2013年6月16日、大田市民会館中ホールで日和聡子さんの講演会と対談が行われました。大田市文化協会が市の委託を受けて実施している事業で、活躍している大田市関係の出身者を招いて数年前から実施しています。日和さんは美郷町出身ですが、大田高校の卒業生です。
演題は「読むこと・書くこと」、対談は「ふるさとと私」。当日は約80名の聴講者があり、出雲や安来、川本、浜田、江津、などから来られた人もありました。
印象に残ったことを簡単に二つだけ紹介します。
書くとき、子供の頃よく遊んだ、「字隠し」を探り当てるように書く。字隠しとは、土の地面に字を書いて砂をかぶせ、相手は砂を取り除きながら、その字を当てる遊びです。また土器を発掘する時のように、バラバラになっている土器の破片を繋ぎ合わせるような意識で書くという言葉もありました。
「仕掛けをいうことはしない」。方言だと思います。「仕掛けを言うことはしない」という言葉も印象に残りました。
来られた人たちも、この二つのことに印象を受けた人が多かったようです。
対談で、ある文章を朗読し、「なんともいえないユーモアを感じるのですが、日和さんはどう思いますか」と聞くと、「特にユーモアを意識して書いているわけではありません」という答えが返ってきて意外でした。というよりユーモアの「仕掛け」は意識していないということです。結果として生まれてきたユーモアです。これはスゴイな、と思いました。
講演のあとは10分休憩、そのあと洲浜との対談でした。「日和さんの詩や小説の魅力を引き出すためにいろいろ質問しますので気軽に答えてください。40分だから、あっという間に終わると思います」と事前に話しておきました。
日和さんの詩や小説を読んでいる人は、あの難解とも思える個性的な表現の秘密を知りたいはずです。読んだことがない人には、日和さんの作品の一端でも知ってもらわないことには対談での話しが空回りします。時間がもう少しあれば、日和さんの作品をもっと紹介したかったのですが、詩一編と小説の数行だけしか紹介出来ませんでした。しかし紹介したお陰で聞いている人たちは日和さんの文学の特徴が理解できたようでした。
数日後、アンケートを読ませていただきました。多くの人が、大変よかった、よかった、と答えておられました。ほとんどの人が、このような催しがあった方がいい、と答えておられました。
ぼく自身、詩や小説の同人誌の合評会などで文学について議論する機会は多いのですが、この大田では詩や小説の同人誌はありません。しかし文学が好きな人や実際に書いている人がおられることが分かり、うれしく思いました。詩やエッセイや小説などを書いたり感想を述べ合ったりする場が生まれればいいな・・・・。
(「しまね文学館」でも日和さんの紹介をしています。この本は大田では昭和堂書店にあります。直接ぼくへ申し込まれてもお送りします。島根に関わる文人について知るには最適な本です)
文化講演会に関わられたみなさん、そして日和さん、お疲れさまでした。