H26 『石見詩人』133号の詩とエッセイ

石見詩人133号は2014、12、25、発行されました。現在は年2回発行になっています。134号の〆切は平成27、5、20です。133号に乗せた詩とエッセイを紹介します。

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まぶしく悲しい「里の秋」
洲 浜 昌 三
夕闇の空に
ひときわ高く浮かぶ峰のように
鮮やかになっていく風景がある

磨かれた講堂の舞台に立って
小学校一年生のあなたが歌っている

しずかなしずかな 里の秋
お背戸に木の実の 落ちる夜は
ああ かあさんと ただ二人
栗の実煮てます いろりばた ※

美しい声が講堂に流れ
一年生のぼくも茣蓙(ござ)に座って聞いている

敗戦直後のくすんだ生活のなかで
別世界のように浮かび上がってくる明るい光景
そこに立つ白いドレスのあなたは今もまぶしく
口ずさむと悲しさが胸に滲んでくる

軍歌を高唱していた少年のぼくが
こんなに淋しい歌に出会ったのは初めてだった

日本が戦争に敗れた時 外地には民間人や軍人
が六百六十万人残された この歌は外地引揚者
を励ますためにつくられ ラジオで初めて流さ
れた時 NΗKスタッフ全員がシーンとなった
という

海の彼方の遠い異国にいる父を
母と二人で待っている歌だと知ったのは
六十年以上もたった先日のことである

※ 童謡「里の秋」作詞・斎藤信夫 作曲・海沼実

H26 随筆 「どうしてますか 」石見詩人133号上下2段3ページ_

『石見詩人』の発行所は698-0004 益田市東町17-15 (編集者・高田賴昌)です。詩やエッセイが好きな人、大歓迎です。高田さんへ連絡してください。0856-22-7156です。

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