物、民話、そして自作の絵など多彩な内容で構成された314ページの集大成ともいえる著作です。

山内さんは調べたものを毎年タブロイド判の新聞にして発行しておられました。長年の熱心な継続があったので、編集のベテラン・ニッチノーマスの細田さんに出会い、今回の本になったというわけです。どんな内容か目次を紹介しましょう。

歴史的な研究とは違い、山内さん独自の見方、感じ方、解釈を率直に書かれたものです。その独自性に面白い視点や解釈があり、触発されるものがあります。研究書ではなく、一庶民が感じた石見銀山や郷土の歴史への思いとして、貴重な記録ともいえるでしょう。「発刊に寄せて」として和田秀夫さん、和上豊子さんも書いておられます。ぼくも一筆(筆?古いね、PCならどう書けばいいんだ!)書いていますので、PDFで紹介します。興味があれば開いてみてください。
著書紹介 山内朗報著『銀山二世ものがたり』 -過去を未来へ伝えていく使命2段2Pー

本については出版社か著者へお聞きください。図書館にもあります。(ブログ  詩の散歩道 詩集や本の紹介・感想 20200322 洲浜)

R2,「朗読を楽しむin静間」アンケートより

2月11日、「朗読を楽しむin静間」が好評裏に終了したことは紹介しました。主催された静間町文化協会ではアンケートをまとめ、A45枚に印刷して持参されました。グラフも使い、とても分かりやすくまとめておられて感心しました。

お客様の声は励みにもなり反省にもなり、今後に役立てていくためにとても重要です。参加者は60名、40代1、50代6、60代12、70代21、80代6、という年齢構成でした。静間町以外では、長久町10、五十猛2、鳥井1、その他11人の参加者がありました。
全体的にいえることは、初めて朗読で、詩や短歌、エッセイ、創作劇を聞かれた人がほとんどで、新鮮な感動があったようです。朗読劇『長州軍侵攻と銀山最後の代官ー鍋田三郎右衛門』も今回はかなり劇形式を多く取り入れましたので、緊迫感があったようです。地域の江戸から明治の歴史を初めて知ったという方も多く、今後の上演に参考になりました。マイクの使用、映像、音響などについては、反省すべき点があります。

アンケートの一部をPDFで紹介します。メンバーのみなさん、参考にしてください。興味のある人はどうぞ。
R2,アンケート 「朗読を楽しむin静間」スキャン_20200308 (2)

そのうち反省会を開きましょう。
※平成2年度大田市民会館カルチュアー講座「朗読で楽しむ郷土の作品」は4月下旬から予定しています。自分が読みたい作品、聞いて欲しい記録、作品、創作を持参して朗読することにしています。9月12日には中ホールで11回「朗読を楽しむ」も公演予定です。一部は参加自由です。どなたでも大歓迎します。
(ブログ 劇研「空」活動報告 演劇だより 20200311 洲浜)

R1,邑南町文芸誌「大耕」26号発行

島根県邑智郡邑南町で発行されている「大耕」という文芸誌があります。10月に26号が発行されました。事務局(日高政恵さんはじめ編集委員6名)は出羽公民館で、公民館の活動として、町の助成も受けながら、執筆者は3冊購入(3300円)という負担で継続してこらました。
現在、公的な機関がバックアップしている文芸誌がどれだけあるでしょうか。ぼくが知っている限り、島根県がバクアップし島根県文芸協会と一緒に、俳句、短歌、川柳、詩、散文を公募して入選作品を載せている「島根文芸」(52号になります)と、邑南町の「大耕」だけです。(他にあれば教えてください)公的なバックアップがあると、なんといっても強いのは、継続性があるということです。「大耕」が継続しているのも、編集委員見識や努力と共に、公的な支援があるからでしょう。これは地域の文化活動にとってとても重要なことです。この本を読んだとき、同じ文芸に関わっている者として、とても嬉しく、励みになりました。そこがぼくのふるさとでもあるからです。思わず声援を送りたくなりました。「島根文芸」の入選者が邑南町から多かったのも、このような素地があったからでしょう。

昨年、大田で音楽劇『琴の鳴る浜』を上演し、邑南町の知人にも案内して観劇していただきました。それも一つの縁で、町出身者として寄稿してほしいといわれ、僕と他に2人が詩やエッセイを送り掲載されました。寄稿者も高齢化してきて、発行も大変だそうですが、町の出身者にも書いてもらうという方針はとてもグッドアイデアだと思います。表紙は高橋文子さんが描かれた邑南町の風景ですが、素敵です。作品も短歌、俳句、詩、随筆、川柳、回想、民話など多彩です。

27号の〆切は令和2年10月1日です。邑智郡邑南町山田 出羽公民館宛てです。邑南町が故郷の人、懐かしい故郷の思い出を短歌や詩、散文にして送ってください。大変でしょうけど、どんどん消えていく文芸の火を、いろいろ工夫して守っていただきたいものです。応援しています。
(ブログ 詩の散歩道 本の紹介 20200123 すはま )

R1, 三刀屋高校演劇部最優秀賞 全国大会(高知)へ

第57回高校演劇中国地区大会は松江で12月21,22開催され各県代表11校がそれぞれ素晴らしい劇を上演しました。審査の結果、三刀屋高校が『ただ、今』(亀尾佳宏・作)で文部大臣賞を受賞、来年夏の全国大会へ出場します。完成度が高くレベルの高い大会でした。しかも個性的で作風が違う劇ばかりでしたので、本来なら優劣をつけるのは不可能です。審査は激論だったと講師の先生の劇評にありました。想像できます。どういう視点で一票を投じるか、審査員も苦慮されたことでしょう。

写真は閉会式です。三刀屋の劇には洗練された劇つくりのうまさがありました。セリフも自然、滑舌もいいし、対話に絶妙な間や面白くて新鮮なやり取りがあり、しっかりした基礎の上にセンスのいい自在な応用力が光っていて、安心して劇に没入しておれました。舞台装置も生きていました。
光丘高校、山口高校、尾道高校、明成学院もレベルの高い劇で、高校演劇を越えるほど見応えがありました。松江南、鴨方高校、松江工業も派手さはありませんでしたが、飾りのない質朴でダイレクトな舞台も高校演劇として魅力がありました。審査があれば、優劣は避けられませんが、審査員の視点の違いから生まれる差ーと言ってもいいでしょう。素晴らしい大会でした。
参加されたみなさん、素敵な舞台をありがとうございました。おつかれさまでした。
(ブログ 劇研「空」高校演劇 昌ちゃんの演劇だより 2019124 すはま )