琴が浜の鳴り砂へ案内

先日、山陰を訪ねたいと二人の女性が来られました。一人はシンガポールの大学で教えておられる女性、そしてその友人。出雲大社や須佐神社などをみて石見銀山へ案内。温泉津へ行く途中琴が浜へ寄ると、砂の上を歩いてとても喜んでおられました。

7月1日、海へ行きたいという声が上がり、子供,孫その親連中を引き連れて(ノーノー、連中に引き連れられて)琴が浜へ。いつ来ても晴れ晴れとする風景です。

一人の男性が、人が来る度に近寄って案内しておられました。あれが松浦さんかな、と何となく思っていました。帰り際に話していると、やっぱりカズトシさん!お互いにびっくりしたり感心したり。
H25 琴が浜

創作劇「琴の鳴る浜」を上演したとき、二度松江から見に来られて、ていねいな感想文をいただきました。馬路体育館で公演したときの感想文は会報に載せています。松浦さんには「馬路方言」の著書もあり、脚本を書く時にも参考にさせていただきました。

2,3年前、土、日には松江から帰り、ボランティアで案内している、と手紙に書いてありました。現在は馬路に移って案内し。手作りの冊子を渡しておられるのだそうです。

琴が浜に来られたお客さんの多くが、「いくら砂を蹴っても鳴らない」と言って不満そうに帰っていくのが残念で,悔しくて、案内を始めたのだそうです。陽が照りつける砂浜で長時間の案内は大変です。でも、こんな人がおられるんですね。有り難いことです。来られた人たちは熱心に説明を聞いておられました。

だんだん砂の汚染が進んで、陸に近い浜の砂は鳴らないそうです。来た人はそこの砂を蹴って、鳴らない!と不満を言い、失望するようです。
DSC_0398琴が浜の西端の鞆が浦の近くにある「鞆の銀蔵」で食事をしました。お客さんも9人ばかりあり、その上に一度に10人も入ったので、食事の準備が間に合わないとのこと。念願のボベ飯と味噌汁だけにしました。とてもとても美味しかった!大好評でした。

帰り際に「とても美味しかったです」とお礼を言いに行くと、台所から、「久しぶりです、あの時はお世話になりました」との言葉!

なんとなんと「琴の鳴る浜」の舞台へ出て、盆踊りを踊っていただいた方でした。今度行くときには予約していきます。大海原を眺めながら、コーヒーもいいですね。

 

 

 

日和聡子さんの講演会終了

2013年6月16日、大田市民会館中ホールで日和聡子さんの講演会と対談が行われました。大田市文化協会が市の委託を受けて実施している事業で、活躍している大田市関係の出身者を招いて数年前から実施しています。日和さんは美郷町出身ですが、大田高校の卒業生です。

演題は「読むこと・書くこと」、対談は「ふるさとと私」。当日は約80名の聴講者があり、出雲や安来、川本、浜田、江津、などから来られた人もありました。
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印象に残ったことを簡単に二つだけ紹介します。

書くとき、子供の頃よく遊んだ、「字隠し」を探り当てるように書く。字隠しとは、土の地面に字を書いて砂をかぶせ、相手は砂を取り除きながら、その字を当てる遊びです。また土器を発掘する時のように、バラバラになっている土器の破片を繋ぎ合わせるような意識で書くという言葉もありました。

「仕掛けをいうことはしない」。方言だと思います。「仕掛けを言うことはしない」という言葉も印象に残りました。

来られた人たちも、この二つのことに印象を受けた人が多かったようです。

対談で、ある文章を朗読し、「なんともいえないユーモアを感じるのですが、日和さんはどう思いますか」と聞くと、「特にユーモアを意識して書いているわけではありません」という答えが返ってきて意外でした。というよりユーモアの「仕掛け」は意識していないということです。結果として生まれてきたユーモアです。これはスゴイな、と思いました。
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講演のあとは10分休憩、そのあと洲浜との対談でした。「日和さんの詩や小説の魅力を引き出すためにいろいろ質問しますので気軽に答えてください。40分だから、あっという間に終わると思います」と事前に話しておきました。

日和さんの詩や小説を読んでいる人は、あの難解とも思える個性的な表現の秘密を知りたいはずです。読んだことがない人には、日和さんの作品の一端でも知ってもらわないことには対談での話しが空回りします。時間がもう少しあれば、日和さんの作品をもっと紹介したかったのですが、詩一編と小説の数行だけしか紹介出来ませんでした。しかし紹介したお陰で聞いている人たちは日和さんの文学の特徴が理解できたようでした。

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数日後、アンケートを読ませていただきました。多くの人が、大変よかった、よかった、と答えておられました。ほとんどの人が、このような催しがあった方がいい、と答えておられました。

ぼく自身、詩や小説の同人誌の合評会などで文学について議論する機会は多いのですが、この大田では詩や小説の同人誌はありません。しかし文学が好きな人や実際に書いている人がおられることが分かり、うれしく思いました。詩やエッセイや小説などを書いたり感想を述べ合ったりする場が生まれればいいな・・・・。
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(「しまね文学館」でも日和さんの紹介をしています。この本は大田では昭和堂書店にあります。直接ぼくへ申し込まれてもお送りします。島根に関わる文人について知るには最適な本です)

文化講演会に関わられたみなさん、そして日和さん、お疲れさまでした。

H25 青原小で文化芸術体験授業

2013年6月4日、津和野町立青原小学校でワークショップをしました。これは県文化国際課の「しまねの文化芸術体験事業」です。劇研「空」は、昨年島根演劇ネットを通して企画案を提出していました。その結果、青原小学校から声がかかりました。詩の群読を通して発表力を養う、という目的です。

台本など準備に数日かかりましたが、無事に終わりました。詳しいことはまた会報などでお知らせします。写真は音楽室の風景写真です。

H25 青原小

劇研空のレイコさんがギターを抱えてはるばる来てくれ、シゲミさんが記録や介護(?)係りとして同行してくれました。

「つもった雪」はギターに合わせてみんなで歌うことを一つの目標にしていましたが、これは成功でした。ピカピカの一年生から、落ち着いて理解力もある6年まで28名です
から、どこに焦点を合わせるか難しいところです。上級生は詩の理解力も十分あります。学年で選んだ詩を群読してもらいました。今後続けるそうですから、きっと上達していきうことでしょう。楽しみです。

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最後にもう一度歌をみんなで歌いました。

終わって、「今日の感想を何か述べたい人はありますか」と先生がいわれると、7,8名の児童が勢いよく手をあげて、感想を述べてくれました。とても励まされました。

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後で聞くと、日頃はおとなしく、ほとんど発言しない子が数人、自分の感想をしっかり述べたそうで、先生も感動しておられましたが、レイコさんもぼくも、感動しました。

反省することもいろいろありますが、ひとまず終わったことを報告します。

 

 

 

大田市文化講演会へ日和聡子さん

2013年6月16日(日)14時から大田市民会館中ホールで、日和聡子さんを迎えて文化講演会が開かれます。申し込み〆切は6月14日まで。定員150人。日和さんは邑智郡美郷町の出身で大田高校卒業。中原中也賞、野間文芸新人賞の受賞者です。どんな話しが聞けるか楽しみです。主催は大田市文化協会、チラシはほぼ全戸配布されています。

H25 文化講演 日和聡子

次の文章は島根県文化団体連合会の「ぶんかれんニュース」(2013年2月発行)に掲載されたものです。ぼくも文章作成に関わり、主に島根の視点から書いていますが、紹介してみます。

日和聡子さん、野間文芸新人賞を受賞

「平成24年度「第34回野間文芸新人賞」を島根県出身(邑智郡美郷町生まれ)の日和聡子さんが『螺法四千年記』で受賞。   日和さんは平成14年に、詩集『びるま』で第7回中原中也賞を受賞され、その後小説でも川端康成文学賞候補、三島由紀夫賞候補になり注目されていました。
大田高校在学中には「島根県芸術文化祭(現県民文化祭)」の詩部門に応募した『サーカディアンリズム』で銀賞を受賞された経歴があります。回想や戦争体験などの叙情詩が応募作品の大半を占める中で、日和さんの詩は独自の想像力や感性が光っていました。   県民文化祭参加者が第一線で活躍されることは、大きな刺激となり、文化芸術の担い手育成に、強力な後押しとなります。
県文芸協会が毎年公募し、入選作品を載せて発行する『島根文芸』は45号の歴史を重ねています。未来を拓く若い人たちに期待して、小、中、高校生の募集にも力を入れてきました。今年度は『ジュニア-の部』の作品集も発行しました。  県内の文学活動の裾野がさらに広がり、隠れた原石が磨かれ、「日和さんに続け!」となることを願っています。

洲浜昌三氏(詩人連合理事長)談  「日和さんは、職員室前にぼくが掲示した『県芸術文化祭文芸作品募集』のチラシ見て、詩を応募したとか。一枚のチラシをきっかけに今回の受賞の喜びを共にできるとは不思議な縁を感じます。
いつも読ませてもらってる詩や小説には、オリジナリティに富む想像力や言葉に対する独特の感性があり、時流に流されない文学性の高い作品は、いつか高い評価をうけるだろうと期待していました。
野間文芸新人賞は島根から佐藤洋二郎さんに次いで二人目です。浜田出身の志川節子さんが今回直木賞候補でした。島根も底力がありますね。大田市文化協会では6月中旬に日和さんの講演会を開きます。楽しみです」

日和さんについてはこのブログで何回か紹介していますので、参考にしてください。今月26日に島根県詩人連合総会を開きましたが、この席でも紹介しました。事務局長さんは、はるばる安来から来るそうです。実際に創作し、日和さんの詩や小説を読んでいる人は興味や関心が高いはずです。

後輩の大田高校生のみなさん、聞きに来て刺激を受け、第二、第三の日和さんになってください。

講演が終わって30分くらい、すはまくんと対談します。日和さんの文学の特徴や魅力を紹介し、独特の感性から生まれる言葉やイメージの原点を探ってみたいと思います。

H25 石見演劇フェスタの会議報告

2013/04/27、浜田の石央文化ホールで石見演劇フェステバルの第一回代表者会が午後1時から開かれました。出席団体は劇研空、ドリームカンパニー(益田)、くにびき18座、山陰久佐松竹座、今福盛り上げ隊、npo創作てんからっと、浜田高校演劇部、劇団川本塾、深山会、石央文化ホールの関係者。主なことを報告します。
H24 新聞 石見演劇フェスタ

(昨年の石見演劇フェスタを報道した山陰中央新報です。今年度のフェスタとはまったく関係ありません。読みたい人は購読するか図書感で読んでください)

大会長、岩町功先生の司会で会議が進行。最初に昨年の反省から今年度の方針を話し会いました。最初に意見を求められたので、次のようなことを述べました。

1.一日10団体上演は無理が多い。9時から5時まで昼食休憩なしの上演では観客に負担が多い。しかし2日間上演すれば経費は倍になり開催は困難。そこで一団体の上演時間は45分以内にしてどうか。
1.リハーサルでは照明や音響とのきっかけ合わせがしたい。そのためには照明の仕込みの日程や時間を事前に確保してほしい。(連続して会場確保するには10,11月は困難)

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(内容と写真はなんの関係もありません。単なる気分転換です。さてこの三瓶山はどこから写したかわかりますか。分かる人は大田のことがよく分かっている人だということが分かります)

いろいろ話し合った結果次のことが決定されました。
1.今年度開催は3月5,6,7,8,9(8ゲネ、9本番、5,6,7はリハ)
1.上演時間は45分以内。(どうしても1時間が必要な劇団は例外)
1.9月末までに各団体は上演作品、時間を報告する。
1.10月中旬に次回の会議を開催する。

以上です。劇研空は目下白紙です。川本塾の堤さんが出席されました。今年度も川本では地芝居大会を開催される計画ですが、この浜田のフェスタにも参加される予定です。

帰り際に、「11月15日に邇摩高校創立110周年記念で『石見銀山旅日記』の上演依頼を受けているんですが、都合はどうですか」と聞きました。忙しい人ですから今から予約を確実にしておかないといけません。「会報はできましたか」と聞かれ、「あと少しです」と答えましたが、待っていてくれる人がいることを知り、がんばらねば、と思った次第です。

4/29大田のReadでアコ-ステックギター演奏会

2013年4月29日18:30から大田市内のミュージックバー・Readでacoustic liveが開かれます。主催は「おおだびより実行委員会」音楽が好きな若い人たちの集まりです。演奏者は京都のトミタ ショウゴさん、雲南市の森山らきあさん、大田市の三浦 類さん。それぞれギターにキャリアのある実力者です。
H25 阿コーステック ライブ

地元大田市で音楽の企画がしたい。自分たちのいまちでいろんな風景が観たい。純粋に人と出会い、楽しみたい。そんな単純な人たちが集まってチームになっった。「大田が好きだけぇ」が口癖。(チラシより)

いいですね。若い人たちがどんどん自分たちが好きなことをやってほしい。自然に応援する人たちも回りに生まれます。動けばいろいろな出会いにぶつかります。そこからまた新に開けてくる風景もあることでしょう。

リードがどんなところか知りませんが、音楽好きな若い人がはじめたバーだとか。こういうたまり場があできることは貴重ですね。

劇研空も以前からいい場所はないかと探しています。市内には喫茶店がほとんど見あたらなくなりました。ある喫茶店には2回下見にいきました。理解のある店主がいて、朗読会などができる喫茶店などがあればうれしいけどね。

上のチラシは、文化プロデユーサー研修後の第3回集会(4月22日に市民会館で開催)、で渡されたものです。興味のある人は是非出かけてみてください。

3/30 機能も充実、新装大田市民会館を見学

3月31日、新装なった大田市民会館のリニューアルセレモニーが行われました。100人以上の人たちが集まりました。
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テープカットがおわり、会館の内部を見学しました。中ホールはいままで「単なる広い部屋」でしたが、「舞台にもなる小劇場」になっていました。ホリゾント幕や袖幕は大ホールのものを再利用したとか。最新のプロジェクターもあり、音響も素敵です。
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後ろを振り向くと!なに?この人たち?!
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あなたもいる、ぼくもいる、なんと我々ではありませんか。どういうこと?。そうですmirror です。ダンスや舞踊などの練習で、自分の姿を見ながらできるのでとても便利です。その他、展示会などで展示品がすぐ吊れるようにレールも設置してあります。

次は大ホールです。久しぶりに入ってみると、「あー、広いな」と思いました。1036席の椅子がすべ新しくなっていました。座り心地も快適。
DSC04484フロアーも新しい木材です。緞帳は昔の三瓶山ですが、洗濯に出したそうです。13秒だったのが、11秒くらいで下ります。暗転幕もスピードがあり、どこでもストップできます。照明機材も新設です。LEDをたくさん導入したので電力消費も抑えられるとか。

「ここで石見銀山の劇をやってほしいね」と隣におられた元会長さんがいわれました。浜田で上演した「石見銀山旅日記」の話しをすると、「浜田で?そりゃ大田でやらにゃ、石見銀山の大久保長安でしょう」

まず、中ホールを使って、第4回「朗読を楽しむ」をやりたいという話しをしました。

1.ひとり5分前後、詩でも随筆でも歴史物でも創作でも自分の好きな素材で参加する。
1.興味がある人は誰でも参加できる。観客も朗読者も入場料は500円負担。
1.劇研空は20分くらいの創作民話などを群読する。
1.毎回テーマを変えて実施する。第4回は「三瓶山」(プロジェクターを使って三瓶山の四季の姿を投影し、詩をつけて朗読)

これは以前から抱いていた着想です。元会長に話すと「いいですね、参加します」とのこと。前夜、空の会合で修平さんと山ちゃんも賛成です。演劇が好きな大田高校生にも呼びかけたい。

帰りに中ホールの空き状況を聞いたみたら、4,5月の土日はすべて予約済み!6,7、8月にちょっとだけ空きがありました。朗読ですから場所は自由ですが、ゆっくり考えましょう。

 

H25 3/31 新装大田市民会館内覧会

平成23年4月から使用できなかった大田市民会館の耐震補強工事が終わり、3月31日10時から、利用再開のテープカットが行われます。そのあとは会館の内部を見学できます。大田市文化協会や教育委員会からも案内が来ています。誰でも参加できます。劇研空のみなさんもぜひ参加してください。DSC03959 これは工事中の会館です。

耐震工事だけではなく外装も含め大幅な改装が行われました。「広報おおだ」3月号で、ポイントを押さえ簡潔に紹介しています。そこにも書いてありますが生涯学習課の主催で市民会館のあり方について何度も利用者の会が開かれ、さまざまな要望が出されました。ほとんど出席しましたが、特に要望したのは中ホールの充実でした。どのようになっているか楽しみです。

耐震工事だけではなく大幅な改装がされました。大ホールの椅子の取り替え、音響や照明、吊り物など老朽化した機材の更新などです。最新式の機材が導入され、トップレベルの会館になるのではないでしょうか。

建物だけではなく、今まで以上に地域の文化活動支援・育成にも力を注ぐという決意が書かれています。市民の活動が活発にならなければそれは実現しません。生涯学習課主催の文化プロデユーサー養成講座がおわり、現在受講した人たちが定期的に集まって話し会いをつづけています。市民会館利用者ネットワーク構想もあるようです。ぜひ多くの文化団体や個人が集まって希望や要望を出し合い、一歩ずつ前へ進めていきたいものです。

続続「これが邑智の地芝居だぁ!」観劇記

平成25年3月17日、島根県邑智郡川本町「悠邑ふるさと会館」で行われた地芝居の観劇記のつづきです。
劇団かわもと塾「天領かわもと〜夏の名残〜」(堤 浩隆 作・演出) 昨年につづき、地元の素材を生かした歴史物の創作劇です。(ツツミさんが別れ際に、ブログに書いてください、と言われたので、ガンバッテ書きま〜す) ストリーも明快で台詞もテンポがよくラストの盆踊りへ向かって無駄なく進むので、終わったときスッキリした印象が残りました。中幕で舞台を狭めたのも効果的。少ない人数で広い舞台を使えば、劇が隙き間だらけになるからです。ホリゾント幕を使わずに、大水で流れて来た家の屋根などがらくたを並べた装置もよかったと思います。素朴でたくましいな百姓たちもリアリティがあり生きていました。

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大森銀山の代官や役人の扱いについてはちょっと都合よく作りすぎた印象です。史実に関係無く面白さや感動をねらって劇をつくるのか、史実はできるだけ重視して劇を作るのか。創作するときこの二つの違いをあいまいにしたら劇の性格もあいまいになります。

吉岡隼人は毛利時代の銀山役人で大久保長安にも仕え、伊豆や佐渡の鉱山開発にも功績があり、家康から「出雲」と拝命、吉岡出雲と名乗り1614年に死亡、大森の極楽寺境内に葬られました。

中瀬弾右衛門は1696年に朝鮮の安龍福が隠岐へ来たとき隠岐の役人で取り調べをして報告書を石見銀山代官、後藤覚右衛門へ提出しています。

天野助次郎は27代の大森銀山代官(1749〜1754)で、久利町大屋に井戸平左衛門と共に顕彰碑(天保7年に建立)が残っています。多分、この劇のように飢饉のときなどに善政を施したのでしょう。

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この劇の時代設定は天保4年の飢饉です。文政13年〜天保6年(1830〜1835)の大森銀山代官は根本善左衛門です。多分作者は天野助次郎という人物に感銘を受け、天領かわもとの水害と盆踊りを関連づけて創作されたのでしょう。いい着眼だと思いますが、他の役人も有名な歴史上の実名で登場するので、なんでここに出てくるんだろう、と違和感を抱きました。作者にはぼくの考えとは異なる計算や意図があったのかもしれません。

来年もまた地域を素材にした創作劇を楽しみにしています。 とても貴重なチャレンジです。いい作品は、時代に淘汰されながら、生き残り、またその時代の人たちによって復活再演され、人々を励ましてくれます。芸術の命は永遠です。(ハンシンタイガースモエイエンダ!)

最後は島根県邑智郡邑南町高原の「星が丘一座」の地芝居「十手 涙の取り縄」。

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結成以来15年を迎えるそうです。大いに笑わせて涙もたっぷりしぼる、これぞ地芝居!役者に余裕があり安心して見ることができる舞台でした。

人物造形もよくできていて、間抜けの目明かし、きりっとした親分、正に兄弟を思わせる怪盗小次郎と直造、年老いて軽くなった父・義造身の振る舞い等々、人物が舞台で生きていることが劇の基本ですから、その点でも安心して楽しく見ることができました。

地芝居の面白さの一つは、観客の反応を見ながらその場で出てくるアドリブです。その土地その土地の人情や土地柄、観客の反応をつかんで飛び出す即興の台詞、それに反応する観客ーこの生き生きとした交流に特徴があります。下手なアドリブは興ざめで逆効になりかねませんから、センスが必要です。この劇ではそれを楽しむことができました。観客の反応も十分でした。

クライマックスでは怪盗小次郎が自身番の父親・義造にやっと出会いますが、目明かしに追われている身。兄の直造は弟の罪をかぶろうとしてその場で切腹。それを見ながら、せめて自分の手でと我が子に綱を掛ける父。ほっとすればどんでん返し、またどんでん返し。これでもかこれでもかと人情に訴え観客の涙を絞る。終わると解放されたように大きな拍手が湧きました。

逼迫した切腹の場面でもちょっとした台詞で場を異化して笑わせ観客の心理を揺さぶる演出にも感心しました。

劇は一生懸命演じればいい、というものでもありません。懸命に演じている自分を客観的に見ている目が必要です。それがないと押しつけがましく窮屈で泥臭い印象を残します。その点でもこの劇には感銘を受けました。

地芝居は義理人情の古い劇だ、という人がいれば時代遅れです。芸になっていれば歌舞伎と同様、義理人情の世界でも立派な芸術です。

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我がふるさと、邑智郡に3つもしっかりした地芝居があるのは不思議です。多分全国的にめずらしいのではないでしょうか。大切にしたいものです。

終わってホールを出て、搬入口のそばを通ったとき、星が丘の役者さんがおられましたので、「おつかれさまでした。楽しく見させていただきました」とお礼をいい、いろいろ話しました。「今は大田に住んでいますが、田所下亀谷の洲浜の三男坊です」というと、「そうですか。去年は武ちゃんに呼ばれて大八洲神宮で上演しました。ありがとうございました。タエコさんには学校で音楽を習いました」とのこと。

昔の狭い瑞穂町のこと、さまざまな形でつながりや交流があり、苗字を聞いただけでどこの誰か分かります。高原には親戚が2軒あって、昔は秋祭りにはお互いに行き来して飲み食いをしていました。高校生のとき、父の代わりに何回か行ってご馳走になったことがあります。「高原小学校には武ちゃんの次男が昨年から勤めていますよ」「そうかな、埼玉から帰った先生がいるというのは聞いていました」。 (道草をするな!ごめんごめん)

閑話休題。その後、劇の感想など述べると、「なによりのいい土産になりました」とのこと。

自身番義造・東義正さんの最後のお礼の口上、大和小学校の忠臣蔵を賞賛して、ユーモアもありピシッと決まっていましたね。。

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いい劇をありがとうございました。みなみなさま、おつかれさまでした。

(今回は管理人・修平さんのアドバイスに従って一太郎で打ち込み、それをここへコピーして張り付けました。近日中に発行予定の劇研空・会報16号にも転載します。ああああ、オツカレ)

続 「これが邑智の地芝居だぁ!」観劇記

2013年3月17日(日)、島根県邑智郡川本町の「悠邑ふるさと会館」で表題の地芝居や舞踊などが上演されました。10時から16時までの長時間でしたが、途中で帰る人もほとんどなく最後まで舞台を楽しんでおられました。
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昼食時には、広くて長いロビーに茣蓙も敷いてあり、地元の人たちが作ったむすび、味噌汁、焼きそばなどなどを買って食べ、休息できるように整えてあったのもいい配慮でした。連続で座って観ていたら疲れてしまいます。

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案内の人たちも大変親切で席まで案内したり、細かい神経を使っておられました。久しぶりに出会ったイワマチさんが、もぎりや案内をやっておられてびっくり!「ボランティアです」とのこと。こういう人も協力されるというのはうらやましいことです。(おおだでこうこうのキョウトウセンセイがしばいのもぎりをやるなどかんがえられませぬ。演劇人はこういうところがあるから素晴らしい。裏方の苦労を知っていますからね。大蛇足)

少し遅れて行ったので、最初の吾郷清吾会の「人情吾郷の恋綴り」は終わり頃しか観られませんでした。今年で結成20周年になるとか。余裕のある地に着いたしっかりした演技はさすがです。

邑南町の日貫劇団は昭和63年に誕生したそうです。舞踊も充実していて今回もたくさん披露されました。

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地芝居「人情 春雨傘」も大変面白く、大いに笑って、ちょっぴりナミダを流す、いい舞台でした。ご隠居を演じた草村勇さんの老婆は実に自由自在、アドリブもあり演技も堂々として貫禄十分。男性が老婆を演じるから余裕や自在さが自由に出てくるのでしょう。仁兵衛の室田さんも自然で演技が達者、安心して見ておれました。最後は想定内のハッピーエンドでちょっと衝撃性がありませんでしたが、楽しい舞台でした。

観客の拍手と声援を受けて堂々と上演したのは邑智郡美郷町立大和小学校の5,6年生の「忠臣蔵〜松の廊下で育む絆」です。

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吉良上野介におみやげを持ってきた細川とその家臣、おみやげを持たずに挨拶に来た浅野内匠頭と家来たち。吉良におべっかを使う細川、浅野を差別する吉良。この対立をセリフで表し、松の廊下での遺恨の刃!

ところがここからが歴史上初の大和小学校版「松の廊下」!細川も吉良も自分たちの言動がいかに相手の心を傷つけていたかに気づき反省の弁をのべ、三者とも相手の心を考えることの大切さを述べるのです。

監督の金子正志さんはこの劇を1年間の平和学習、道徳学習で取り組んだと話されました。衣装やカツラも見事なもんですが、吉良のしゃべり方、歩き方、そしてしっかりと声を出して堂々とセリフを言うみなさんに感心しました。指導の先生の力量にも感服しました。何よりもこの児童たちは生きている限り、この取り組みで得たものを決して忘れることはないでしょう。演劇が教育に果たす役割には大きなものがあります。

劇団川本孰の「天領かわもと〜夏の名残〜」(作・演出 堤 浩隆)は創作時代劇です。
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天保の飢饉で天領かわもとも大被害を受け、村人は復興に汗水を流している。大森代官所の役人、天野助次郎も村人と一緒に復興に力を尽くしている。代官・吉岡隼人が江戸へ行っている間に責任を任された中瀬弾右衛門はそんな天野が許せず対立する。天野は中瀬を殴り、疾走する。吉岡代官の娘・澪が、かわもとの復旧現場へやってくる。彼女は天野と恋仲である。村人は飢饉の犠牲者を弔い絆を強めるために盆踊りを開催しようとしている。しかし役人の中瀬はそれを許さない。そこへ天野が出てきて中瀬と斬り合いになり中瀬は負ける。代官の吉岡も帰ってきて、村人や天野の言い分を認める。天野と娘の澪もむすばれる。太鼓や歌い手も出てきて賑やかに念願の盆踊り。

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以下、消えてしまいましたので続続で紹介します。