2014年3月16日、雲南市のチェリヴァホールで「ふることぶみ~古事記~」が上演されました。連続2時間半の長丁場でしたが、次々と展開される古事記の世界に引き込まれ、飽きることなく観劇しました。
上の舞台風景は劇が終わった後のフィナーレです。約100人の出演者が歌いながら乱舞する様子も圧巻でした。(キョカナクサツエイキンシ デモコレナラ イイカト カッテニ パチリ スミマセン)
2012年から始まった奈良県大和郡山市と雲南市との演劇交流事業で郡山市から20人、雲南、松江、出雲から約80人が参加して創りあげた舞台です。大田からはるばる雲南まで修平さんの車に乗って6人で出かけました。行った甲斐がありました。
次々と神々が登場し、いろいろな出来事や事件がたくさん出てくる古事記を、どのように整理し解釈し脚本にし演出されるか、興味津々で観劇しました。大和編を見ながら、かなり忠実に舞台化されていたのが印象に残りました。忠実に舞台化すると脈略がなくなりエピソードの陳列になって平板になる可能性がありますが、そうならなかったのは装置が立体的に工夫されていて、それをとてもうまく使っておられたことです。また稗田阿礼を舞台に登場させ、軽妙な進行役・解説者・証言者として、楽しく軽快に役者が演じたことです。音楽も最高でしたね。
大和編はややエピソードの陳列の印象もありましたが(古事記の内容のためでもあります)、出雲編はとても物語性が豊かなこともあり、楽しく観ることが出来ました。ここでも西藤さんが演じた稗田阿礼がとてもいい役目を果たしていました。軽妙な動きと明快な言葉で舞台を引き締め、劇が地に埋没しそうになるのを高みに引き上げ次のエピソードへ軽快に繋いでいました。何カ所か説明調のセリフになっているところがあり、その時は場面や演技の説明になってちょっと泥くさくなりましたが・・・)稗田阿礼を登場させたのは大成功でした。
舞台のみなさんは右上を見ています。何故でしょう。音楽を担当されたサキタハジメさんが二階のギャラリーでお礼のあいさつをしておられるからです。今回の大成功の大きな要因の一つは生演奏の音楽です。池田安友子さんの太鼓やパーカッションも劇を深め、引き締めリードしました。音楽では何度も魂が救われるような安らぎを感じました。音楽は自然に劇の流れに溶け込み、ふと気がつくとその音楽に心が乗せられているのに気がつくのです。
ぼくが事前に関心をもっていた一つは劇のテーマです。場面の並列だけでは劇として物足りないし迫力がありません。数々のエピソードを貫く一本のテーマがどのように表現されるか。簡単ではありませんが注目していました。
大国主命は攻められ出雲の国を譲ります。しかし「大国主命は一度も武力で戦わなかった」と稗田阿礼が語ります。なーるほど、と納得しました。さすがです。
場面がいくつあったのでしょうか。30以上はあったかも知れません。各地に離れて住み仕事を持ち、集まって練習する100人のキャストも大変です。しかも2時間半の劇です。何度も練習し、音楽と合わせ、統一した舞台に創りあげる。気が遠くなりそうです。実行委員の人たちの陰の力も大したものです。おつかれさまでした。