劇団8チャンネルが大田で初めて公演しました。『推薦裁判』(深野敦史 作、坂根陽介 演出)は、机3台と白板、出演者3名というシンプルな会話劇ですが、スピード感あふれたハイテンポの爽やかな劇でした。コロナ禍で50名限定でしたが、大田市民会館中ホール(ホールと言っても広い部屋に特設舞台設置)で2月6日、7日に開催。大田で若い人の溌剌とした現代劇を観るのは久しぶりです。写真は許可を得て劇終了後にパチリした3名の出演者です。
劇にはいろいろなタイプがありますが、この劇の狙いと演出は、明快ですっきりしています。舞台で交わされる莫大な会話を楽しく面白くスピーディに展開して観客を惹きつけることです。チラシに「ドタバタシチュエーションコメディ、ここに開幕」とあります。ドタバタ劇という印象はありませんが、コメディタッチという印象は残っています。以下パンフより、あらすじです。
このストーリーを、現実として真面目にリアルに演じたら、嘘っぽくなり、劇になりません。教師間には生徒の指導をめぐって、ライバル意識があるとしても、水面下での無言のバトルです。
この劇が面白いのは、その意識下の無言のバトルを、堂々と言葉にして白昼に晒して見せたところです。しかも、とてもスピーディに会話が展開されるので、「嘘だ、そんなことはない」などと考えたり立ち止まったりする暇がなく、舞台で展開される劇を現実として受け入れながら観てしまうのです。大成功です。
ラストの場面は、「知恵を絞って一件落着」という点では、「お見事!」とも言えそうですが、もう一工夫して、真実を抉り出せれば、コメディでも深みのあるしてコメディになったでしょう。小説でも劇でも、初めと終わりは難しい。苦労します。
大田では初演とはいえ、みなさん舞台の経験者ですから、いろいろな意味で無駄がなく洗練された爽やかな舞台でした。みなさん、おつかれさまでした。次回も楽しみにしています。
(ブログ:劇研「空」 観劇 地域情報 昌ちゃんの演劇だより 20210227 すはま)