Monthly Archive for 7月, 2015

H26, 米子高最優秀、52回中国地区高校演劇大会

2014年12月20、21日、島根県民会館で第52回中国地区高校演劇発表会が行われました。それぞれの学校がレベルの高い舞台を楽しませてくれました。最優秀賞は鳥取県米子高校で、2015年、7月30日から8月1日まで滋賀県の「ひこね市文化プラザ」で開かれる第61回全国高校演劇大会へ出場します。米子高校は30日の16時40分から上演します。

中国大会が終わってから時間がたっていますので、簡単に紹介します。詳しいことは県大会、広島県大会のところで書いていますので参考にしてください。

鳥取県立米子高校
米子高校「学習図鑑」高泉淳子作、演劇部潤色
メモから引用してみます。・ものすごく早口だが無駄な力が入っていなくて言葉がとてもよく分かり強い印象を受けた。・演技も自然で生き生きしている。役者の内面を支える芯がある。装置がすばらしい。役者は壁を乗り越えて出入りするが不自然ではなく、それによって、たくさんある場面がとてもスムーズに展開された。・「お父さん、ぼく成長したよ」という最後の台詞が生きて伝わってきました。

米子校高にはベテランの大和屋かおるさんが長い間顧問としておられましたが、この春、転勤したと本人から聞きました。伝統の上に斬新な才能を持った指導者がおられるのでしょう。すばらしい装置は、劇の表現を深め広げ斬新な展開を可能にします。すばらしい舞台でした。

鳥取県が代表に選ばれたのは、ぼくの記憶では鳥取商業の「現代教育白書」以来で、1980年、第18回大会で岡山市民文化ホールで上演しています。ぼくは川本高校(現、島根中央高校)にいて「大会前二週間」という脚本を書いて上演。鳥取商業の舞台も今でも覚えています。

山口県立光丘高校

山口県立光丘高校「ぴっかり丘は大騒ぎ」緋岡 篝 作
ひおかかがり?華陵高校で全国大会に何度も出場して活躍されていたのに、名前を聞かなくなったので、どうしておられるのかと思っていたら、久しぶりにまたへんなへんめいで登場。教員は転勤があるから仕方がありませんよね。久しぶりに石田先生の伸び伸びとした広がりのある舞台を楽しみました。結果を聞くと、この劇が優秀賞にえらばれたそうです。笑いあり、現代社会への鋭い風刺もあり、地域性や普遍性も備えたいい劇でした。

岡山工業高校
岡山県立岡山工業高校「男でしょっ!」愛知県立一宮高演劇部作 岡山工業演劇部潤色
島根県立大田高校演劇部にいて、劇研「空」でも一回音響を担当、岡山大学在学中の夏休みには「朗読を楽しむ」にも出てもらった森脇 建くんが岡山の先生になり、顧問として二度目の上演。それが岡山県代表となって中国大会へ出場しました。大田から何人も応援にいきました。舞台には20名近く登場するのですが、みんなとても生き生きと動き喋り演じていました。それを見ただけでも、ここまで訓練するのは簡単じゃないと思いました。日ごろの練習の成果です。ここまで演じれば合格ですが、コンクールという視点でみれば、教室の壁がありきたりな感じを受けました。誰もが考える一般的な装置の前で演じれば、誰もが演じる普通の劇になりかねません。かえってない方が劇が広がっていく可能性があります。またよく演じられる劇は、多くの人に観られているので、それを越える舞台をつくるのは大変です。とはいえ、ここまで仕上げたのは立派です。よかったよタケルクン。

出雲高校
出雲高校「泳げ WATER BABYS」伊藤靖之作
50回、51回と連続して全国大会へ出場した出雲高校。今年の劇も見応えがあり、ラストでの感動もありました。今までの抽象的で象徴性と飛躍に富んだ劇が、この劇では少し具体性とテーマの一貫性が強くなっていました。伊藤作品を長年見てきた人たちには「一歩前進」と受け止めた人も多かったと思いますが、審査ではそうでもなかったようです。その上を行く劇があったということもあるでしょう。

講師の講評を次のようにメモしています。「上半身はだか。斬新。こうゆうのもありと思った。お客さんもよく反応していた。ラストは感動的だったが、共感はできなかった。脚本が観念的、言葉に具象性がない。5人が集まる場所とは何だろう。そこへコーチが来るとはどういう場所なのか分からかった。滑舌が少し甘い」

確かに昨年一昨年の洗練された動きや表現、滑舌から比べるとちょっとダウンした観はありますが、迫力という点ではアップしてのではないかと思います。

松江工業高校 (2)
松江工業高校「広くてすてきな宇宙じゃないか」成井 豊作
県大会の劇評で書いていますが、この劇も舞台装置を工夫してとてもうまくつくっていました。それによって劇が散漫にならず凝縮した気がします。米子高校の装置も「プロでもなかなかここまでつくれない」と講師の先生がいわれましたが、この劇にもいえるでしょう。みなさん伸び伸びと好演されました。安来高校の「逝ったり生きたり」を含め、島根の高校演劇が一定のレベル以上にあることを見せてくれました。

入場するとき係りの先生が「写真撮影許可証」を発行しておられました。とてもいいことだと思います。「撮影禁止」と杓子定規に決まり文句をくり返すより、撮影条件を厳守してもらって許可した方が、記録やPRなどに有効です。

みなさん、おつかれさまでした。米子高校のみなさん、全国の舞台でもがんばってください。

H27 米子の詩人・渡部兼直さん 『全詩集Ⅰ・Ⅱ』刊行

鳥取県米子の詩人・渡部兼直さんが「全詩集」2巻を刊行されました。出版社は「編集工房ノア」。1冊が700ページを越える分厚い詩集です。シンプルで品があります。今までにもたくさんの詩集があり、総てではありませんが、書棚にある詩集に集まってもらいました。美事な顔ぶれですね。

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渡部さんは「山陰詩人」の同人でもあり、中四国詩人会でもよく一緒になります。早稲田の文学部国文科の卒業で、9年の差を挟んで、同じキャンパスを歩いていたことになります。国文専攻なのに、プレヴェルのフランス語の訳詩もあります。英語も堪能です。

全詩集に挟まれた栞には、現代詩人の大家・入沢康夫さんの素敵な紹介があります。冒頭を少し紹介してみましょう。

「渡部兼直氏の詩はどれをとって見ても、一分の隙もないほど美事に練り上げられた、しかも常に洒脱味を欠かさない、二重底・三重底の奥行きを持った作品ばかりで、私は読む度に感嘆を久しくる。
いたるところに、古今東西の文化への照応と連想の仕掛けがあって、作者の教養・知見の広さ・深さを痛感させられる。(以下略)」

DSC06579                      (後左 兼直さん、川辺さん、田中さん、前左、洲浜くん、入沢さん、田村さん)

実に適切な指摘ですね。
全詩集を読むと、松江や出雲、大社、三瓶などを素材にした作品にもたくさん出会います。参考までに、たまたま開いた143ページの「出雲のオクニ」の冒頭三連を紹介しましょう。ユーモアがあり、飛躍があり、意表をつくことばが俳諧のように飄々と飾りもなく素っ裸で出て来て、実に楽しい。

「出雲のオクニ」

出雲のオクニと呼ばれた
おんな
桃山時代にひらいた
桃の花

まぶし
出雲のオクニ
桃山のモンロウ

やまたのおろちと呼ばれた
大蛇
いい女に会えば
すなわち
ひと飲みにした
(略)

巨像の爪だけを紹介した程度ですが、兼直さんは、少なくなっていく「詩人らしい詩人」の一人です。じっくり味わいたいと思っています。