「昌ちゃんの詩の散歩道」カテゴリーアーカイブ

H28 「わたしのことばさがし」谷川俊太郎さんと対談(石見詩人135号)

「石見詩人」135号が発行されたのは昨年12月末でした。昨年9月、「しまね文芸フェスタ2015」で谷川俊太郎さんと対談し、劇研「空」も詩を10数編朗読しました。その記録をエッセイとして書きました。新聞にも紹介されましたので、あちこちから編集者の高田賴昌さんのところへ問い合わせや注文があったそうです。滅多にないことです。

目次 135号 (2)目次 135号 (1)

この号は、ぼくも20部近く購入して関係者へ贈りました。しかし字数が限られていましたので、簡単にしか書けませんでした。対談の記録が欲しいという人がありますので、文章を追加したり写真を入れたりして10ページにまとめてみました。これは劇研「空」の会報18号の一部にもなります。(おーい、空よ!ゲンコウヲダシテクナンショ)いつか出来上がったら、欲しい人に送ります。

では、「わたしのことばさがし」詩人 谷川俊さんとの対談を紹介します。10ページありますので、好きなところを読んでください。
H27 対談「わたしのことばさがし」 「谷川俊太郎&洲浜昌三(島根文芸フェスタ2015)

H28 文芸フェスタは江津市、講師は難波利三氏予定

3月15日、松江で平成27年度県民文化祭文芸部門第2回運営委員会と島根県文芸協会第2回理事会が開かれ、行事報告、決算、予算、行事計画など審議し了承しました。

28年度は散文部門が担当で会長は池野誠さん。「しまね文芸フェスタ2016」は9月18日(日)江津市総合市民センターで開催予定です。講師は大田市出身の直木賞受賞作家、難波利三さん。演題は「石見文学の可能性ー『石見小説集』について」。午後は分科会、前日夜は歓迎会の予定です。

文芸作品の募集は7月1日~9月5日。小説、詩、短歌、俳句、川柳の作品を募集します。表彰式は12月11日、入選作品は『島根文芸49号』に掲載されます。

以上報告です。予定の中に入れておいてください。

H27,12 島根県詩人連合会報79号発行

2015年12月22日,会報79号が発行されました。一面には井上祐介さんの詩「秋の空気」と閤田真太郎さんの「浅い海」が載っています。13回島根県民文化祭文芸作品入賞者の詩も2編掲載されています。知事賞、小林延子「挽歌」、金賞、山田明子「竹かご」。それぞれ味のある作品です。
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2~4ページに「しまね文芸フェスタ2015の成果」が特集として載っています。谷川俊太郎さんとの対談企画の経緯や概要を洲浜くんが書き、閤田真太郎さん、井上祐介さん、舛田尚世さんが対談の様子を感動を込めて書いておられます。上の遠景写真では雰囲気しか分かりませんので、読みたい人は次を見てください。といってもこれも限りなく読みにくいので、ちゃんと読みたい人は現物を読んでください。
対談1
対談2

対談3

発行所は島根県詩人連合事務局(692-0014 安来市飯南町1482 山根方)

H27 第15回中四国詩人会山口大会い in湯田温泉

10月3日中四国詩人会大会が湯田温泉の「西の雅常磐」で開催されました。共催は日本現代詩人会、後援は山口市、山口文化協会、山口県詩人懇話会。車で出かけたのですが、予定より時間がかかり、30分くらい遅れて着きましたので、主な議事は終わっていました。他界された御庄博実さんへの黙祷や詩人賞表彰、会計報告、事業計画などが審議されました。
DSC06857(左は宿泊したホテル(観光シーズンでしたのでホテルはどこも満室、やっと見つけたこのホテルは宿泊費は倍!右側が大会会場の西の雅常磐)

各県詩人の朗読では、高知の山本衛さん、香川の宮本光さん、岡山のかわかみよしこさん、島根の洲浜昌三くん、広島の一瀉千里さん、山口の野村忠司さん。(野村さんは後で話して分かったのですが、意欲的に朗読会を開催しておられ、益田の鎌手出身だと聞いて話しが弾みました)

司会を担当した川辺さんから、何でもいいので朗読前に即席で話しをして欲しいといわれ、みなさがとても参考になる話されました。いい試みでした。詩に対する考えが聞けて親しみが生まれてきます。

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アーサー・ビナードさんの講演の題名は「もしも、詩があったら」。話しのポイントだけをいくつか紹介してみよう。詩や、詩人の役割について貴重な示唆がありました。

1.朗読された詩をきいていて、命がキーワードだと思った。詩人は命をうたう職業だと思った
1.スハマさんの話しの中に、一般の人は詩を読まないということがあった。何故か。つまらないものを魅力的にして買わせるために、「詩っぽいもの」があふれている。詩に近い広告、キャッチコピー、宣伝、広告、歌・・・。毎日そういう詩を浴びせられている。中也が一生で聞いた宣伝を1日で聞いている。
1.今年の8月8日の原爆慰霊祭での総理大臣や各界の人のスピーチは「命」がすべてのスピーチのキーワードだった。「尊い命」。だれも反対できない。しかし尊い命が当時の日本にあったか。国のために死ぬことがが尊い命だったのだ。思考停止して言葉を表面的に使っているにすぎない。歪曲から言葉を取り戻し、対抗できるのは詩人だ。詩人は本質を伝えることができる。裏が取れなくても詩人は詩にできる。

懇親会では、いろいろな詩人のスピーチがあり、中四国詩人賞を受賞された岩﨑ゆきひろさんが詩を朗読されました。「宇宙にかかる木」は1941年に出版された詩集ですが、とても面白く読んだ記憶があります。その時のメモの一部です。「詩を読む楽しさや面白さがある。珍しい。余裕から生まれるユーモア、比喩、設定が奇抜で惹き付ける。目の前の風景や物語の背後に人には見えないものを見、人には聞こえないものを聞く。そこに深味が生まれ陰影が絵柄のように浮かび上がってくる。「風の強い日」のメモには、「散文詩がどれも面白くて暗示に富んでいる。人生が分かっている人という感じを受ける」
DSC06849(詩を朗読中の岩﨑さん。会長の秋吉さんの顔も見える)

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ビナードさんの隣に座ったので、いろいろ話しました。邑南町の田所へ招かれて行った話しをされたので、「そこはぼくが生まれたところです」というと、「いいところですね、とても楽しかった」と言っておられました。「そのうちお願いしたら島根へ来てもらえますか」というと、「喜んで」という言葉が返ってきました。実に気さくで、自然で何でも話せる気がする大きな心の詩人です。

山口のみなさん、お世話になりました。おつかれさまでした。

H27 『石見詩人』134号より

12015年6月30日に134号が発行されました。同人も少なくなりましたが、昭和29(1954)年にキムラフジオさんによって創刊された歴史のある詩誌です。編集者の高田賴昌さんは年2回発行を維持してがんばっています。平成9年(1997)に103号を出した時には同人は約31人。今号では約10名です。
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どうしたことか珍しく山陰中央新報が文化欄で紹介記事を写真入りで掲載しました。ずっと以前は、島根の同人誌が発行される度毎に文化欄のコラムで紹介していました。現在では俳句、短歌、川柳、詩の同人誌の紹介は全く載りません。文化活動に対する見方や姿勢が反映されているのでしょう。

今号で詩を発表しているのは、くりすさほ、栗田好子、宮川菊代、わたなべ恵、閤田真太郎、岩石忠臣、しゅんじこばやし、高田賴昌、洲浜昌三のみなさん。随筆は岩石、閤田、洲浜、高田のみなさんが書いています。

ここではエッセイを一篇紹介します。「いつでも誰でもどこでも無料で ー ブログ 詩の散歩道」洲浜昌三。このブログが、どのようにして始まったか、どんな現状かなど5ページにわたって書いています。同人が少なくなり本も薄くなってきたので、前回から意識的に長いエッセイを書いています。今までは長いものを書くと印刷費が増えるので遠慮していました。今は応援団です。

H27 134号 エッセイ「いつでも誰でもどこでも無料で-ブログ詩の散歩道」2段5P. 洲浜昌三

H27 島根県民文化祭文芸部門表彰式・分科会

2015年12月13日、松江で『島根文芸』入賞者の表彰式が行われました。出席者は入賞者以外に関係者など約80人。最初に島根文芸協会会長(洲浜昌三)が挨拶、県環境生活部部長から俳句、短歌、川柳、詩、散文の入賞者に賞状が手渡されました。作品は「島根文芸」に掲載されています。今年の表紙は国宝に指定された松江城です。

島根文芸 表紙

この本は県の環境生活部国際文化課でも販売しています。千円です。県のホームページにも掲載されています。選評なども載っていてとても参考になります。是非お読みください。図書館には置いてあります。

H27 入賞者名

H27 詩部門

詩部門の表彰式です。表彰式が終わって、各部門毎に分科会が開かれました。詩部門では選者だった閤田さん、山城さんも出席され、事務局長の川辺、理事の有原さん、洲浜が出席しました。

川辺さんの司会で入選者に入賞作品を朗読していただき、感想を述べ合いました。他の部門へ出席された方もあるので、参加者は佐田さん、舛田さん、小村さん、持田さん、柳楽さんなど12名でした。

応募作品は一般が21編、ジュニア-の部が12編でした。普通の募集の仕方だけだと年々数が減っていきます。PRや個人的な接触、指導など工夫をしないと先細りになります。高校生や中学生など、大いに応募してほしいものです。

H27 井上嘉明第10詩集『宙吊り』書評

鳥取の井上嘉明さんが9月5日、第10詩集を発行されました。発行所は詩誌「菱」の会(鳥取市立川町4-207-1 小寺方)定価1500円。11月3日の山陰中央新報文化欄で書評を書きましたので紹介します。

H27 井上嘉明詩集「宙吊り」
書評
 井上嘉明著 詩集『宙づり』     日常の具体から詩の秘境へ                        洲 浜 昌 三

今回の詩集は著者の第十詩集になる。コンスタントにほぼ5,6年の間隔で作品をまとめ、詩集として世に問うところにも著者の詩に対する真摯な姿勢が感じられる。

第一詩集が出たのは1963年。詩集の題名だけでも著者の詩に対する姿勢や立ち位置が見えてきそうだ。
『星座の逃走』『疾走の森』『半透明な島』『汽水域』『漏刻』『おりかえしの狩猟』『後方の椅子』『地軸に向かって』『封じ込めの水』

日常の具象を詩の素材にし、ことばを知的思索の壺で発酵純化しながら、抽象や無意識の世界へ感性の触手を伸ばして詩の秘境を探ろうとする著者の詩は、クラシカルで静的な詩という印象が強い。
しかし、今回の詩集の題名、『宙づり』は一見静的でありながら、いつ墜落するか分からない動的な緊張と恐怖を秘めている。吊っているのは誰か、釣られているのは何か。本のタイトルにもなった三連からなる詩を紹介しよう。

「たれさがった蜘蛛の糸に/枯葉が一枚/宙づりになっている/糸に付着した露の小粒に/朝のひかりがあたる/ゆれうごくものに/停止した時間が宿るのだ//囚われの葉は/風もないのに/仕掛け時計の人形のように/くるくると 右に左に小さく回り続ける/やがて 糸の水分が蒸発すると/もとの一本のしなやかな意志に戻る//上澄みの空気を/ひとり占めにし/鳥たちを/わがふところに遊ばせていた木々/蜘蛛は無実の葉を/絞首刑にしているつもり/なのかもしれない」

無駄のない簡潔なことばで描写された蜘蛛の糸と木の葉の光景は、光と影、静と動の対比も鮮やかで一幅の絵のように印象に残る。しかし読み進むうちに、「糸と葉」は抽象に昇華され恐ろしい存在が覗いてくる。鳥たちを遊ばせた木の葉は、罪もないのに絞首刑になろうとしている。思わず我が身を重ね不安を感じる。同時に「絞首刑にしているつもり/なのかもしれない」という表現に遊び心やユーモアも浮かび上がってきて心が和む。ことばを厳選し磨き上げて巧みに配列し、微妙な「ゆらぎ」を生み出す著者の繊細な感性がなせる技である。

「あとがき」にもあるように、著者が一貫して詩で問いかけてきたのは「生と死、存在と時間」の問題である。しかしこの哲学的、抽象的で難解な問題を作者は具体を通して平易なことばで表現しようとしてきた。引用した「宙づり」はその好例である。ことばは平易である。しかし具体を踏み台にして高くジャンプした先に生まれる詩の世界は決して平易ではない。ここに井上詩の奥深さがあり読む楽しさとともに詩文学としてのカタリシスがある。

今回の詩集では死に関連した作品も多いが、身体やことばなど日常的な物を素材にして生まれた温か味のある詩も多い。更に東南アジア、アフリカ、モンゴルなど異文化の地で触発されて生まれた詩も大変面白かった。(日本詩人クラブ会員)

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H27 文芸フェスタで谷川俊太郎さん新作披露

今年度の「しまね文芸フェスタ2015」は9月22日無事に終了しました。劇研空のブログ、stage boxでも「空」の活動報告として紹介していますが、ここではちょっと違った角度から紹介します。前夜祭「谷川俊太郎さん歓迎会」は各分野の代表と県の担当者など20数名でしたが、楽しい会でした。谷川さんの隣に座って、いろいろ話しました。どんな質問にも旧友かのように自由に答えていただき、次の日の対談もその延長で行うことができたのは大きな収穫でした。格式張らない自由な対応がとても豊に思えました。

フェスタ客席谷川さんも

会場の県民会館中ホールはほぼ満員でした。文芸フェスタでは滅多にないことです。このところずっと文芸関係者だけでしかも女性中心で高齢化していたのですが、初めて参加した人、若い人、男性などとても多彩な人たちがこられました。そのこともあったのでしょう、対談中の反応がとても伸び伸びとして笑いなども起こり、いい雰囲気でした。朗読した空のメンバーも同じことをいっていました。上の写真は開会式ですが、谷川さんは、「様子を見てみたい」といわれて一階席の最後部に立って見ておられました。そういうところにも谷川さんの心配りが感じられました。

洲浜・谷川対談
劇研「空」のメンバー6人による谷川さんの詩の朗読(初期の詩・ことばあそびの詩・最近の詩と3部に分けて朗読)を挟んで対談しました。対談の最後に、「ここでサプライズを披露します」といって谷川さんに新作を朗読していただきました。大きな拍手がありました。

事前に、もし可能なら「島根」か「松江」という題で詩をお願いできませんか、とお願いしておいたのです。谷川さんは「しまねまつえ」を行頭にいれたアクロスティック形式の詩を朗読されました。題は「詩」です。この対談のテーマをしっかり見据えて書かれたことがよく分かります。紹介します。

谷川さんの新作

午後は詩の分科会でした。今までになく多くの人が参加してくださいました。事前に朗読詩を提出していた人も多く朗読されて、谷川さんも感想を述べ批評されました。とても貴重な時間でした。なーるほど、と思うことが度々ありました。

谷川さんの了解も得て、石見銀山テレビが撮影しました。11月21日に放映します。大田市にいないと見られません。見たい人は大田へきてください。

後日、谷川さんへ礼状をだしました。谷川さんから返事がきました。その中に次のような一節がありました。「島根の日々は私にとっても楽しく充実したものでした。詩が全体的に力を失ってきている感じなので、文芸フェスタがずっと元気でいてほしいと願っています」

その後、大田から松江まで聞きに行ったという人たちに何人も会いました。「とてもたのしかった」「分かり安くてとても勉強になりました」などという言葉をいただきました。

谷川さん、お忙しいなかをはるばる島根まで来ていただき、ありがとうございました。参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

H27 15回中四国詩人賞 岩﨑ゆきひろ『風の強い日』

中四国詩人会ニューズレター38号が届きました。今年度は山口県湯田温泉で15回大会が開催されます。10月3日(土)西の雅常磐で13時から総会です。7月の理事会で中四国詩人賞の選考委員会が開かれ、発表されました。山口の大会で受賞式が行われます。ニューズレターから紹介します。
DSC06769受賞式では岩﨑さんの朗読もある予定です。まだ詩集を読んでいませんので感想は述べられませんが、森田薫選考委員長の評によれば、「破天荒ともいうべき、鋭い切口。独創的な味わいのある巧みな語りは、それまで胸底に押さえつけられたものを一気に開放するような気迫さえ感じる」と述べておられます。おめでとうございます。

山口の大会には島根の朗読代表ということになっていますので出席します。ちょうど観光シーズンでどこのホテルも満員。やっとこさで見つけたホテルは通常の倍額!湯田温泉は観光地なんだな、と改めて感心しました。

そういえば9月22日に松江で「しまね文芸フェスタ2015」を開催し、谷川俊太郎さんをお呼びしますが、4月の時点でほとんどのホテルが一杯。あるところへ頼み込んでやっとこさで確保しました。松江も観光地なんですね。

山口の次は鳥取の米子市で開催予定です。島根も協力してほしいといわれています。島根は大田市、松江市と2回開催しました。どのような協力が可能か検討しなければいけません。

H27 米子の詩人・渡部兼直さん 『全詩集Ⅰ・Ⅱ』刊行

鳥取県米子の詩人・渡部兼直さんが「全詩集」2巻を刊行されました。出版社は「編集工房ノア」。1冊が700ページを越える分厚い詩集です。シンプルで品があります。今までにもたくさんの詩集があり、総てではありませんが、書棚にある詩集に集まってもらいました。美事な顔ぶれですね。

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渡部さんは「山陰詩人」の同人でもあり、中四国詩人会でもよく一緒になります。早稲田の文学部国文科の卒業で、9年の差を挟んで、同じキャンパスを歩いていたことになります。国文専攻なのに、プレヴェルのフランス語の訳詩もあります。英語も堪能です。

全詩集に挟まれた栞には、現代詩人の大家・入沢康夫さんの素敵な紹介があります。冒頭を少し紹介してみましょう。

「渡部兼直氏の詩はどれをとって見ても、一分の隙もないほど美事に練り上げられた、しかも常に洒脱味を欠かさない、二重底・三重底の奥行きを持った作品ばかりで、私は読む度に感嘆を久しくる。
いたるところに、古今東西の文化への照応と連想の仕掛けがあって、作者の教養・知見の広さ・深さを痛感させられる。(以下略)」

DSC06579                      (後左 兼直さん、川辺さん、田中さん、前左、洲浜くん、入沢さん、田村さん)

実に適切な指摘ですね。
全詩集を読むと、松江や出雲、大社、三瓶などを素材にした作品にもたくさん出会います。参考までに、たまたま開いた143ページの「出雲のオクニ」の冒頭三連を紹介しましょう。ユーモアがあり、飛躍があり、意表をつくことばが俳諧のように飄々と飾りもなく素っ裸で出て来て、実に楽しい。

「出雲のオクニ」

出雲のオクニと呼ばれた
おんな
桃山時代にひらいた
桃の花

まぶし
出雲のオクニ
桃山のモンロウ

やまたのおろちと呼ばれた
大蛇
いい女に会えば
すなわち
ひと飲みにした
(略)

巨像の爪だけを紹介した程度ですが、兼直さんは、少なくなっていく「詩人らしい詩人」の一人です。じっくり味わいたいと思っています。