平成21年4月18日サンレディ大田で人間国宝 14代酒井田柿右衛門氏の講演がありました。学ぶことが多々ありましたが、「日本の美を支えているのは職人である」という言葉がドシンと胸に響きました。
以下、印象に残った言葉を簡単に記してみます。
・12代は「余白を描け」といった。当時のヨーロッパはアンバランスの美しさを知らなかった。
・鉄で赤い色を作るが、最近の鉄は純粋で色がきれいすぎる。明治以前の鉄には不純物が残っていてそれを使うと深みのあるいい色がだせる。大昔の家などの解体のとき頼んでおいて手に入れるが、最近では難しい。
・昔は有田にはあらゆる分野の職人がいっぱいいて電話して頼むとなんでもできたが、今はいない。
・マイセンは300年前柿右衛門をそっくり真似てものを作った。ドイツでは今でも職人が大切にされている。その点では日本は負けている。
・不器用なひとほど職人に向いている。
・器用な人はその人の個性や好みが出る。
・変な科学が進むと日本の工芸はみな駄目になる。
急用ができてのでここで中止!いそげ!
・日本の伝統美は職人が支えている。正にそうですね。工芸品はもとより建築や庭、和紙、人形、刀剣… 挙げたら全てのものが入ってきます。中小企業の技術者もそうです。
・日本はそういう人たちを大切にして来たか?今後大切にしようとしているか?
・という問いが、ズシンと胸に落ちてきたのです。
・悲しいことですね。派手なものばかりに金をばらまいて何百年という長期的な視野で政治が行われない。子供の出生率の低下に歯止めがかからないーこれも同じことです。長期的な政策がない。
・フランスは出生率が増加している。しっかり政策を立てて、子育てがしやすいように長期間実行して来たからです。
・「ものつくり」に携わる人を最大限優先する(もちろん農業も入る)ー これが国の基本でないといつもふらふらする。株やら投資やらで莫大な儲けをする者を最優先するような政治では道義も廃れ、人間は育たないし、アメリカがハクションすれば即座に重傷。治療費に金をばらまいても国を立て直すことにはならない。
・勝部義夫さんが司会をされ、とてもいい話しを柿右衛門氏から引き出されたのもすばらしいことでした。上の写真で司会をしておられるのが勝部さんですが、今回のためにそうとう陶芸のことを勉強されたことがよくわかりました。さすが元プロの役者です。実にセンスのいい司会振りで、しかも深い内容を引き出し、講演では聞かれなかったこともたくさん知ることができました。