予定通り5月9日大田市民会館で「朗読で楽しむ郷土の作品」を開きました。出来るだけ大田市で生まれた作品を選ぼうと努力しましたが、適当なものがあまりなくて、『出雲国風土記』と『雪女』を朗読しやすいようにA4に印刷して参加予定者へ事前に郵送しました。
今回は9名参加、関東から大田へ移住して来られた初参加の方は、「初めて出雲神話のことを知り、朗読しました。島根の人はみな知っておられるのですか」と言って感動しておられました。高校生は、「学校では一般的なことは習うけど、郷土の具体的な作品を勉強することはないので、とても勉強になりました」と感想をの述べられました。
郷土に住むぼくらは、一度も原文を読んだこともないのに、なんとなく知っているつもりでいますが、二人の受け止め方はとても新鮮で、この朗読会の意義を改めて考え、少しファイトが出てきました。
朗読テキストは、A4用紙に書き印刷して渡しますので、小説のように長す
ぎても大変ですし、難しすぎたり、面白くなかったり、発見や感動がない作品もつまらない。短編小説、詩、随筆、童話、民話、脚本などがbetterですが、ありふれたものは面白くないので、創作は大歓迎です。郷土からいい作品を創り出したいものです。長年の夢です。
昨年他界された、松江出身の入沢康夫先生は現代詩の大御所といわれていますが、詩集『わが出雲 わが鎮魂』は『出雲国風土記』に基づいて書かれた名作です。いつか、この詩集の朗読をしたい、というのが夢でした。入沢先生の歓迎会で酒席を共にしたとき、「あの詩は難解だといわれ、確かに難解ですが、ぼくは朗読すれば面白いと思っています」と言ったら、なんと!!数日後に、サイン入りの詩集とテープが僕宛に届きました!
テープに録音してあったのは、「交響詩 わが出雲」(諸井誠作曲 入沢康夫詞 合唱・二期会合唱団 管弦楽・NHK交響楽団 指揮・森 正)。聞いて、圧倒されました。
「今は国引き訖へつ と詔りたまひて 意宇社に御杖衝き立てて 意宇 と詔りたまひき 故 意宇 と云う」。この「おゑ」の長い長い引きずった迫力のある表現にも圧倒されました。
入沢先生の「詩とは何か」という考えの一端を、詩集『春の残像』にも引用させていただきました。またいつか島根に帰られたら、と思っていましたが、昨年10月15日に逝去されました。残念です。心よりご冥福をお祈りします。いつか、「交響詩 わが出雲」をみなさんと一緒に聞いてみましょう。