H26、4,石見演劇フェスタについて(実行委報告)

2014年4月19日(土)、第3回「石見演劇フェスティバル実行委員会」が浜田市石央文化ホールで開かれました。3月9日に上演した団体の代表とホールの関係スタッフが出席、決算報告、反省、今年度の計画を話し合いました。要点をお知らせします。

1.アンケートの結果:大変満足23%、満足48%を合計すると71%。いい結果だったといえるでしょう。

昨年より上演時間を短縮したのも効果があり、最後まで観劇された人が増えました。幕間の5分の時間も各団体が自由に使うことにしましたので、以前の様な研究発表的な堅苦しさもなくなり、楽しい時間になったと思います。

感想では「石見国引き18座」の戦争をテーマにした劇が大変好評でした。舞台も良かったとおもいますが、70歳以上の観客が46%、60歳台が26%(合計72%)ということを考えると、戦争を直接、関節に体験した世代に共感があるのはよくわかります。明誠高校、浜田高校の劇も好評でした。IMG_8420浜田高校の劇は、父親が認知症になることをテーマにした劇でしたので、さわやかな演技と共に、身近な問題を高校生が演じてくれるという共感もあったかと思います。

大田市演劇サークル劇研「空」の朗読民話劇「海を越えサヒメの山へ」の感想もありました、1,2紹介してみます。
1.「朗読時の強弱がすごく良かったです」
2.なんとなく知っていましたが、赤雁をサヒメ神社の話、益田だけではなく石見の話として広まってほしいと思いました。朗読劇でよかったと思います」
3.朗読劇の良さを感じながら観させていただき、勉強させてもらいました」
4.全てよかったですが、創作朗読民話劇はすばらしく新鮮でした。音声が抜群でした。石見の演劇このままつづいていきますよう願っています」

まとめてみると、企画が新鮮で参考になった、言葉がよくわかり発声がよかったという2つにまとめられるかと思います。不十分なことも多々あります。それは反省会で話し合いましょう。

「今福笑舞台」の舞踊と劇を最後にもってきたのはよかったと思います。お客さんにはファンが多いので、最後まで観ていただけるからです。劇は「恋は永遠に」という創作でなかなか面白く観ました。笑わせようとする意図が見え過ぎるところもあり、ちょっと鼻につくところもありましたが、お客さんには好評でした。笑いは難しいですね。お客さんの趣向は千差万別ですから、全員を笑わせようとすれば、どうしても一方的な押しつけになってしまいます。「笑いたい者はどうぞ」くらいの気持ちで演じたほうが、サラッとして風通しがいい。

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今年度の石見演劇フェスティバルは休止に決まりました。石央文化ホールで、大々的に島村抱月のミュージカルを計画しているからです。両方やるのは無理です。ホールの負担は石見演劇フェスタだけでも相当なものです。

来年度は実施したいという意向でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

4/20 松江で音楽劇「いっぽんの木」上演

2014年4月20日(日)午後2時から県民会館中ホールで音楽劇「いっぽんの木」が上演されます。劇団Yプロジェクトから案内がきていましたので紹介します。主催は「しまねの子どもの演劇体験事業実行委員会」です。脚本・演出は、Yプロ代表の坂井陽介さんです。
DSC05625県内外から集まった小学生から大人まで16人の人たちが1月から練習してつくりあげた舞台です。いろいろな意味で勉強になると思います。ぜひ観劇に出かけてみてください。

劇団Yプロジェクト、島根県文化奨励賞を受賞!!
新聞にも出ていましたが、劇団Yプロジェクトが島根県文化奨励賞を受賞しました。15年に渡る活動が評価されたものです。代表の坂井さんからも文章がきていました。おめでとうございます。

H26 石見演劇フェスタで 『海を越えサヒメの山へ』上演(2)

第2回(通算6回)石見演劇フェスティバル観劇記の続き、( 2)です。上演側ですので観劇記というより、上演記です。「空」のみなさん、そのつもりで読んでください。

1508450_253664074805140_1884179390_n(プレリュードは幼稚園の先生と子供たちの会話です。三瓶山について先生とおもしろいやりとりをしながら、三瓶の歴史などを紹介していきます。)

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大田市演劇サークル 劇研「空」 創作朗読民話劇『海を越えサヒメの山へ」(石見の伝承より)脚本、演出・洲浜昌三

パンフレットからの文章を中心に紹介しましょう。写真はショウシンさんです。ありがとうございました。(ショウシンさんはショウコさんのハズバンドです)

  島根県の石見地方に伝わる伝承を朗読劇用に創作したものです。映像をホリゾント幕へ投影しながら朗読します。大人も、子どもたちでも楽しめるように、分かりやすく、テンポよく、スリリングで面白く感動もあるリーデイングになれば、と思っています。単なる朗読ではなく、劇形式の朗読用として創作した点がチャレンジングだと考えています。
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[あらすじ]   「むかし、ソシモリという国にオオゲツというヒメがいた。ある日、北方から騎馬軍団が襲ってきて、国は壊滅する。ヒメは大切な穀物の種を末娘のサヒメに託し、『海を渡って平和な国へ行き、美しい山のふもとの人たちと一緒に育てなさい』と言い残して息絶える。

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サヒメは赤雁に乗って旅立つ。途中、様々な苦難に遭いながら、美しい山を目指すが、上空に近づいてみると山は火山で荒れ、村人はやせこけ、村を捨てて逃げるところだった。サヒメは村人と一緒に種を播く」(絵は20枚投影しました)

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益田の比礼振山(権現山)には佐比売山神社があり、乙子、種、赤雁という地名があります。大田の大森や三瓶、鳥井にも同名の神社があり、三瓶には多根、小豆原、赤雁山があります。江戸末期から明治の初期に国学が盛んだったころ、古事記などに精通していた人が地名や山の姿から着想し創作したのではないかと思います。あくまで勝手な推測です。

     キャスト
語り                      … 田中和子
サヒメ          …  吉川礼子
アカガリ      …  山本和之
オオゲツのヒメ …  渡利章子
騎馬軍団大将  …  山本和之
ワシ      …  松本領太
カミナガのオサ …  堤 浩隆
ヒゲナガのオサ …  松本領太
モグラのオキナ …  堤 浩隆
ヒメ村のオサ  …  松本領太
村の子どもたち  …     全 員 

     スタッフ
脚  本 …   洲浜昌三
演  出     …  洲浜昌三
原画作成 … 勝部和子
原画撮影 … 松本領太
音  響  …   洲浜昌三
PC操作  …      堤 奈穂子

この試みがどのようにお客さんへ受け止められたか。最も知りたいところですが、アンケートの結果を見ていませんので分かりません。

すべて終了してロビーにいたとき、会長さんと出会い次のように言われました。「とても面白い試みでした。今後高齢者講座などで発表するときの参考になった」。

県立大学総合政策学部教授に瓜生忠久先生は山陰中央新報文化欄の劇評で次のように書いておられます。「大田市演劇サークル 劇研「空」 創作朗読民話劇『海を越えサヒメの山へ」(石見の伝承より)も、実験的でおもしろかった。作者の洲浜昌三氏は、大田市で長年演劇活動を続ける熱血老人だが、6人の朗読者とスライドだけで構成された今回の舞台は、日ごろなかなか練習時間を持てないアマチュア演劇集団の活動に一つの可能性を示した。地域に残る民話の世界に題材を採った点も、そこで生き続ける人々のアイデンティティと重なって共感をもてた」

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とても嬉しい指摘でした。芸術文学では「表現形式」(スタイル、文体)がとても重要です。新しいアイデアは新しい容器に盛らないと表現できません。形式と内実は一体のものです。今回の舞台は、「紙芝居と劇と朗読の特徴」を抽出したような表現形式です。吉川礼子さんが幕間の感想で、「劇と違ってとても安心して楽な気持ちで取り組めました」と述べたとき、今回の表現形式のメリットを思いました。しかし内容がつまらなかったら、単なる手抜きになってしまいます。瓜生先生は「そこで生き続ける人々のアイデンティティと重なって共感をもてた」と評価されました。とても嬉しい言葉です。

 終わってから、詩人仲間のヤマシロさんにばったり出会いました。「いつもいろんな歴史や資料を堀り出して、新しいことをやりんさるね。この話しは随分前に石村勝郎さんの本で読んだことがあるでな」。  ヤマシロさんは昨年も来られました。

そうなんです。この話しは一般的には、益田の伝承だと思われています。そのように書かれたものがほとんどだからです。しかし石村さんはサヒメ山の伝承として書いておられます。亡くなられた民俗学者の白石昭臣先生もサヒメ山の語源を、「サヒメという姫が雁に乗って飛んできた」伝説に求めておられます。

1300年も前の「出雲国風土記」に出てくる「サヒメ山」です。 その頃に、サヒメが雁に乗ってきたという伝説があったかどうか。(「石見国風土記」には書かれていた。ええ?ウッソ!ホント?石見国風土記がどこかから出て来ないかなぁ)

DSC03611(雁が羽を広げて休んでいるように見えませんか?見えない?そのつもりで見てよ。中央が赤雁山です。雁の頭です。長久の勝部さんは、この物語りを読んでから、毎朝見る三瓶山が雁のように見えると言っておられました。)

三瓶山は女性的でやさしい姿をしています。「サ」には「小さい」とか「可愛い」とか「さわやか」「鉄のサビのように小さい」とかいう意味や語感があるそうです。そうすると「かわいくてやさしい姫のような山」という意味から「サヒメ山」と呼ばれるようになった可能性があります。大国主命の正妻はスセリ姫ですが、サヒメ山も大国主命の妻だという伝承もあるそうです。

観劇記が横っちょにそれました。2月に大田市民会館で上演した時とは今回はキャストも変わっています。久しぶりに章子さんと一緒にやりました。堤さんには急遽お願いして快諾していただきました。ありがとうございました。(ネッケツセイネン?)

石見演劇フェスティバル観劇記の続きは、そのうち(3)で紹介します。

H26 「第2回石見演劇フェスタ」観劇記(1)

2014年3月9日、浜田市の石央文化ホールで「石見演劇フェスティバル」が開催され8団体が地芝居、現代劇、朗読劇、舞踊など多彩な舞台を披露しました。「石央地芝居大会」の名前で4回開催、現在の名前に変わって2回目になります。 「第6回」とするか「第2回」とするか難しいところですね。(通算第6回、っていうのはどうかな。どうでもいい?回数がないと見出しや区別に困ることがあるんです)

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  主催は「石見演劇フェスティバル実行委員会」ですが、石央文化ホールの熱意のある企画と運営によって継続されています。昨年の反省から、各団体の上演時間は40分~50分に短縮されました。見る側にとっては少し余裕が生まれました。また上演後の幕間での杓子定規な質問が、堅苦しく研究会的な空気を醸し出していましたが、各団体に任せるという方法に変わりました。

これらのこともあって、今までより余裕のある楽しい雰囲気が生まれた気がしました。「さまざまな人々が数多く参加した楽しい1日だった」と島根県立大学の瓜生忠久先生が山陰中央新報へ書いておられます。

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パンフレットも実に立派です。冒頭に久保田章一浜田市長の言葉、実行委員長・岩町功先生の挨拶があります。情熱のある核心を衝いた文章です。各団体に一ページを割き、写真も入れて紹介しています。記録としても保存する価値があります。こうゆうところにも事務局の経験豊かなセンスと熱意が感じられます。

さて、各団体の舞台を風景写真で紹介してみましょう。

IMG_8361「NPO法人創作てんからっと」(浜田)は今年も美崎理恵さんの創作で『大根畑に陽は昇る』。みなさんベテランで自然な演技に好感が持てました。岩町功先生は、大根を育てる宗方利夫の役で登場、年齢をあまり感じさせないセリフや演技はさすがでした。農村と都会、親と子、過疎などに焦点を当て、ストーリーはうまくできていましたが、それをうまくなぞったという印象が残りました。農村を舞台にしたリアリズム劇ですが、装置との関係は難しいですね。「黒い中割幕の前に平台」だけで、農村という劇の世界へ観客を誘い込むのは難しい。かといって大がかりな装置を作れば時間と経費、設置、撤去の問題が出てくる。1日に8団体も上演する場合、装置をどう工夫するかが、勝負のような気がします。

DSC05498明誠高校演劇同好会(益田)『じゅ☆げむ~明誠ver.~』脚本・明誠高校演劇同好会  多い時には10校以上にあった石見の高校演劇部ですが、浜高だけになり淋しい状態が続いていました。平成25年に明誠高校で同好会ができ喜んでいます。ハナモト先生あればこそです。現在1年3人、2年2人とか。今回は1年の男子、二人だけの舞台です。立ったままで朗読するのかな、と思っていましたが、劇形式になっていて感心しました。小道具もうまく使って楽しい舞台でした。堂々と演じていたので安心して見られました登場人物は二人だけですが、工夫して脚本を劇形式にしたのが成功しました。20分くらいでしたが、とてもさわやかでスカッとした舞台でした。
(センセイは数年前、津和野高校演劇部員で活躍、県大会、中国大会にもでました。大学を卒業して帰ってきて、意欲的に活動してくれるとはウレシイ!!)

DSC05503石見国くにびき18座(浜田・江津・益田)群読劇『クスの葉風』脚本、演出・金田サダ子
昨年の劇は、山梨県で開催された全国シニア-演劇大会に参加しました。今年も素敵な舞台でした。平均年齢は72歳ですから、動きやセリフなどは最小限になるように作られていますが、舞台全体の使い方、装置の工夫、全員の動き、劇と歌の切り替え、メリハリ、流れ等々、上手に演出され、個々の弱点が拡大しないように、うまくカバーされています。 そしてバックボーンになるテーマがしっかりしています。

山陰中央新報に寄稿された瓜生先生の劇評から一部を引用させていただきます。「~中でも、高齢者大学校くにびき学園の卒業者たちが演じた群読劇は、あの忌まわしい戦争の時代を生き抜いてきた世代が演ずるという点で秀逸であった。戦争を知る世代だからこそ表現できる創作劇は、これからの若い世代にもぜひ認識してもらいたい貴重さを内包する」
(そうですね。それだけに若い人たちが観劇にきてくれたら、ウレシイ!のですが…)

DSC05507劇団「ドリームカンパニー」(益田)『花森商店 おしまいの日』脚本、演出・大畑喜彦
「2014年結成、現在団員26名」とパンフレットにあります。石見地方の現代劇分野では、最も人数が多くキャストやスタッフも充実しているのではないかと思います。

昨年初めて、この劇団の創作劇・『生前葬リハーサル』を観たのですが、ユーモアもあり面白いだけではなく問題に突っ込んでいく鋭さもあって、見応えがありました。

今年の劇も楽しく観ました。商店街からまた1軒店舗が消えていくという町中の過疎を取り上げた身近なテーマの劇です。万引きの女子高校生が登場したり、予想外の展開があったり、どんでん返しもあり脚本もよく工夫して創られています。楽しく観たのは確かですが、今ひとつ迫力がなかったのは何故でしょう。

一つは、店舗が消える深刻な問題は単なる背景として扱われ、「明るく閉店を」に重点がありすぎたこと、細工が多く作為が見えたこと、堀り下げが浅くストーリーの枠縁を絵取った印象が残ったこと、ハッピエンドが予定調和的だったこと等々です。しかし劇創りのうまさは今年も感じました。

ー以上、前半の4劇団の観劇記です。後半はそのうちNO2として書きます

https://stagebox.sakura.ne.jp/wp/?p=2050

(これはあくまでスハマクンが感じた舞台評です。十人十色ですから、そのつもりで読んでください。地方で劇など公演しても滅多に批評にお目にかかりません。批評のないところに進歩はありません。お互いを知っているので、馴れ合いになります。その意味で、あえて書いています。「いいとこ8割建設的批評2割」精神で書いています。島根県立大学の瓜生忠久先生が山陰中央新報へ書かれた劇評はとても勉強になります。会長の岩町先生が批評の大切さを心得ておられて、毎回劇評を依頼されています。さすがですね。)

H26 3/16 川本で「地芝居」観劇

2014年3月16日、邑智郡川本町の「悠邑ふるさと会館大ホールで、今年も地芝居公演があり観劇しました。13回目になるそうです。この川本の地芝居は、演じる者と観客との間に交流があり、共に楽しむという雰囲気があるのが大きな特徴です。鶴岡さんのざっくばらんで親しみやすい司会も大きく貢献しています。

DSC05551トップは実力のある吾郷青吾会の「へちまの花」。平成24年にも見てこのブログで紹介していますので参考にしてください。観客の涙を絞る人情劇です。演技もセリフもピシッと決まっています。

DSC05557ボランティアグループ「山ゆりの会」の舞踊と歌があり、そのあと上演されたのが、邑南町の「はすみおとめ座」の「はだかの王さま」(上の写真)です。衣装やセットがうまくできているので、写真を見るとプロの舞台!?かと思わせます。演技のあちこちに隙間があるのですが、それがアマチャらしくてまた楽しい。役を形で演じているのもまたほほえましい。劇としてはうまくまとめられていました。

DSC05559 DSC05560DSC05566  邑南町の「星が丘一座」も定評のある劇団で、例年の楽しい地芝居を上演されました。
「水戸の黄門さん」です。昨年も黄門シリーズでしたが、同じ内容ではなく、誰かが脚本を書かれるのでしょう。水戸の黄門が川本村へやってきて不正をあばき、とっちめるという話しです。アドリブもあり観客とのやり取りもあり、おひねりがたくさん舞台へ飛んできて、とてもたのしい時間でした。まさに地芝居の楽しさですね。

DSC05568ラストは「劇団かわもと塾」の「天領かわもと~父娘慕情~」。劇研空の舞台にも立ってもらっている堤さんの創作、演出です。地元の歴史を背景にした時代劇です。劇研空の吉川さんも和服姿で登場!前田さんは中国人リーチャオで新体操の如く舞台へ跳ねて登場!びっくり!やるね!ハチャメチャですが大いに楽しませました。

劇としてうまく形が整っていて、ラストの嫁入り場面では、セリフは少なく、ゆっくり歩くだけですが、しんみりとさせました。前半の組み立てがうまくできているからです。動と静の組み立てがしっかりしていて人情の機微、親子の情愛をうまく仕組んでいるからでしょう。

DSC05570お客さんがほとんど最後までおられるのも川本地芝居の特徴です。義理で前売り券を買い義理で見にいく人が多いときには、関係のある芝居だけを見て帰る、という現象が起こり、最後の劇では各席でガラガラ閑古鳥が鳴いている、ということになりがちです。朝10時から午後4時という長丁場ですが、最後まで観劇する人が多いのは地域としての素朴な人のつながりがあるからでしょう。「一生懸命やっとりんさるんだけぇ最後まで見てあげにゃなぁ」という気持ち。ワカル?同じ邑智郡育ちですからよく分かります。

みなさん、おつかれさまでした。山本くん松本くん観劇おつかれさまでした。

古事記を歌劇で熱演「ふることぶみ」

2014年3月16日、雲南市のチェリヴァホールで「ふることぶみ~古事記~」が上演されました。連続2時間半の長丁場でしたが、次々と展開される古事記の世界に引き込まれ、飽きることなく観劇しました。
DSC05547上の舞台風景は劇が終わった後のフィナーレです。約100人の出演者が歌いながら乱舞する様子も圧巻でした。(キョカナクサツエイキンシ デモコレナラ イイカト カッテニ パチリ スミマセン)

2012年から始まった奈良県大和郡山市と雲南市との演劇交流事業で郡山市から20人、雲南、松江、出雲から約80人が参加して創りあげた舞台です。大田からはるばる雲南まで修平さんの車に乗って6人で出かけました。行った甲斐がありました。

次々と神々が登場し、いろいろな出来事や事件がたくさん出てくる古事記を、どのように整理し解釈し脚本にし演出されるか、興味津々で観劇しました。大和編を見ながら、かなり忠実に舞台化されていたのが印象に残りました。忠実に舞台化すると脈略がなくなりエピソードの陳列になって平板になる可能性がありますが、そうならなかったのは装置が立体的に工夫されていて、それをとてもうまく使っておられたことです。また稗田阿礼を舞台に登場させ、軽妙な進行役・解説者・証言者として、楽しく軽快に役者が演じたことです。音楽も最高でしたね。

大和編はややエピソードの陳列の印象もありましたが(古事記の内容のためでもあります)、出雲編はとても物語性が豊かなこともあり、楽しく観ることが出来ました。ここでも西藤さんが演じた稗田阿礼がとてもいい役目を果たしていました。軽妙な動きと明快な言葉で舞台を引き締め、劇が地に埋没しそうになるのを高みに引き上げ次のエピソードへ軽快に繋いでいました。何カ所か説明調のセリフになっているところがあり、その時は場面や演技の説明になってちょっと泥くさくなりましたが・・・)稗田阿礼を登場させたのは大成功でした。
DSC05544舞台のみなさんは右上を見ています。何故でしょう。音楽を担当されたサキタハジメさんが二階のギャラリーでお礼のあいさつをしておられるからです。今回の大成功の大きな要因の一つは生演奏の音楽です。池田安友子さんの太鼓やパーカッションも劇を深め、引き締めリードしました。音楽では何度も魂が救われるような安らぎを感じました。音楽は自然に劇の流れに溶け込み、ふと気がつくとその音楽に心が乗せられているのに気がつくのです。

ぼくが事前に関心をもっていた一つは劇のテーマです。場面の並列だけでは劇として物足りないし迫力がありません。数々のエピソードを貫く一本のテーマがどのように表現されるか。簡単ではありませんが注目していました。

大国主命は攻められ出雲の国を譲ります。しかし「大国主命は一度も武力で戦わなかった」と稗田阿礼が語ります。なーるほど、と納得しました。さすがです。

場面がいくつあったのでしょうか。30以上はあったかも知れません。各地に離れて住み仕事を持ち、集まって練習する100人のキャストも大変です。しかも2時間半の劇です。何度も練習し、音楽と合わせ、統一した舞台に創りあげる。気が遠くなりそうです。実行委員の人たちの陰の力も大したものです。おつかれさまでした。

 

 

H26,3/16 川本で「地芝居」公演

2014年3月16日(日)川本町の悠邑ふるさと会館で今年も地芝居が上演されます。邑智郡にある劇団、「吾郷青吾会」、「はすみおとめ座」、「星が丘一座」、「劇団かわもと塾」が芝居を上演。山ゆりの会、友美会のみなさんが舞踊を披露されます。それぞれ実力のある劇団です。PRをかねてチラシを紹介します。
DSC05515劇団かわもと塾は「天領かわもと父娘慕情」。14時ごろからの上演です。堤さんの創作劇。どんな芝居か楽しみにしています。

昨年は前日の夜から雪が降ってかなり積もりました。ことしはその気配はありません。お出かけ日和です。さあ、16日は川本へどうぞ。昼食時には各種の店が出て、おいしい食べ物を用意して待っておられます。

3/15,16 雲南で歌劇「ふることふみ」上演

2014年3月15と16日、雲南市のチェリヴァホールで歌劇「ふることふみ」が上演されます。「歌劇で古事記上巻前編を演じる」とチラシにあります。意欲的なチャレンジですね。どんな舞台になるかわくわくします。
DSC05516大和編は大和郡山市の市民劇団「古事語り部座」のプロデューサーでもある松村 武さんが脚本と演出をてがけ、出雲編はわれらが亀尾佳宏さんが脚本、演出を担当。総勢100名が演じる大舞台です。
DSC05517主催は「雲南市演劇によるまちつくりプロジェクト実行委員会」。雲南(チュウゴクへイカナイヨウニ、シマネのウンナンデスヨ)も文化活動でがんばっていますね。

10日の山陰中央新報文化欄にわが大田の山尾一郎さんが、歌劇「ふることぶみ(古事記、意義深い神話の再現、出雲人と大和人 手携え」というタイトルで寄稿しておられます。ここにある程度テーマも書かれていますが、舞台を通してどのように伝わってくるか。たくさん出てくる神々やエピソードをどのように整理し舞台化し見せるか。台本や演出も楽しみです。

木次は遠いけど、劇研空も何人かで観劇に出かけます。スハマクンはその日8時から17時まで三瓶青少年交流センターで中国人研修生に日本語を教えるという身の程知らぬ大役を仰せつかっていますが、終わると三瓶から飛んで雲南へ行く予定です。

H26,3/9 浜田で「石見演劇フェスタ」

2014年3月9日(日)浜田市の石央文化ホールで第2回「石見演劇フェスティバル」が開催されます。「石央地芝居大会」として4年間つづき、昨年から石見演劇フェスティバルと名前を変えて開催されています。

DSC05460昨年につづき、ポスターとチラシの写真は森鴎外!島村抱月!(へへえ!思わず頭が下がりそうです)二人とも石見出身の大家です。鴎外は小説家としては有名ですが、演劇にも大きな功績を残しています。抱月は浜田の出身、日本の新劇の父ともいわれています。

当日の出演団体と演目は次のとおりです。

DSC05459 劇研「空」は13時35分からとなっています。前回は創作劇「石見銀山旅日記」を上演しましたが、今回はは創作朗読劇「海を越えサヒメの山へ」です。石見に伝わる伝承を基に、朗読劇に創作しました。単なる朗読ではなく、次のような特徴があります。

1.7人のキャストが劇形式で役を朗読する。
2.ホリゾント幕へ約20コマの絵を投影する。
3.音響や音楽も挿入して効果的をだす。

2月2日に大田市民会館中ホールでも上演しましたが、台本も更に修正し、音響も工夫、絵もお願いして追加しました。劇にするとたくさん時間や手間や金やかかりますが、この表現スタイルは台本さえあればかなりスムーズに上演まで進みますし、上演場所もどこでも可能です。大田市民会館で見られた人から、学校や幼稚園でやったらいいですね、といわれましたが、それも可能です。朗読者も代役をすれば人数も増減自在です。

今後この形式で郷土の民話や面白い話しを創作してみたいと思っています。そういう意味で今回は劇ではありませんが、見に来られた人の表現活動の参考になれば、と思っています。(ナントナク、ゲキガデキナイ、イイワケニ、キコエマスゾ。)そうですね。

前売り券は千円。どうぞ、どうぞ、いくらでもあります。

 

大田の貴重な「聞き書き集」3冊刊行

2014年1月、「三瓶山とともに」という本が刊行されました。三瓶山国立公園指定50周年記念実行委員会からNPO法人「緑と水の連絡会議」が委託を受けて発行したものです。和田孝夫さんの表紙も素敵で、思わず手にとってみたくなります。
DSC05383 DSC05393時代の変化は激しく70年、80年前のことでも、ある意味では別世界です。この本にもでてきますが、三瓶山はてっぺんまで草原だった、といっても実際に知っている人は少数です。あと20年たてば誰も知っている人はいなくなります。

その時代その時代の記録を残していくことは貴重です。忘れられ、歪められた過去の中に真実があり、人間の知恵や創意工夫によって蘇らすことができるヒントがそこには常にあるからです。
三瓶山1 三瓶山2松岡元気さんが書かれた「コラム」という蘭もあり、三瓶山の歴史や社会状況などを具体的に記録としてまとめておられるのも役に立ちます。

牛の放牧の年度ごとの統計などもあると最高ですが、それは求めすぎですね。聞き書きには聞き書きの長所があります。

ぼくは40年ぐらい前に行恒の自治会館で農事試験場の高橋博士の話を聞きました。「三瓶山と牛の放牧と土壌」の関係です。とても感銘を受け、詩にも書きました。そのときには放牧はされていませんでしたが、その後、今回の編集長でもある高橋泰子さんたちが意欲的に草原を取り戻す活動を開始されました。

NPO法人「緑と水の連絡会議」はとても貴重な活動をしておられるといつも思っています。行政が手を出せないところ、現場では手が届かないところ。接着剤と活性剤になってその盲点を何倍にも生かしておられます。

さて、この本以前に2冊の聞き書き集が出版されています。何か調べるときに役にたつと思いますので紹介しましょう。

この中には我が劇研空の領太君が聞き書きをしています。とても自然な大田弁にまとめています。大田弁の特徴を知るのにもとても役にたちます。今市内にある吉川食堂が明治20年以前頃には、城山から刺鹿へ抜ける街道の小高いところ(二割れ)にあった茶屋だったという。95歳の吉川ヒナ子さんの話しなどとても勉強になります。その道は昔の山陰道ですから、そこに茶屋があったのも頷けます。

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次は石見銀山についての聞き書きです。資料としても記録としてもとても充実しています。大森を愛し、大森のために尽力して来られた錚錚たる人たちの話しをまとめたものですから重みがあります。写真もたくさん載っています。
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石見銀山目次
大森座の写真も出てきます。当時はどこの村でもちょっとした芝居小屋(劇場)があり、村芝居、巡業芝居、映画上映、地域の演劇上演などなど文化の中心でもありました。有馬光栄堂には当時上演した芝居の台本が保存されているとか。いつか見せていただきたいものです。

昭和60年に発行された「久利風土記」には、この大森座が昭和4年頃に久利町へ移転建築されて共栄座となり、昭和30年ころ三瓶グリーンランドへ売却されて移築されたと書かれています。久利の共栄座を知っている人がどのくらいいるでしょうか。グリーンランドには何回も行っていますが、元は大森座だったとは!この歴史をきちんと書こうと思っても書ける人はもういないでしょうね。しかし書き残す価値は十分あります。

先日の日経新聞(2/5)には、中村ブレイスの社長さんが、大正時代の建物を改修して、コンサート、神楽、写真展、絵画展などができるオペラハウスをつくりたい、という記事がでていました。社長さんはきっと大森座で芝居を見られた経験があるのでしょう。ドイツなどで町が果たしている役割をよく見てこられたからでもあるでしょう。

大森では、20~30代を中心に他地域からの移住者が現在70人にも達し、旧大森町のうち2割近くを占める、とその新聞にでています。老朽化し空き屋となった古民家など40軒強を買い取り改修してきた、とも書かれています。大森のために献身される中村さんに、いつも感動します。そういう人がいると過疎の町に住んでいても、夢が広がって

参考までにもう一冊の貴重な本を紹介しましょう。大田市出身の有名な人物を取り上げて読み物としても楽しめるように紹介しています。
https://stagebox.sakura.ne.jp/wp/apoetinohda/2012/02/20/活躍した郷土の人々『大田市人物伝』紹介/