2014年3月9日、浜田市の石央文化ホールで「石見演劇フェスティバル」が開催され8団体が地芝居、現代劇、朗読劇、舞踊など多彩な舞台を披露しました。「石央地芝居大会」の名前で4回開催、現在の名前に変わって2回目になります。 「第6回」とするか「第2回」とするか難しいところですね。(通算第6回、っていうのはどうかな。どうでもいい?回数がないと見出しや区別に困ることがあるんです)
主催は「石見演劇フェスティバル実行委員会」ですが、石央文化ホールの熱意のある企画と運営によって継続されています。昨年の反省から、各団体の上演時間は40分~50分に短縮されました。見る側にとっては少し余裕が生まれました。また上演後の幕間での杓子定規な質問が、堅苦しく研究会的な空気を醸し出していましたが、各団体に任せるという方法に変わりました。
これらのこともあって、今までより余裕のある楽しい雰囲気が生まれた気がしました。「さまざまな人々が数多く参加した楽しい1日だった」と島根県立大学の瓜生忠久先生が山陰中央新報へ書いておられます。
パンフレットも実に立派です。冒頭に久保田章一浜田市長の言葉、実行委員長・岩町功先生の挨拶があります。情熱のある核心を衝いた文章です。各団体に一ページを割き、写真も入れて紹介しています。記録としても保存する価値があります。こうゆうところにも事務局の経験豊かなセンスと熱意が感じられます。
さて、各団体の舞台を風景写真で紹介してみましょう。
「NPO法人創作てんからっと」(浜田)は今年も美崎理恵さんの創作で『大根畑に陽は昇る』。みなさんベテランで自然な演技に好感が持てました。岩町功先生は、大根を育てる宗方利夫の役で登場、年齢をあまり感じさせないセリフや演技はさすがでした。農村と都会、親と子、過疎などに焦点を当て、ストーリーはうまくできていましたが、それをうまくなぞったという印象が残りました。農村を舞台にしたリアリズム劇ですが、装置との関係は難しいですね。「黒い中割幕の前に平台」だけで、農村という劇の世界へ観客を誘い込むのは難しい。かといって大がかりな装置を作れば時間と経費、設置、撤去の問題が出てくる。1日に8団体も上演する場合、装置をどう工夫するかが、勝負のような気がします。
明誠高校演劇同好会(益田)『じゅ☆げむ~明誠ver.~』脚本・明誠高校演劇同好会 多い時には10校以上にあった石見の高校演劇部ですが、浜高だけになり淋しい状態が続いていました。平成25年に明誠高校で同好会ができ喜んでいます。ハナモト先生あればこそです。現在1年3人、2年2人とか。今回は1年の男子、二人だけの舞台です。立ったままで朗読するのかな、と思っていましたが、劇形式になっていて感心しました。小道具もうまく使って楽しい舞台でした。堂々と演じていたので安心して見られました登場人物は二人だけですが、工夫して脚本を劇形式にしたのが成功しました。20分くらいでしたが、とてもさわやかでスカッとした舞台でした。
(センセイは数年前、津和野高校演劇部員で活躍、県大会、中国大会にもでました。大学を卒業して帰ってきて、意欲的に活動してくれるとはウレシイ!!)
石見国くにびき18座(浜田・江津・益田)群読劇『クスの葉風』脚本、演出・金田サダ子
昨年の劇は、山梨県で開催された全国シニア-演劇大会に参加しました。今年も素敵な舞台でした。平均年齢は72歳ですから、動きやセリフなどは最小限になるように作られていますが、舞台全体の使い方、装置の工夫、全員の動き、劇と歌の切り替え、メリハリ、流れ等々、上手に演出され、個々の弱点が拡大しないように、うまくカバーされています。 そしてバックボーンになるテーマがしっかりしています。
山陰中央新報に寄稿された瓜生先生の劇評から一部を引用させていただきます。「~中でも、高齢者大学校くにびき学園の卒業者たちが演じた群読劇は、あの忌まわしい戦争の時代を生き抜いてきた世代が演ずるという点で秀逸であった。戦争を知る世代だからこそ表現できる創作劇は、これからの若い世代にもぜひ認識してもらいたい貴重さを内包する」
(そうですね。それだけに若い人たちが観劇にきてくれたら、ウレシイ!のですが…)
劇団「ドリームカンパニー」(益田)『花森商店 おしまいの日』脚本、演出・大畑喜彦
「2014年結成、現在団員26名」とパンフレットにあります。石見地方の現代劇分野では、最も人数が多くキャストやスタッフも充実しているのではないかと思います。
昨年初めて、この劇団の創作劇・『生前葬リハーサル』を観たのですが、ユーモアもあり面白いだけではなく問題に突っ込んでいく鋭さもあって、見応えがありました。
今年の劇も楽しく観ました。商店街からまた1軒店舗が消えていくという町中の過疎を取り上げた身近なテーマの劇です。万引きの女子高校生が登場したり、予想外の展開があったり、どんでん返しもあり脚本もよく工夫して創られています。楽しく観たのは確かですが、今ひとつ迫力がなかったのは何故でしょう。
一つは、店舗が消える深刻な問題は単なる背景として扱われ、「明るく閉店を」に重点がありすぎたこと、細工が多く作為が見えたこと、堀り下げが浅くストーリーの枠縁を絵取った印象が残ったこと、ハッピエンドが予定調和的だったこと等々です。しかし劇創りのうまさは今年も感じました。
ー以上、前半の4劇団の観劇記です。後半はそのうちNO2として書きますー
https://stagebox.sakura.ne.jp/wp/?p=2050
(これはあくまでスハマクンが感じた舞台評です。十人十色ですから、そのつもりで読んでください。地方で劇など公演しても滅多に批評にお目にかかりません。批評のないところに進歩はありません。お互いを知っているので、馴れ合いになります。その意味で、あえて書いています。「いいとこ8割建設的批評2割」精神で書いています。島根県立大学の瓜生忠久先生が山陰中央新報へ書かれた劇評はとても勉強になります。会長の岩町先生が批評の大切さを心得ておられて、毎回劇評を依頼されています。さすがですね。)