孤高の作家・石田 登さんが他界されたのは平成25年7月28日、88歳だった。石田さんは島根県雲南市吉田村川手に生まれ、農業をしながら小説を書いてこられた。「蛮族」が1976年7月に創刊された時からの有力な同人だった。その「蛮族」が平成26年4月に37号を発行し、石田さんを追悼している。
石田さんからは毎号「蛮族」を贈ってもらっていたので、必ず読んで、感想を書いて送っていた。年賀状もやりとりしていた。山陰中央新報に何度もエッセイを書かれたので、切り取って保存している。実際に会ったのは2,3回だけで、いつも文学の会合だったために、じっくり話したことはなかったが、小説を読んでいたし、その小説は一貫して私小説だったので、なんとなくよく知っているような気がしていた。寡黙で誠実な人だったが、小説に対しては厳しい人だった。50歳過ぎごろから、吉田村で陶芸もやっておられ、作品はプロ級だったそうで愛好者もあったという。一度訪問してみたいと思っていたが、とうとう実現しなかった。
同人や関係者の追悼文は石田さんの小説を理解するのに大変参考になる。内藤美智子さんと野津泱さんの小説も載っている。大変おもしろく読んだ。
「蛮族」の編集・発行は松江市下東川津町266-7 野津 泱。定価500円。購入希望者はどうぞ。