2011年6月、浜田市のくりすさほさんが詩集を出されました。『いつか また』は100ページの詩集で31編の詩が載っています。どの作品も平易で難解な言葉はありませんが、若々しい感性にあふれ、省略された空間が大きいので単純に分かりやすい詩とは言えません。「感じる」ことがたくさんある魅力的な詩がたくさんあります。詩に感心がない人で楽しめる詩集です。
タイトルにもなっている冒頭の詩「いつか また」を紹介します。
いつか また
一読すると女学生が書いたかとも思われるような詩です。しかしよく読むと感性だけではない深いものが感じられます。「風は/誘っていない」とか「いつか また…」には引き戻されます。風が誘っていないのに花びらは落ちるのです。普通の「いつか また」には夢や希望があります。特に若い人なら未来に開かれた言葉です。くりすさんは高齢な方です。「いつか また」の「いつか」はどの時点をイメージしてつくられたのでしょう。そう思えば、不安や恐怖も滲み出てきます。長い人生と経験の末にサクラを見ているのです。女学生の感性で書かれていることも不思議な魅力ですが、どこかにさらっと人生の深い谷を見た目が生きて来ます。それが立ち止まらせ考えさせます。
くりすさんは石見詩人の同人で島根県詩人連合会員です。この詩集は第一詩集。何かの時の贈り物として送ったらきっと喜ばれると思います。希望があれば取り寄せてお送りします。
ではもう一編紹介します。
詩集は石見文芸懇話会から発行されています。浜田市黒川町251-12 山城様方です。印刷は弘文印刷(0855-22-3171 浜田市片庭町254-6)。
「石見詩人」は11月ごろ127号を発行しますが、この詩集の感想特集を載せます。