2012年4月24日、温泉津まちづくりセンターで「温泉津と大久保石見守長安」と題して発表や講談がありました。雲龍氏の笛の演奏、東京八王子大久保長安の会の研究発表、講談師、神田織音さんの講談があり多くの人が聞きに来られました。長安は大人物です。以前から興味があり意識的に本や資料を集めていましたが、今回はとてもいい機会なので参加しました。
長安は関ヶ原の合戦で徳川方が勝利すると家康に任命されて初代の石見銀山奉行として大きな貢献をした人で、家康に信頼され江戸幕府の経済の基礎を固めた人でもあり、大きな業績を残しながら、ある本によると死後墓を暴かれて磔にされ7人の子どもは切腹、親類縁者も処罰されています。密かに莫大な蓄財をしていたというのが定説になっていますが、証拠はなく幕府側が作り上げた「勝った側の歴史」としか思えません。
神田織音さんがどのように長安の死を講談に創作されるかとても興味がありました。生きのいい楽しい語りで観客を惹きつけられました。さーすが、と感心しました。表情も良かった。
最後は長安の死です。どうなるか?
病に伏せた長安を家康が見舞いにきます。長安は、自分は死によって家康の「くにつくり」に貢献したい、といいます。
なーるほど。それで題も「くにづくりの人」だったんだ。実際にくに作りの基礎を築いた人です。題もぴたり、です。でもやっぱり講談だな、と思いました。めでたく義理人情で閉める。
長安が原野に近かった八王子に計画的に作った街はいまも残っているそうです。温泉津では宅地税を無税にして、さびれていた温泉津に人を呼び込み家を建てさせ貿易港として繁栄させました。政治、経済、社会のことがよく分かり、人心をつかむ才能があり、土木や冶金などの科学的な知識もあり、企画力や実行力にも秀でていた人に違いありません。
飛び抜けた力を持つ人物は動乱期には重宝されますが、体制が安定し確実に維持していく場合には邪魔者になるのです。いつか劇や小説にしてみたい衝動に駆られます。
八王子の「大久保長安の会」が作られた資料もいただきました。大田では手に入らない貴重な資料です。ありがとうございました。
平成25年は長安の没後400年とか。八王子では色々な企画を考えておれれるようです。成功を祈ります。