R7, 詩「あの雲の下」~80年前8月6日の朝 不思議な雲を見た~

1940年8月6日朝8時15分・・・家の前の庭でノブちゃんと「陣取りごっこ」をしていた。幼児時代の記憶はほとんど薄れ、空白になっているが、この場面だけは、はっきりと蘇り動画のように動き始める。80年前の痕跡、アリバイ証明と平和を祈念して以前書いた詩を紹介したみたい。

    あの雲の下    洲浜 昌三

さわやかな八月の朝
二人で陣取りごっこをしていた
中国山脈の盆地の小さな村の庭

ドォ ~~~~ン
突然 大地から湧き出たような鈍い音が響いた

家の中へ駆け込み
二人で 庭の片隅にうずくまった
五歳のぼくと 四歳のノブちゃん

雲ひとつない上平山の上空に
灰色の雲が滲むように広がっていった

「入道雲たぁ違うで」
大人も集まってきて 遠い雲を眺めた
異様な音 異様な雲

あのとき見えなかったものが
日ごとにはっきり見えてくる

雲の下の生き地獄
そして 戦争の構図 (詩集「春の残像」より)

昨年の秋、簸川町の須田栄典さんから「戦争中の郷土の様子を伝える教材がほしい」という要望があり、教師の会で県内の戦争関係の記録や証言を集めている」と言われ、メールでやり取りして大田でお会いした。島根から見た原爆の証言を残したいということで「九十九の白木の箱」を紹介。僕の証言と詩も記録集に載せたいと言われた。今年1月の山陰中央新報に大きく報道された。この記録集は、「私たちのふるさとに戦争があった頃」として島根の小学校や教育委員会などに配布されるという。原爆といえば広島中心になるけど、島根からの証言や記録も貴重だ。劇研「空」は、第14回「朗読を楽しむ」(9月27日)を開催し小泉八雲の作品朗読と、創作朗読劇「あの夏 校舎は原爆病院だった」を発表する予定。興味がある方は、どうぞおいでください。
(ブログ:劇研「空」 詩の散歩道 詩紹介 20250806洲浜)

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