『琴の鳴る浜』の舞台評(米山道夫先生)を紹介します

カーテンコール
 創作音楽劇『琴の鳴る浜』はみなさんの協力で無事に終了しました。再演してほしいという声もあちこちで聞きます。先日のある会合では一回だけではもったいないので大田市以外の場所で公演することはできないかという声もでました。また大ホールではなく100~200人くらい入る場所で上演できないかという提案も受けています。そういう要望を実現しさらにいい舞台にするためにも厳しい反省は欠かせません。批評と創造は文学芸術の両輪です。


 そういう意味で『琴の鳴る浜』も高い見識をもっておられるその道のトップに舞台評をお願いしていました。

 米山道夫先生は島根の高校の音楽教員として長年大活躍されました。数多くの作曲もされ、今は出雲芸術アカデミーの学長として出雲市の芸術文化発展の中核となって活躍しておられます。

 3月25日の山陰中央新報の文化欄に舞台評を寄稿していただきましたので紹介させていただきます。米山先生、山陰中央新報に感謝しながら。

舞台評米山道夫

 今回の『琴の鳴る浜』は「音楽劇」と名打っていますが、どちらかといえば劇を主流にしています。それは脚本と演出者の意図したところです。しかしそこに長所も短所も同時に存在しているといえるかもしれません。音楽を主流にしたらラストなどは当然大合唱で終わるべきでしょう。

 普通の音楽劇では劇はもっともっと短いようです。今回の『琴の鳴る浜』では劇の部分が約1時間、音楽の部分が約20分です。音楽を中心に構成したら、劇は30~40分になるでしょう。どっちがいいか。意見は分かれるでしょうが、大いに議論してさらにいい台本にしていきたいものです。

 特に音楽と歌をどこでどのように取り入れるかについては米山先生の舞台評に大いに示唆されるものがあります。

 今回はミュージカル形式は少ししか取り入れませんでした。理由はいろいろありますが、歌って演技できる人が台本執筆当時では予想できなかったからです。

 しかしお琴さんを演じた森山ゆいさんは演技はもちろん歌もすばらしいことが立証されました。米山先生はもっと聞きたかったと手紙に書かれていたほどです。作曲の長坂先生も、ビブラートがなくすーっと素直に声がのびる歌い方はこの劇にはぴったりだ、と練習初期に絶賛されたことがあります。

 子どもたちも一緒になると十分声も通ることが証明されました。村人もソロでなく合唱だったらどうにか歌になりそうです。

 ミュージカル形式を部分的に取り入れてもうまくいきそうです。ぜひいろいろな意見や批評を聞かせて下さい。

 アンケートの結果の一部が19日の反省会で勝部義夫実行委員長から発表されました。公表された数字ですからメモしておいた数字を参加できなかった劇研空のみなさんのために記しておきましょう。

 入場者の半数以上からアンケート用紙が返り、大変よかったと答えた人が380、よかった41、どちらともいえない3、やや不満0、非常に不満0。
 
 劇などが終わってアンケートを書くのは意外と面倒なものです。書こうと思っても会場が明るくなると一緒に立ち上がって出口へ急ぎます。400人以上のお客さまが答えてくださったことは自体、関心の高さを示しています。同時に99%の人がよかった大変よかったに○をされたことに大きな感動や喜びや責任の重大さを感じます。

投稿者:

suhama

1940年、島根県邑智郡邑南町下亀谷生まれ・現在、大田市久利町行恒397在住・早稲田大学教育学部英語英文科卒・邇摩高校、川本高校、大田高校で演劇部を担当、ほぼ毎年創作脚本を執筆。県大会20回、中国大会10回出場(創作脚本賞3度受賞)主な作品「廃校式まで」「それぞれの夏」「母のおくりもの」「星空の卒業式」「僕たちの戦争」「峠の食堂」「また夏がきて」「琴の鳴る浜」「石見銀山旅日記」「吉川経家最後の手紙」「父の宝もの」など。 著作:「洲浜昌三脚本集」(門土社)、「劇作百花」(2,3巻門土社) 詩集「キャンパスの木陰へ」「ひばりよ大地で休め」など。 「邇摩高校60年誌」「川本高校70年誌」「人物しまね文学館」など共著 所属・役職など: 「石見詩人」同人、「島根文藝」会員、大田市演劇サークル劇研「空」代表、島根県文芸協会理事、大田市体育・公園・文化事業団理事、 全国高校演劇協議会顧問、日本劇作家協会会員、季刊「高校演劇」同人、日本詩人クラブ会員、中四国詩人会理事、島根県詩人連合理事長、大田市文化協会理事

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