石央文化ホールで地芝居大会が開かれました。なつかしい芝居や舞踊、そして現代劇など様々な舞台が繰り広げられ楽しい時間をすごしました。上の写真は旭町の劇団どんぐり上演の『命の花』です。練習も行き届き、隙間のないいい芝居で没頭して見ることができました。皆さんとても上手ですね。
チェーホフ作『結婚の申し込み』 岩町功先生の演出で「創作てんからっと」の皆さんの劇です。演技が堂々としていてセリフも決まっていました。
みなさん経験十分な役者ばかりです。登場人物は3人なのに舞台が広ろいので、(中幕を使って狭めてはありましたが)密度が拡散するのは残念です。でも8団体が上演するのですから、装置等に凝るわけにはいかないという事情があるのでやむを得ないのでしょう。
弥栄の「劇団やうね座」、『木曾の弥太っペ』 こどものころよく見たなつかしい芝居でした。ひさしぶりにみましたが、日本人の人情に訴えるものがあります。いま上演する場合には昔のそのままというよりちょっとした新しい視点での演出があれば、なつかしいだけではなく、訴えるものがもっと出てくるかもしれません。
県立大学演劇サークルです。O. Henry作『赤い親分の身代金』暗転が多いげきでしたが若々しい思い切った演出でした。大学生が参加してくれるとはうらやましい!
平成3年に旗揚げしたそうですが、どの役者もきっちりと演じておられて素人と思えない迫力がありました。テーマは古い人情劇ですが、ここまできっちりと演じて隙のない舞台ですと、人情劇の典型としてそれ自体価値がある気がしました。お年寄りの中には涙を流して見る人も多いのではないでしょうか。大田で上演しても喜ばれるでしょう。
今福の「いまふく笑舞会」は舞踊を三舞台、そして『二宮金次郎』を演じて会場を笑わせました。みなさん堂に入っていて舞台が大好きという感じで、お客さんの反応を楽しみながら余裕の演技でした。もうちょっと阿ねない笑いが作れたら凄いと思いますが、でも楽しい舞台でした。
『風雲 赤城山』は山陰久佐松竹座のみなさんで、むかしなつかしい国定忠治を演じられました。大正二年ごろに結成されたそうですから、古い歴史があります。浅太郎は植田節雄さんでした。気持ちがこもっていてよかったですよ。こういう劇は役者の気持ちに隙間があったらいけません。でないと観客の心はすぐに離れます。劇中に何度も何度も離れたらおしまいです。
劇団酔族漢は檜垣友孝さん作『オムニバス 今にとたびの』創作現代劇です。
人情芝居劇の中にこのように抽象的な会話劇があるとなんか自分の観劇能力調整がうまくいきません。友情出演やら同情出演でキャストは成り立っていましたが、みなさん経験者で達者なひとばかりです。
長時間の公演ですからちょっとくたびれましたが、楽しみました。
岩町功先生が、山陰中央新報で、「地芝居は花盛り」「他地方にない質の高さ」というタイトルで今回の公演を書いておられます(2009、7,8)。
なぜ那賀郡や邑智郡に地芝居が今もこんなに残っているのでしょう。なぜでしょう。石見のこの地域には特別な演劇文化があるのでしょうか。
まさか近代演劇の創始者・島村抱月の出身地、とは関係ないでしょうが、もしかしたら何かあるのかもしれませんね。川本でも毎年、地芝居大会を開いています。
なんでだろう?なんでかな?県内で出雲地方や益田地方には多分ないはずです。
調べてみる価値がありそうですね。だれか卒業論文を書いてみてください。
竹内幸夫先生が山陰中央新報に寄稿された劇評です。読みたい人は図書館でどうぞ。
岩町功先生の寄稿です。地芝居の歴史に触れて書かれています。読みたい人は図書館でどうぞ。希望があれば新聞のコピーをお送りします。
舞台上演をやりっ放しではなく、歴史的に源流をたどったり、その舞台の意義や文化的な価値など、広い視野と専門的な視点で批評や課題を書き、記録に残してくれる人は貴重ですね。