平成23年3月6日、大田市立福波小学校の全児童が出演した創作劇「経家最後の手紙」が鳥取市円護寺の中ノ郷小学校で上演されました。約400人の市民が観劇し大きな拍手を受けました。その舞台を夫婦で観に行かれた鳥取の詩人、手皮小四郎さんが当日のチラシと撮影された写真、日本海新聞を送って来られましたので紹介します。引率で参加された保護者からも、「大成功でした」というメールと写真が届きました。
これは鳥取公演用に作られ、当日入場者に渡されたチラシです。保護者の協力による手作りですが、とても良くできていて感心しました。
これはチラシの裏です。大切なポイントを押さえて簡潔に紹介してあります。吉川経家が切腹する直前に福光の不言城にいる子どもたちに宛てて書いた遺言状の原文と現代語訳を載せてあるのもいいですね。原文には誤字があります。「ひやう二つきはて候まゝ」は「ひやうろう二つきはて」だとおもわれます。「兵糧」です。心の動揺の精でしょうか。子どもにも読めるようにひらがなで書いているところに経家の深い心情を読み取ることができます。
これは鳥取を中心に発行されている日本海新聞に掲載されたものです。新聞のPRも兼ねて紹介させていただきます。 中ノ郷小学校の講堂はとても大きいようです。書き割りのお城が小さく見えます。福波小学校の講堂の倍くらいある感じです。
子どもたちの後ろに建っているのは吉川経家の銅像です。小学校に経家の銅像があるのですから、いかに経家が敬愛され親しまれているかがわかります。上の2枚は保護者から送られてきたものです。
上の写真は鳥取の手皮さんの奥様が写された写真の一枚です。舞台の天井がとても高いのがわかります。ホリゾント幕やバック幕ではなく、とても派手な茶色の幕がつり下がっています。おめでたい式にはいいでしょうが、劇には邪魔ですね。島根ではこんな吊り幕がある学校はないでしょう。舞台の後ろは白いホリゾント幕、その前に黒いバック幕というのが普通です。白はいろいろな映像を写しいろいろな色を染めることができます。黒は無感情、無、なし、の象徴ですから前に立つ人物を邪魔しません。第一講演や式典の時でも目が疲れません。(何を言いたいのだ!)
鳥取の詩人、手皮小四郎さんからは手紙も届きました。個人的な箇所は省略して、この劇に関する主なところだけを紹介させていただきます。さすがは教育者で詩人。深い洞察と的確で示唆に富んだ言葉がたくさんありました。
「~ きょう6日、家内と市内の中ノ郷小学校へ「経家最後の手紙」を観に行きました。感銘深い観劇となりました。 福波小全校児童生徒は、生涯にわたる宝物を共有したと思いました。 ~ 子供たちとその地の未来にかけがえのないものを残されたと思います。これは成そうとして成せるものではなく、時と場と人との、見事な交差が造ったものでした。とにかく児童全員参加が尊いことと思います。 ~ 終わって帰るとき、新聞記者から感想を聞かれて、家内が、歌「お元気ですか、お父さん」の時涙が流れたと言っておりました。 ~ 野田、山縣なども登場して史実に忠実であったこともよかったと思います。ぼくは「山縣長茂覚書」を読んだときのあの臨場感を忘れることができません。以来四百数十年昔の単なる歴史物語ではなくなりました。~ 。」
中四国詩人大会が鳥取で開かれたとき、手皮さんには翌日の市内観光で素晴らしい案内をしていただきました。文学だけではなく歴史にもとても造詣が深い人だと感銘を受けました。いろいろ経家のことや鳥取城のことなどを質問しましたが深く多角的な視点で参考になる話を聞くことができました。
手紙を読んで、ぼくの思いとまったく同じであることがうれしいと同時に、尊敬する人からこのようなありがたい手紙をいただいたことに感謝する次第です。
福光小学校の児童生徒の皆さん、そして引率指導された先生方、保護者のみなさん、おつかれさまでした。
「子供たちとその地の未来にかけがえのないものを残された」貴重な公演でした。