9月(11日)「しまね文芸フェスタ2005」が松江の県民会館中ホールで開かれます。開会式の後10:30から1時間半、詩人安水稔和氏の講演があります。演題は「私たちに何が書けるかー言葉の記憶ー」。安水氏は1931年神戸の生まれで神戸大学文学部卒。詩や評論の著書が20冊以上。菅江真澄の研究からの著作も多く詩集「記憶めぐり」で地球賞、「秋山抄」で丸山豊記念現代詩賞、「生きているということ」で土井晩翠賞、「椿崎や見なんとて」で本現代詩歌文学館賞を受賞。講演、著作、ラジオドラマ、作詞など多方面で活躍中です。今回は島根県詩人連合が担当で
安水氏にお願いして松江へきてもらうことになりました。講演は無料で誰でも自由に入場できます。どうぞ聞きにきてください
講演が終わると1時からは短歌、俳句、川柳、詩、散文に分かれて部門別交流会を開きます。詩部門は、自作詩の朗読を中心に安水氏を囲んで詩について意見の交換です。4時ごろ終わると安水氏との懇親会を少人数で予定しています。この分科会も自由に参加できます。
前日の夜には毎年前夜祭と称して講師歓迎会を開きます。去年は益田で80人くらい出席者がありましたが、指名されたので難波利三さんの生まれた村にも関係がある「銀山巻き上げ節」を歌い講師を歓迎しました。難波さんはその歌は知らなかったといって歌詞をメモされました。
PRも兼ねて簡単に歴史を記しておきましょう。文芸に関係のない人は、こんなことが島根県で38年も行われていたのかとびっくりされる、ぼくが思うだけかな、かもしれません。
第一回は昭和43年、「島根県芸術文化祭」という名前でスタート、美術、文芸、芸能の3部門です。文芸部門は詩、短歌、俳句、川柳、散文の5部門で島根県文芸協会を構成し、各部門から2名の運営委員を出して環境生活文化国際課と協力して運営しています。第一回から数えると今年は38回目になり、全国でも先進県です。平成11年から「しまね文芸フェスタ・・」という名前に変わりましたが、38回という歴史の重みは残したいものです。講師も著名な人を呼んでいます。昨年は直木賞作家の難波利三、その前は俳句の金子兜太、・・短歌の尾崎佐永子、現代詩の第一人者入沢康夫、同じく現代詩の新鋭中村不二夫、俳句の鷹羽狩行、小説家の夏樹静子、評論家の篠田一士、小説家の駒田信二など、滅多に島根では話を聞けない人達です。
島根文芸協会では5部門の作品を募集して(今年は8月末〆切)選考し、優秀作品を雑誌「島根文芸」に掲載しています。これも第一回からつづいています。表彰式は毎年11月に行われます。昨年は詩の部門で大田高校の田中さんが金賞を受賞しとても注目されました。十代の受賞などほとんどなかったからです。(日和聡子さんが大田高の時受賞して以来です)若い人が多いに参加して欲しい。切なる願いです。
ぼくは第二回詩の部門で銀賞、第4回は金賞を受賞しました。次の年は思い切って関東大震災の時の朝鮮人虐殺を題材にした作品を出しましたが予想どおり入選しませんでした。入選する作品には傾向がありそれに迎合して作品を書くのが厭になって応募はやめました。やがて詩人連合の役員になってしまい、作品を審査する側になってしまいました。今年も審査の側です。
役があるとこのようなイベントの時に苦労します。大田市には詩の会員は一人もいません。昔も今も。平成12年に大田市民会館でやったときも困りましたが、劇研空のみなさんに詩の朗読、アナウンスを担当してもらいとても印象に残る大会になり助かりました。高齢化して動いてくれる人がいなくなり、出席者が少なくなり、ますます苦労します。役を交替したくても跡をやってくれる人がいない。あああああ。弱音を吐くまいぞ。愚痴を言わずにつくる笑顔が美しい ー それで行くしかない。愚痴を言うも一生、言わぬも一生。同じあほなら・・・・