10月22日の山陰中央新報文化欄の「出版話題」という囲み記事で、次のようなタイトルの文章が写真入りで紹介されました。
「大田出身の学生が短編小説 『今も僕らは歩いている』 悩み抱えつつも前へ」「大田市出身で神戸学院大学法学部3年の山崎英和さん(21)がこのほど、日常生活で悩みを抱えながらも人とのふれあいやエピソードを通して、前に向かって歩く内容の短編小説7編をまとめ短編小説集(文芸社刊)を出版した。(略)」
新聞のタイトルを見た瞬間、ひらめくものがありました。「2,3年前に高文連の小説で連続入選した生徒さんにちがいない!」
島根県高校文化連盟の文芸部門では毎年俳句、短歌、川柳、詩、小説、随筆作品を募集して表彰し作品集を刊行しています。ここ10年ばかり僕は小説と随筆の選考をしています。最近では小説は60編、多い時には80編くらい集まり、短期間で選考し選評を書いて提出するのは時間との闘いです。
平成23年は優秀作1位「日常」(松江北校 中村未央)、優秀作2位の1「ありがとう」(大田高 山崎英和)。平成24年は優秀作1位「視点」(大田高 山崎英和)、2位「君依存症」(大社高 藤江佳保)、3位「メリークリスマス」(大田高 山崎英和)
24年度では山崎さんの小説は2編あり迷いましたが、「良いものは良い」と割り切って上位入選にした記憶が鮮明に残っていました。
高校生の小説を読みながら、いつかこの中から文筆に係わる人が出てくればうれしいな、と思っていました。今までに書いたものを一区切りとしてまとめておくことは次の飛躍へのワンステップになります。意義あるチャレンジです。
山崎さんの小説には意表を突くような独創性はありませんが、日常生活の中での挫折や不安、悲しみ、悩み、不幸などに寄り添いながら、ふとした行為や出会いで明るいきざしが射してくる様子を自然な文体で描き、読者の心に温かいものを残してくれます。作者のヒューマニティが滲んでくるような小説です。読んでみてください。
大田ではジャスコで販売しています。昭和堂書店でも話しておきましたので今は置いてあるかも知れません。定価は1100円、文芸社です。インターネットでも購入できます。今回は内容は省略します。そのうち紹介します。