平成23年1月21日、松江の旧県立博物館にある県文化国際課分室で標題の会議が開かれました。島根県に文学館をつくろうという運動は12年前からはじまり今日に至っています。この日の会議では大きな前進が報告されました。それは3月までに、文学資料の収集と保存を検討する検討委員会を立ち上げることが決定したことです。
平成22年10月19日に文学館推進協議会の役員7名が溝口島根県知事に面会し要望書を提出しました。その主な内容は次の通りです。①審議委員会の設置 ②専任職員の配置 ③開設場所の確保
これらの要望に対して溝口知事は①の審議委員会の設置に対して、「検討協議会」の設置を約束されました。その後県の生活環境部長から池野誠代表に「検討協議会」の立ち上げについて相談したいと連絡があり、役員4名が生活環境部長や担当職員と協議しました。
その席で環境部長から平成23年3月までに検討協議会の構成を決定して、来年度から具体的に「収集、保存、展示」の活動について協議を開始したいという見解が示されました。
12月2日の島根県議会本会議で松江市選出の福田正明県議会議員がこの件で質問しておられます。それに対して溝口知事は次のように答弁されました。「島根の歴史・美術・芸能の分野と同様に、島根の文学文芸は大きな地域の財産であり、官民一体となった文学文芸の振興に取り組んでいきたいと考えている。年度内には、検討内容や構成メンバーを決定した上で、官民一体となった検討組織を立ち上げるよう準備を進めていく。」(山陰中央新報12月26日 しまね県議会だより)
(何で急に松江の風景が飛び込んでくるんだ!気分転換?ノーノー。松江大橋の向こうに島根県文学推進協議会が行われた旧県立博物館があるのです。しかしそれは見えません。見えないのに何故だすのだ )
トップが決意を言葉にすると決定的ですね。すぐ具体的に動きはじめます。しかしここに至るまでに12年かかっています。その間、実績を積み上げてPRし県民の理解をえるためにいろいろな活動をしてきました。山陰中央新報の理解と協力で「人物しまね文学館」を長期に連載してもらい本にして出版。現在は「続・人物しまね文学館」を週1回連載中です。今年の11月中旬までに50数名の文学者や文人を取り上げます。資料や作品の展示、入沢康夫氏を招いての講演やシンポジュームも大好評でした。溝口知事も展示を見て回られ講演会にも出席されました。
平成21年2月2日には溝口知事を囲む会が開かれました。「溝口善兵衛島根県知事を囲む島根県文学館構想を考える会拡大例会」(ながーい) 島根の俳句、短歌、川柳、詩、散文、それに学識経験者も参加して知事に県内の文学の様子や要望を話しました。知事はいつものように穏やかな笑顔で聞いておられました。(推進協議会側の出席者は池野、芦田、寺本、石原、高橋、加藤、富田、洲浜、松本、長谷川、高田、小川、寺井、竹谷のみなさんでした)溝口知事は挨拶のなかで要約すれば次のように話されました。「文学館構想は就任早々から聞いている。財政上難しいが支援はしたい。文学館構想は粘り強く進め、県民に関心をもってもらうことが大事である。県立の他の施設のように関心が強くなっていくとうまくいくだろう。」
この運動のスタートは12年前でした。故澄田知事に陳情した時の様子が新聞にでましたので紹介しておきます。
これからどのように発展していくか楽しみです。県内の同人誌や古い文献、貴重な本などをこつこつと収集していけば貴重な文化資源になります。文学全集や専門書たくさんそろえていて家では迷惑がられている人も多いはずです。どのように収集していくかはこれからの問題ですが年月をかけてこつこつと積み上げていくことが大切だと思います。池野さんは、民間の協力が重要になるので文芸協会としても話し合っていきたいといっておられました。
今までほとんどの人がこの財政難の中で実現は不可能だと思っていたはずです。そういうなかで池野会長は夢を実現するために粘り強く先頭に立って引っ張って来られました。また役員の皆さんも何度も会議を開き議論しながら進めてこられました。改めて敬意を表したいと思います。
島根文学館のことがどうなっているのか気にかけている人はたくさんいます。そういう人たちのために近況をまとめてみました。12年で一歩前進しました。その一歩は画期的な一歩です。