平成17年10月26日(水)大田市立久屋小学校の研修会で発表しました。詩の朗読と朗読劇「スーホの白い馬」です。小学生と幼稚園児、先生や保護者、地域の人達が対象で、年齢幅が広くどうなるかと思いましたが、幼稚園児も静かに聞いてくれてみんな感心しました。プログラムとアンケートなどを簡単に紹介します。
久屋小学校のPTA研修部長・郷原さんが同じ職場の松本領太君へ依頼されたこととが発端です。久屋小学校では全校あげて朗読に力をいれていることを「久屋小学校だより」で知っていましたので、朗読をやろうということになりました。研修部長さんとも2度会って打合せをしました。
久屋小学校の体育館の下見にも行き準備をしました。体育館の舞台には照明器具が釣り込んでありびっくりしました。調光もできるのです。そんな小中学校はありません。10年前に体育館を新築したとき、照明の重要性がわかっていた先生がおられたのでしょう。しかし釣り位置が悪いことやバーの上げ下ろしができないために実際には使用されていませんでした。もったいない話です。
費用は3万円弱かりかかりましたが、コードやT型ソケット、カラーフィルターなどを購入し、大田高校からDFやベイビースポットを6台借りて釣り込みました。公演前の夜2日間かかりました。先生やPTA役員の協力もありました。役員のある方が後で「こんなに大変だとは思わなかった」と言われましたが、舞台作りはいつでも大変なのですね。照明では中村隆実さんに苦労を掛けました。10ページの資料用パンフレットもパソコンで作りました。学校で印刷してもらいました。事前に金子みすゞの詞と楽譜、北原白秋の「まつり」も渡しておきました。職員会議で、全校の児童が参加出来るように群読や歌もやって欲しいという要望があったのです。最近は一方的に聞くだけではなく参加型の研修が重要視されているようです。
内容は次の通りです。
1.金子みすゞの詩13編朗読(吉川礼子、山根美江子)
2.みんなで歌おう「わたしと小鳥とすゞと」(ギターで歌唱指導、吉川礼子)
3.詩の朗読5編(山本、山根、松本、吉川、田中、感動的で分かりやすい詩)
4.みんなで群読しよう 北原白秋作「おまつり」
5.朗読劇「スーホの白い馬」(脚色・洲浜昌三、朗読・田中安夫、松本領太、山本和之、山根美江子、照明・中村隆実、音響・吉川礼子、中村学)
司会・解説・洲浜昌三
盛りだくさんなメニューです。小学生や園児が聞いてくれるだろうかと心配でしたが、1時間30分という長い時間だったにもかかわらず、最後まで騒いだり歩いたりする子供はいませんでした。照明で集中させたことやプロジェクターで映像をホリゾントに投影したり(みすゞの写真や故郷、原爆の廃墟など)、みんなで歌ったり、群読したり、また朗読劇ではジェスチャーや動きや音響も取り入れたことがよかったのではないかと思います。
「みんなで歌おう」では子供達が事前に練習していて、すぐに大きな声で一緒に歌ってくれて感動しました。歌唱指導した礼子さんが「びっくり感動」していました。また群読でも子供達みんなが参加して一緒に声を出してくれました。
終わってあとかたづけをしながら校長先生が、「幼稚園児も静かに聞いていてびっくりしました」と言われました。研修部長さんから、「幼稚園児に見せても大丈夫でしょうか」と事前に相談を受け、「大丈夫だと思います」と答えておいたのですが、大きな賭けでもありました。子供に1時間30分は普通忍耐を超える長い時間ですからね。細切れにしてたくさん変化をつけたのもよかったのでしょう。
11月初旬に仁摩小学校で「スーホの白い馬」の朗読をされる仁万の「お話しころりん」の会の人達も来ておられました。
研修部長さんから保護者のアンケートをいただきましたので、一部紹介します。
(研修部へ提出されたものです)
「最高に良かったです。聞いているとその様子とか、今はこんな風だろうなと想像してしまいました。子供達にも、とても良い勉強になったのではないかと思います。また機会があれば鑑賞会を開いてほしいですね。帰ってから姉や兄と北原白秋の「おまつり」をABCDに分かれて何回も何回もやっていました。」
「初めて劇研空を見ました。子供達が静かに聞いている姿に驚きました。最初の詩の朗読は少し退屈するかなと思いましたが。子供達が一緒に参加する群読はおもしろかった。11月の「わくわく発表会」が楽しみになりました。「スーホの白い馬」はひきこまれていきました。とても良かったです。」
「金子みすゞさんやその他の詩の朗読とてもよかったです。普通のあわただしい生活の中で見落としてしまいそうな‘思いや気持ち’、そんな温かい、心がほっとするような言葉の詩の朗読、心がなごみました。こんな詩の世界に込められた気持ちを子供達も感じながら成長して欲しいと思いました。今回の研修とても良かったです。」
「金子みすゞさんのやさしい詩を聞いていると心がなごみました。またステージの上で堂々と読んでおられる姿は子供達にもたくさん学ぶことがあったのではないかと思います。感情のこもった一言一言、また間のとり方など、話し方によって聞く方がこんなにも違うことも気づいたのではないかと思います。「祭り」はみんなでリズムをとりながら楽しんでいました。すごくよかったと思います。いろんな意味で詩の世界を楽しめたのではないでしょうか(子供も親も)。すごく良い公演でした。
「詩の朗読は、その風景が浮かんでくるようでした。とても感情がこもっていて…。朗読劇のほうはこれまたとっても楽しく、わかりやすく、演技もとても上手でした。とってもよい話しでした。スーホが馬を思う気持ち、馬がスーホを思う気持ち、私たちも「思いやりの心」を持たなければと思いました。本当によいものを見せていただきありがとうございました。」
「私は今まで、詩の朗読や朗読劇をTVなどでは見たことがありますが、本物を見たことはありませんでした。言葉の強弱やリズム、間の取り方でこんなにも、みる人を詩や劇の世界にひきつけることができるんだということを感じました。大好きな金子みすゞさんの詩をあんなふうに聞くことができてうれしかったです。子供達にとっても心を豊かにしてくれる有意義な時間だったと思います。」
「同和問題とは少しはなれたお話しだったように思いましたが、金子みすゞさんの詩、劇研空さんの舞台、芸術の秋にピッタリの研修会だったように思いました。久屋小学校以外の方も来られていて、久屋小学校ならではの発表会だったと思いました。金子みすゞさんの詩はよく聞きますが、その生涯を聞いて、つらい人生だったと思いましたが、あのやさしい詩は、どうして?と思わずにはいられませんでした。すばらしい研修会だったと思います。メモを取りながら見ていた私にとって、真っ暗は少々つらかったですけど…。」
一週間後に久利のある高齢者(息子さんと車いすで来ておられた)と話す機会がありましたが、とても感動して、何度も「本当によかった」と涙を流してお礼を言われました。洲浜昌三作「春の風に洗われて」は、子供達がお世話になったひいばあちゃんのことを詩にしたのですが、その人のお母さん(義母)なのです。聞いてわかりやすようにという意図で選んだぼくの父を題材にした「たたききれない肩」では、実際のぼくの晩年の父(故人)を知っておられたので、目に浮かぶようだったと言って涙を流しておられました。
一ヶ月後にその方に会ったら、「春の風に洗われて、たたききれない肩、つとむお前はパーではない、の3つの詩を覚えましたよ」と言われました。これには感動しました。不思議なことですが、山本君のお母さんがこの方の介護で行っておられるのです。そして山本君の母上はぼくが邇摩高校にいたとき担任したのです。ああ、人生って、不思議なものですね。
(管理人さま、写真があったらうまく入れてください。参加した人、見た人、どなたでも感想や反省やコメントや何でも書き込んでください。本当は児童の感想文がれば最高ですが…。分かりやすい詩を選んだとは言え、子供対象の詩ではありませんでしたので、どのように受け止めてくれたか最高に興味があります。今後に大いに参考になることとおもいます。)