浜田市日脚町の肥後さんが第三詩集を8月20日に発行されました。構えず自然体で今の思いを大切にして言葉にされた作品27編を掲載。すべて手作りです。
肥後さんは大正5年生まれ、90歳。劇研空の「朗読を楽しむ」にも7月に出演していただき元気な姿に接しました。11月の石見詩人合評会でも6時間、詩について話し合いました。
詩集の表紙は今浦敏江さん。古風で懐かしい風情と落ち着きが詩集にぴったりです。
肥後さんの詩には難解な表現はほとんどなく、その時点の思いや回想を実直な言葉で言語的な装飾抜きで表現されているのが特徴です。そのため作者自身の偽りのない心情や思いが直に伝わってきます。
現代詩は私的な日常の叙述ではない。いかに私から距離をとるかが現代詩を成立させる。・・・などという観点からすれば最も遠いのが肥後さんの詩といえます。しかし現代詩のスタイなんか無視し越えた次点で肥後さん自身の詩のスタイルを創りだしているのではないかとぼくは考えています。
詩という表現を通して、「90歳に達した今と、90歳という時点で見えてくる人間や社会や過去」。そこに生まれる詩がとても興味があります。
あとがきで、「わが人生において、詩との出会いが、如何に多くの潤いを与えてくれたことか、今改めて深い感謝の思いに浸っているところです」
とあります。波瀾万丈の人生でいかに詩が生き甲斐を与えてくれたかがわかります。
自分の人生を俯瞰したような冒頭の詩「どん底」を3連だけ紹介しておきます。
何をしても
一人前に届かない
そんな人生が
間もなく終わろうとしている
でも
必死で戦って来た人生であったな
能力相応に頑張ったのであるから
後悔はすまい
突然に襲ってきた悪夢
庭の寒椿が美しく咲いている
そんな時に
最終便が破局とは
なんたることぞ
(以下13連は略)
詩集は自家制。697ー1322 浜田市日脚町218 肥後俊雄まで
修平さま、冒頭の写真の右側が空白ですが、そこを文章で埋めるにはどうすればいいのですか。やってみてください。