10月8日の馬路公演については手短報告しましたが、パンフレットが手に入りましたのでその中に書いたことを紹介します。
音楽と朗読による
創作劇『琴の鳴る浜』 脚本・作詞 洲浜昌三 作曲 長坂行博
守り伝えられた琴姫伝説
劇研「空」代表 洲浜昌三
琴姫の伝説が生まれた地元の馬路で、『琴の鳴る浜』を上演できるとは思ってもいませんでした。大田市民会館の企画と地元のみなさまのご協力により実現できたことをうれしく思います。
この劇が誕生したのは昭和52年です。当時、邇摩高校演劇部の顧問をしていたとき、琴姫伝説に感銘を受けて『琴の鳴る浜』という脚本を書きました。部員たちは熱心に練習し、地区大会で代表になり、松江で行われた県大会へ出場しました。秋には地元で公演して欲しいと頼まれて、この馬路小学校体育館で上演しました。34年振りに同じ体育館で成長した『琴の鳴る浜』を上演できるとは不思議な縁です。琴姫さんが呼んでくれたのかも知れません。
医者であり音楽家としても活躍中の長坂行博先生の作曲という大きな力を得て、元の脚本を大幅に書き換え、合唱指導の伊藤裕子さんはじめ多くのみなさまのご協力により、平成22年3月に創作音楽劇『琴の鳴る浜』を大田市民会館で上演しました。
初演が大変好評でしたので、さらに脚本を手直しして、この3月13日に再演しました。盆踊りのシーンでは地元の琴ヶ浜盆踊り保存会の皆さまや、馬路地区の小学生の皆さんにも出演したいただいて華を添えていただきました。初演にもまして好評でした。「コーラス、演奏、劇が一体となって素晴らしい舞台でした。大田でもこのように洗練された芸術性の高い舞台ができるとは感激です」「大田の誇れる財産です」など観客のアンケートは励みになるものがたくさんありました。これも琴姫さんの力です。
今回の舞台は音楽を中心にした朗読劇用に脚本を直しています。動きはなく言葉だけで物語を展開していきます。言葉の持つ力をどれだけ発揮できるか挑戦です。劇は大がかりですから上演する場所が限られます。しかし朗読劇ならどこでもできます。1人でも2人でも数人でも可能です。
田畑や山林は数年放置しておくと原野にもどります。人の手が加わった田畑や土手や山林には「照り」があります。「照りのある里山」などといいます。「照り」はつやであり光沢であり人の営みであり人の手であり心です。
文化も同様です。放置しておくとゼロになり忘れられてしまいます。800年も前の伝説が今も受け継がれ舞台芸術になってよみがえる。それは守り伝えてこられた皆さんの文化の力です。
朗 読 : 大田市演劇サークル 劇研「空」
山本和之 松本領太 田中安夫 吉川礼子 森山ゆい 田中和子
松本由香里 前田美佳 洲浜昌三
スタッフ(記録など)中村隆美 石橋昇悟
演 奏 : 琴・合原三令 尺八・森山重富 ギター、チェロ・長坂行博 ヴァイオリン・長坂拓巳 キーボード・長坂玲子 シンセサイザー・長坂響子 合唱指揮:伊藤裕子 合唱:馬路地区小学生13名、大田少年少女合唱団9名、フレンズ彩、サウンドコラージュのみなさん21人のみなさん。照明や音響などは大田市民会館のスタッフと補助員のみなさん。
主催:大田市民会館 馬路まちつくりセンター 大田市文化協会 琴の鳴る浜実行 委員会 後援:大田市教育委員会