舟入 沼田 誠之館中国大会へ(1)

2011年11月13、14日、51回広島県高校演劇大会が東区民センターで開かれました。2日間で13校が多彩な劇を上演しました。審査の結果、金賞は広島市立舟入高校(県知事賞)、広島市立沼田高校(県教委賞)、県立福山誠之館高校(中国放送賞)が選ばれました。今年は尾道市で11月26、27日に中国大会が開催されます。

 (閉会式で広島県高校演劇協議会会長、塚本修一舟入高等学校長から賞状授与)

3校の劇を舞台風景写真で紹介し簡単に感想を記してみます。残りの10校はそのうちゆっくりしてから紹介します。

市立舟入高校『麦っ子ゲン』中沢啓治作 須崎幸彦脚色

 装置がとても良く工夫されていていろいろな場面に使われました。ゲンが原爆ドームのてっぺんへ登って、「おーい、スズメの卵をとったぞ!」という場面では装置が原爆ドームの頂上にもなり劇を拡げ豊かにしました。その場面になると装置が劇の中で生きてきました。

中沢啓治が漫画を書く場所もよく考えられていて、平台で少し高くして劇全体を見通せる位置に設定し、複雑で濃密なこの劇を貫く視点の役割も果たしていたと思います。劇作りのセンスを感じました。

登場人物は30人、2役3役もありましたがうまくこなしていました。場面もたくさんありますが、それがバラバラにならずしっかりとまとまり統一感があったのは美事でした。(昨年の劇も大変迫力がありましたが統一感に欠けたうらみがありました)

濃密な長いセリフもたくさんあり言葉だけが先行する劇になりがちですが、劇中の動きと言葉が分離せず同時に進行するように創られていました。ややもすると言葉だけの説明が多くなり観客は疲れてくるものですが、そういうことがなく最後まで舞台に観客を引きつける力を持っていました。啓治役、父役など男性がとてもいい味を出していました。今までの舟入とはちょっとカラーが異なる地についた迫力のある劇でした。

市立沼田高校『青い月』黒瀬貴之作

 歌ではじまる楽しいオープニング。軽い身のこなしや自然な笑顔で観客をいっきに舞台へ引きつけました。今までにないメルヘン調の劇でクロセ先生の新しい挑戦を感じました。戦争で広島から疎開してきた2人の少女の話ですが、1人は病気がちで広島へ帰ったために原爆に遭います。悲惨な現実です。それをメルヘンとして受け継いでいくというテーマが最後のシーンで浮かび上がってきました。装置は大小様々な箱だけの抽象舞台でしたが、メルヘン調の劇の時には抵抗はありませんでしたが、原爆など戦争の悲惨な現実を演じる場面ではちょっと違和感がありました。疎開した田舎の装置を作るのは大変でしょうが、一工夫ほしいところでした。舞台が抽象装置で小道具など具体物がないので、ことばが先行してしまう印象が残りました。難しいところです。

福山誠之館高校『昭和みつぱん伝~浅草・橋場二丁目物語~』タカハシ ナオコ作

 登場人物は女性2人だけ。2人だけで観客を最後まで引きつけるのはとても難しいけど脚本が良くできています。前半では途中ではちょっと退屈しましたが、後半になってテーマが立ち上がってきて2人の女性の考えが衝突するあたりから引き締まってきました。

場面は戦前の東京の上流家庭。巴さんはこの家のお嬢さん。勝子さんは使用人。2人は仲がいいのですが、考えは真反対。巴は兄が歌舞伎役者になろうとしているのが許せない。軍人の家だから軍人らしく生きてほしい。戦争に招集されたことを誇りに思っている。勝子はその巴の兄に歌舞伎や落語へ連れていってもらう。戦争が激しくなり、巴の兄は戦死。見合いの相手も学徒動員で戦地へ。東京大空襲。一家は広島へ疎開。原爆投下。歴史に翻弄される人たちの悲劇がつづく。

巴と勝子は友達だけど身分は天と地。そういう関係がもっと出ていたら前半の様々な遊びの場面にも奥行きがでたでしょう。現代の女性の友達という感じでは浅い劇になるし、この劇の面白さがでてこない。装置は大きな部屋を丁寧に作っていました。大変だったろうと思います。

以上3校だけを紹介しましたが、代表にはなれなかったけど素晴らしい劇がありました。福山市立福山中・高等学校の『Piggys Bank』(新宮正一作)や美鈴が丘高校の『青空』(片山稔彦作)尾道学園の『スイッチ』など見応えがありました。そのうち紹介します。

帰りに高速道路を間違えて入り仕方がないので尾道まで行って三次から帰ってきました。4時間以上かかりました。たまには違った風景を見ながら運転しようと考えて、三次から作木を通って江川沿いに狭い道を通りました。いろいろな橋があってすてきでした。何枚か写した橋の一つをどうぞ。紅葉が進むとさらに美事な風景が見られることでしょう。

H23 高校演劇広島県大会上演校

2011年11月13日、14日、東区民センターで第51回広島県高等学校総合演劇大会が開かれます。地区代表の13校が上演します。ヴァラエティに富んだ劇がみられます。時間や上演校、演目を紹介します。無料です。どうぞおいでください。

 これからでかけます。南区西荒神町アークホテル広島。車でいきます。多分迷うことでしょう。広島は何度行っても迷います。市内に入ったら東西南北が不明になります。なんでだろう。今夜は打合会があります。

三刀屋、安来高校に最優秀賞

2011年10月29,30日の2日間、島根県民会館中ホールで第35回島根県高等学校演劇発表大会が開かれました。島根県代表校は三刀屋高校、安来高校に決まり、11月25~27日に尾道市のしまなみ交流館で開かれる49回中国地区高校演劇大会に出場します。舞台風景と7校の劇を簡単に紹介します。

 松江工業高校『正義の味方の作り方』                    八城 悠・作 舞台装置のバランスもよくできていて、男子中心の元気のある劇でした。シャワーのように言葉をしゃべるのですが、発声もよくて言葉もよく分かりました。藤原ケンヤ君は4役以上の大活躍で動作の切れも良く大奮闘でした。映像を使って舞台での表現を拡げる工夫などもよかった。問題は前半でストリーの展開が平板で発展して行かないことや、おもしろいけど底が浅くて物足りないということです。ネット脚本特有の長所と端所とでもいうのでしょうか。10人の部員が精一杯演じていたのは好感が持てました。

 三刀屋高校『ヤマタノオロチ外伝』亀尾佳宏・作               幕開きから観客を引きつけて離さない舞台作りのうまさには感心しました。じつに美事でした。照明、音響、装置、暗転処理、群衆の扱いなど感心しました。そういう点では群を抜いているといえるでしょう。神話に独特の解釈を加えて創作したものですが、オト、オロ、ヤマタをどういう人物として描くか。神話というよく知られた話しだけに、物語りとしての説得力とともに、如何に生きた人物を舞台で創造するか。注文したいところもありますが、作者はいろいろ考えってさらに深みのあるストリーや人物を創り出してくれることでしょう。高校演劇でありながら狭い世界にとどまるのではなく、地域の人達も興味を持ち、普遍的な広がりを持っている劇に仕上がっていることはすばらしいことだと思いました。

 松江商業高校『アネモネ』小笠原 梢                   女性だけの劇ですが皆さん達者な演技で楽しませてくれました。この劇も前半30分近く元気のいい女子三人組のドタバタがつづき、テーマが立ち上がってきません。主題が見えて来ない状態が長く続くと、疲れてきて意識が舞台から離れていきます。佐藤ほのかという女性をもっと早く出して、劇のバックボーン少しでも見せてほしかった。後半は松商の得意な心理劇がよく演じられていました。にぎやかな三人組の女性の扱いはもっと考える必要がありそうです。お客さんにおもしろく見せるのはいいとしても場面は病室です。それなりの配慮がみえないとリアリティが失われます。

松江農林高校『見栄っ張り家族』高場光春・作                写真がないのでパンフレットから紹介します。とても楽しく見ることができました。皆さん良く役を演じていたと思います。最後の最後まで笑わせるとてもおもしろい劇でした。舞台装置もとても良くできていて、色調も申し分なく、また部屋の出入り口を3カ所つくっていましたので、劇が自然に進みました。審査会では全員一致して舞台美術賞をおくることに決まりました。2校しか代表になれないので残念ながら最優秀にはなれませんでしたが、なってもおかしくないい舞台でした。ラストをもう少し工夫したら味が深まったでしょう。

大社高校『生徒総会』畑澤聖悟・作                     一年生が6人、2年生が3人で演じました。初めての人も多かったのですが、無理のない自然な演技で発声もよかった。この劇はやりやすようで、いざやってみると難しい劇ではないかと思います。会話だけで進み、生徒総会前日のリハーサルというあまりおもしろくない(そんなことをする学校があるのかな)場面が劇の場です。制服廃止を提案する潤一郎が劇を引っ張っていくのですが、現在、制服廃止という問題にどれだけ緊迫感があるか、という問題もあります。舞台を左右だけの動きで使うというのも劇を単調にしました。でも一年生中心によくがんばっていました。

 出雲高校『セ・ラ・ヴィ~C’est la vie~』伊藤靖之・作            「難解な現代詩を舞台化したようだ」と幕間や講評でもいいましたが、高度な抽象劇です。美術部員がたくさんの箱を使って何かを表現して行くのですが、積み上げると魔法使いに壊されてしまします。「セラヴィ セラヴィ」です。パンドラの箱も出てきます。開けていくと最後の箱から「希望」がでてきます。箱の崩壊あたりから、東北大震災を意識した劇ではないかと思い始めます。作者は非常に抽象的な舞台で東北震災へのエールを送ったのです。大震災の衝撃を受け、表現者は苦悩しています。劇で何ができるか。詩で何ができるか。出雲高校はこの舞台でしれに応えたのです。とても貴重なことだとおもいます。ヤヨイさんの言葉は歯切れがよくて印象にのこりました。

 安来高校『修学旅行』畑澤聖悟・作                    青森県八戸市の全国大会でトップに選ばれた名作です。ぼくもその席にいたのですが、見終わって控え室へ帰ると、鴻上さんはじめどの審査委員も、これが最優秀だな、という雰囲気でした。名作に取り組むと、いい劇ができる保証はありません。逆にボロが目立つものです。今回の安来の劇は、それぞれの生徒の個性をうまく出して演じていました。それぞれ達者な生徒さんたちで伸び伸びと演じていました。生徒会長のノミヤさんが劇を引っ張っていった感があります。優等生で意志が強い見栄っ張りな生徒を美事に演じて印象に残りました。班長のヒカルさんもがんばっていましたが、対立の中で調整しようとする班長の悩みをもっと出せたら、切れて枕投げが始まる場面がもっと生きてきたでしょう。

ラストで国の名前を挙げるゲームをしますが、今、「カンボジア」や「アフガニスタン」といっても、深い意味を持たないでしょう。時が過ぎればイラクもパキスタンも紛争の国というイメージは無くなります。この劇では大切なキーワードです。どうするか。工夫してほしいところです。

以上走り書き感想でした。劇研空は高校演劇を応援するという目標をもっています。今回石見地区代表がゼロだったのは残念無念ですが、どうしようもありませぬ。大田高校演劇部が無いのも残念です。このブログは大田高校演劇部を応援するために修平さんが立ち上げたものです。フレーフレーおおだ!

明日は大田高校90周年記念行事があります。案内が来ましたので出席します。体育館がどうなっているか楽しみです。

今回の劇、7校ともに一定レベル以上のいい劇でした。皆さん、おつかれさまでした。三刀屋、安来のみなさんさらに工夫して尾道ではいい舞台を見せてください。

 

大田市文化協会『きれんげ』出版

大田市文化協会は『きれんげ』を年3回発行しています。各号は8ページの会報ですが大田市の文化や歴史、文化グループ、人物、俳句、短歌、川柳、詩などを取り上げて格調のある冊子をつくり高い評価を得てきました。1号から50号はすでに合本になって発行され、今回2011年9月、51号~100号の合本が発行されました。大田の文化や歴史を知る上で欠かせない資料です。簡単に紹介しましょう。

 『きれんげ』は7名の編集委員で作成しています。高いレベルの会報をつくることを目指してきました。ある県内の文化人は、「県内で最もレベルが高い会報の一つだと思う。優れた書き手が多いのも特徴だ。」と言っていました。それぞれ立派な人たちで編集委員の見識が紙面に反映されています。

 連載ものが数本あるのも特徴です。大田に来た文化人が大田について書き残した文献を丹念に調べて連載された西村 恿先生の「大田市文学散歩」は貴重な記述です。芥川龍之介、大町桂月、斎藤茂吉、徳富蘆花、岩谷小波、松本清張、岡本かの子、森鴎外と中島範造、中村健吉、駒田信二、杉本苑子、小野十三郎、山口誓子などなど35人にもなります。「本にしてください」と数回言ったことがありますが、残念ながら昨年他界されました。派手なことが嫌いな地味で実直、責任感の強い先生でした。惜しい人を亡くしました。尊敬していた先生でした。

 石見銀山資料館館長、仲野義文さんの「石見銀山あれこれ」は38回つづきましたが、貴重な資料や文献を駆使して書かれたものです。今は藤原雄高さんが引き継いで執筆されています。

「清流」というコラムは菅原龍憲さんが担当され鋭い筆先には定評があります。400字くらいの短文ですが、全国紙にも負けないレベルです。菅原さんはこの欄の文章をまとめて『世をいとうしるし』という本にして京都の本願寺出版社から発行しておられます。300円という手頃な値段です。

 

大田市で活躍している文化人などを取り上げて1ページで紹介している欄も貴重です。

最近では詩を載せる雑誌や会報などは見あたりませんが、編集長の大場 格先生の見識で洲浜昌三さんの詩を73号から連載しています。意外と好評で、感動しました等という声を聞くことがあります。(・・・・・)

 この本は限定出版です。早い者勝ちです。2000円で販売しています。文化協会でも取り扱っていますが、すはまくんも数部抱えて苦闘しています。欲しい人には定価でお送りします。資料として今後生きてくるでしょう。

『その後の耳なし芳一』を楽しむ

2011年10月23日、松江の宍道湖しじみ館で劇団幻影舞台の『その後の耳なし芳一』が上演されました。結成30周年記念公演で、劇団を主宰する清原眞さんの作、演出です。観客を楽しませながらクライマックスでは圧倒的な迫力で迫ってくる力感あふれる舞台でした。

 緞帳が上がる前から張り出し舞台に琵琶が置かれ照明が当たっていました。劇を象徴していて効果的でした。

小泉八雲の『耳なし芳一』では芳一は耳を亡霊の武者にもぎ取られるのですが、有名になって高貴な人たちが琵琶の吟弾を聞きにきて、金品が贈られ裕福になります。そのあとどうなったのか、というのがこの創作劇です。

劇がはじまると杖の音と不規則な足音がつづき、芳市が琵琶を抱えて放浪しています。今は落ちぶれて物乞いをしています。そこへ旅の僧が来て話しかけます。回想場面になり、芳市は遊郭で酒を飲み芸をさせて派手に金をばらまいて得意絶頂です。男の裸踊りなどが次々披露されて、ここまでやるんかい、という感じです。美女の花魁が男だったという落ちまでついていました。楽しませようという場面なのでしょうが、この後の場面がぴしっと引き締まって迫力がありましたので、この場面が突出して記憶に残るということはありませんでしたが、やや違和感がありました。時代は平安末期に設定されていたとおもいますが、この場面は江戸仕立て。それも演出の計算の内だったのでしょうが。

 (暗転時に一枚写させていただきました。もちろんフラッシュなしで密かに)平家の武者が出てきて芳一に琵琶を弾かせようとする場面から舞台は引き締まってきてこの劇の世界を創っていきました。芳市は琵琶を弾かなかったので亡霊の武士から足を切り取られます。冒頭の杖と足音が結びついてきます。

ラストの場面では一場の旅の僧と芳一の場面にもどります。落ちぶれて琵琶も弾かず乞食となりはてた芳一へ、旅の僧が話しかけます。「お前には琵琶しかない。琵琶を弾け」といって励まし多額のお金を与えて立ち去ります。芳一は琵琶を弾き、緞帳が下ります。芳一は若い木村光佑さんが演じていました。しっかり語る時には発声や表現に力感がありました。実際に琵琶を弾いたらもっと迫力があったでしょう。(無茶をいうな。はい。)録音された琵琶の曲は難しい曲が多かったけどもっと間単な曲にして吟詠を入れてもよかったかも。(かってなことをいうな)

舞台装置もよく考えて作られ、雰囲気が十分出ていました。音響は場面によってちょっとちぐはぐな感じを受ける時がありました。和楽と洋楽を使う場合統一感を保のは難しい。僧や武士や寺男などベテランが舞台を引き締めていました。見応えのある劇でした。思うままに感想を書いてみました。

みなさん、おつかれさまでした。創立30周年、おめでとうございます。劇研空

 

北浦正信さん地域開発社会賞受賞

2011年10月8日の山陰中央新報で今年の山陰中央新報社地域社会賞受賞者5名を発表しています。20日には受賞式が行われました。ちょっと紹介させていただきます。実物を読みたい人は10月20号を買ってください。

 それぞれ長い間地域社会へ貢献してこられた尊敬すべき人たちです。その中に45回社会賞を受賞した北浦正信くんが載っています。むかし益田に県立益田工業高校という高校がありました。その時の機械科3期生3年3組の卒業生の一人が北浦くん。なんんと担任がすはましょうぞうくんでした。しょうしんくんおめでとう!

卒業して東京の大手企業に勤めていましたが、好きな写真はずーっと続けていました。会社をやめて写真専門家に。帰郷して写真館を開業するとき、名前をどうするかとくんちゃんと一緒に我が家へ来て相談しながらおおいに語りのみました。写真の腕も立派ですが、今回の受賞は30年近く益田市で少年剣道クラブを指導し、子供たちとヴォランティア活動をしてきたことに対して贈られたものです。

自分の仕事をし家族を養うだけでも立派なことです。その上に30年も子供たちのために尽してきたのですから頭があがりません。都会にでている同級生でこれを読む人がいたらお祝いの手紙でも書いてください。あのクラスは元気が良くとてもまとまった活発なクラスでした。学期毎に文集をだしたり、クラス内駅伝大会やスポーツ大会を開いたり・・・県工の校舎はいまどうなってるんだろう。

2003年には浜田尚くんが48回スポーツ賞を受賞しました。邇摩高校時代も水泳で大活躍しましたが、社会人になってもほぼ毎日水泳の指導をしてきました。先日も会いましたが、毎日指導しているそうです。すごいことです。たかしくんを邇摩高ではたんにんしました。これぞまさに「出藍の誉れ」ですね。

「好きなことをして、人の役に立てて、食えれば最高の人生」といいます。「食える」のは無理にしても、「人の役に立つ」ことは最高の人生です。

第35回島根県高校演劇県大会

2011年10月29、30日の2日間、島根県民会館中ホールで第35回島根県高等学校演劇発表大会が開かれ7校が上演します。入場料は無料です。高校生たちの熱のこもった新鮮な舞台をぜひお楽しみください。

 発表時間や劇の題名は次の通りです。

 創作劇は三刀屋高校の『ヤマタノオロチ外伝』と出雲高校の『セ・ラ・ヴィ』です。三刀屋高校は顧問の亀尾佳宏先生の創作、出雲高校は木下根っ子さん、イトウ先生。二人ともベテランの書き手です。おもしろい舞台になりそうです。安来高校の『修学旅行』と大社高校の『生徒総会』は青森県の畑澤聖悟先生の作品です。7校のうち2本が同一作者というのも珍しい。両方とも全国大会で見ましたがいい作品です。

演劇部は石見地区では浜田高校だけになりました。昨年は浜田高校が石見地区代表で参加しましたが、どうしたのでしょう。残念ですね。演劇部の卒業生は社会人になって地域の演劇や文化の活動を支えていく人材になる例がたくさん見られます。当分演劇部ゼロがつづいています。まだ何年もつづくのでしょうか。大田、邇摩、川本、矢上、江津、浜商、益田、津和野各高校は消えてしまった伝統の火を復活させてほしい。興味のある生徒が2,3人で同好会として認めてもらいスタートするのが第一歩です。そういう生徒さんや先生がいないかな。(いないからつぶされたんじゃないか!)そりゃそうだよね。

今年も講師ということで参加します。大変だけど楽しみです。11月12,13日には広島県大会が広島市東区民センターで開かれ2日間で13校が発表します。昨年の尾道大会につづいて行くことになっています。各校のみなさんがんばってください。

 

 

 

 

 

 

昨年は浜田高校演劇部が石見地区の代表で参加しましたが、今年は名前が見えません。どうしたのでしょう。

Yプロ『ケータイ・クローン』公演11/26

松江市の劇団「Yプロジェクト」が2011年11月26日(土)メテオプラザで創作劇を公演します。作・演出はYプロの坂井陽介さん。ケイタイなしには生きていけない中学生が主人公。現代を考えさせるおもしろい劇になりそうです。

 今回は美保関で公演されますが、次のように来年の公演も決まっています。2012年1月9日 島根県民会館中ホール 14時開演  2012年2月5日 チェリヴァホール 14時開演

前売り券は上のチラシにある電話番号で予約してください。劇研空へ案内がきましたので紹介します。来年の公演にぜひ足を運んでください。

第2回大田の芸術文化振興検討会10/14

10月14日(金)大田市民会館の2階第一会議室で第2回「大田市における芸術・文化振興についての具体化検討会」が19時から開かれます。第1回では多くの人が参加され意見を述べられました。都合がつく人は是非参加してください。大田市教育委員会 大国靖雄教育長の名前で劇研空にも案内が来ています。

 今回は次のようなことを検討すると文書に書いてあります。         「大田市民会館などにおける芸術文化の企画(こどもを対象としたもの、質の高い鑑賞機会、市民型参加など)や文化プロデューサーの育成について検討します。」

第3回では(日にちは未定)「資金、基金の設立、連携、施設、推進体制等について検討することとしております。」と書かれています。かなり具体的な問題を検討する覚悟が覗えます。

9月6日の第1回の会議では約60人近い出席者全員からどんな要望があるか簡潔に書いて提出し、それを分類して説明が行われました。

全国公立文化施設協会で音楽評論家の佐藤克明氏、島根県民会館の柳原博館長の話もあり、それを基に意見を出しました。後半は文化プロデューサーの必要性について話しが集中しました。

アイデアを出し、企画し、交渉し、事務的なことを確実に実行し、ポスターやチラシチケットを手配し販売し、練習場所を確保しあらゆる準備をし、調整し・・・・・未経験者がそれをするのは大変です。失敗したら二度とやりたくない気持ちになります。経験豊富なベテランがいればその人を中心にして進めることができます。そんな人がこの大田にいるか。養成できるか。いるとしたらどこへ所属して活動するか。難問山積ですが今回はそれを打開しようという意気込みが何となく覗えます。

都合がつくメンバーはどうぞ、第2回「大田市における芸術・文化振興についての具体化検討会」(嗚呼いきがきれそう)へ参加し大いに意見を述べてください。

『琴の鳴る浜』馬路公演 その2

10月8日の馬路公演については手短報告しましたが、パンフレットが手に入りましたのでその中に書いたことを紹介します。

音楽と朗読による
創作劇『琴の鳴る浜』  脚本・作詞 洲浜昌三 作曲 長坂行博

守り伝えられた琴姫伝説 
劇研「空」代表 洲浜昌三
琴姫の伝説が生まれた地元の馬路で、『琴の鳴る浜』を上演できるとは思ってもいませんでした。大田市民会館の企画と地元のみなさまのご協力により実現できたことをうれしく思います。
この劇が誕生したのは昭和52年です。当時、邇摩高校演劇部の顧問をしていたとき、琴姫伝説に感銘を受けて『琴の鳴る浜』という脚本を書きました。部員たちは熱心に練習し、地区大会で代表になり、松江で行われた県大会へ出場しました。秋には地元で公演して欲しいと頼まれて、この馬路小学校体育館で上演しました。34年振りに同じ体育館で成長した『琴の鳴る浜』を上演できるとは不思議な縁です。琴姫さんが呼んでくれたのかも知れません。

(上の写真は当時邇摩高校演劇部が上演したときのものです。)

医者であり音楽家としても活躍中の長坂行博先生の作曲という大きな力を得て、元の脚本を大幅に書き換え、合唱指導の伊藤裕子さんはじめ多くのみなさまのご協力により、平成22年3月に創作音楽劇『琴の鳴る浜』を大田市民会館で上演しました。


初演が大変好評でしたので、さらに脚本を手直しして、この3月13日に再演しました。盆踊りのシーンでは地元の琴ヶ浜盆踊り保存会の皆さまや、馬路地区の小学生の皆さんにも出演したいただいて華を添えていただきました。初演にもまして好評でした。「コーラス、演奏、劇が一体となって素晴らしい舞台でした。大田でもこのように洗練された芸術性の高い舞台ができるとは感激です」「大田の誇れる財産です」など観客のアンケートは励みになるものがたくさんありました。これも琴姫さんの力です。


今回の舞台は音楽を中心にした朗読劇用に脚本を直しています。動きはなく言葉だけで物語を展開していきます。言葉の持つ力をどれだけ発揮できるか挑戦です。劇は大がかりですから上演する場所が限られます。しかし朗読劇ならどこでもできます。1人でも2人でも数人でも可能です。
田畑や山林は数年放置しておくと原野にもどります。人の手が加わった田畑や土手や山林には「照り」があります。「照りのある里山」などといいます。「照り」はつやであり光沢であり人の営みであり人の手であり心です。


文化も同様です。放置しておくとゼロになり忘れられてしまいます。800年も前の伝説が今も受け継がれ舞台芸術になってよみがえる。それは守り伝えてこられた皆さんの文化の力です。

朗 読 : 大田市演劇サークル 劇研「空」
山本和之 松本領太 田中安夫 吉川礼子 森山ゆい 田中和子
松本由香里 前田美佳 洲浜昌三
スタッフ(記録など)中村隆美 石橋昇悟

演 奏 : 琴・合原三令 尺八・森山重富 ギター、チェロ・長坂行博           ヴァイオリン・長坂拓巳 キーボード・長坂玲子 シンセサイザー・長坂響子   合唱指揮:伊藤裕子                            合唱:馬路地区小学生13名、大田少年少女合唱団9名、フレンズ彩、サウンドコラージュのみなさん21人のみなさん。照明や音響などは大田市民会館のスタッフと補助員のみなさん。

主催:大田市民会館 馬路まちつくりセンター 大田市文化協会 琴の鳴る浜実行    委員会                                  後援:大田市教育委員会