バラエティに富んだ楽しい公演です。なつかしい芝居から現代演劇や太鼓演奏まで8団体が10時から終日上演します。7月8日の山陰中央新報文化欄で石央ホールの元館長、岩町功先生が「他地方にない質の高さ」というタイトルで石見の地芝居の歴史や特徴を書いておられます。
戦後地域の青年団活動はとても活発でした。演劇はその中心だったともいえます。戦争中に押しつけられていた一つの価値観が敗戦とともに吹っ飛び、押しつぶされていたものが火山のように吹き出ました。しかし文化や経済の中央集権化やテレビの登場とともに地域の文化は衰退し、地域の演劇はほとんど消滅してしまいました。
中央集中から文化の流れも変わり始め、地域文化へ目が向くようになったのは数年前からのことです。浜田を中心とした石見には「地芝居」が残り、再び復活し、今また「花盛り」を迎えようとしていることは大いに注目すべきことです。
簡単に演目を紹介します。
1.いまふく笑舞会 『二宮金次郎』
2.創作てんからっと 『結婚の申し込み』チェーホフ作
以前の電話では岩町功先生が役者で出演されるはずです。
3.島根県立大学演劇サークル 『赤い親分の身代金』O. Henry作
古和彩音さんが脚色しています。津和野高校の演劇部で大活躍し才能のあ る期待の人です。
4.劇団酔族漢 『オムニバス~いまいとたびの』
役者がそろっています。いつも意欲作を発表しています。
5.劇団どんぐり 『現代劇・命の花』
6.劇団やうね座 『木曾の弥太っぺ』
7.河内神祇太鼓同好会 『神祇太鼓』
8.山陰久佐松竹座 『風雲赤城山』
島根県立大学に演劇サークルが出来たことはすばらしいことです。若い人が自分たちの表現手段を求めそれを地域で発表することは本人たちにもすばらしい経験ですが、地域の人たちにも刺激と勇気を与えてくれます。若者はいつでも生き生きと何かを求めて動いていてほしい。古和さんが脚色し出演するとか。
高校演劇の地区大会、県大会でとても新鮮な舞台を創って久しぶりに津和野高校演劇部の名前を躍動させた中心に古和さんがいました。いまも活躍していることを知って感動します。
2009年7月8日の山陰中央新報です。読みたい人は新聞を買うか図書館で読んでください。
山陰中央新報でなければできないのがこういう第一人者による文化欄の寄稿記事です。ひとつのことを単なる現象ではなく、歴史的にも文化的にもその意義や価値を広く深い視点で正当に評価して多くの人に知らせ、記録に残すことは重大な使命です。
同人雑誌や機関誌が衰退してしまった現在、それができるのは島根では山陰中央新報だけ(!)といっても過言ではないでしょう。
なんか無理をしてるんじゃない?あやしいんじゃない?裏でなにかあるんじゃない?いえいえ、なにもありません。潔白です。われらが大先輩、岩町先生の寄稿に接した喜びから思わず風船の空気が漏れました。
風船の空気?なんだそれ?
追記:岩町先生の大作「評伝 島村抱月」上下巻が刊行されました。一巻が800ページ近くある超大作です。すごい本です。いつか紹介されると思いますが、楽しみです。