「詩集や本の紹介・感想」カテゴリーアーカイブ

R5,中尾一郎詩集「猫町Diary」第23回中四国詩人賞

10月21日、広島ガーデンパレスで中四国詩人会大会が開かれました。総会で事業報告、役員改選、事業計画など審議の後、詩人賞の授賞式が行われました。審査委員長を努めた洲浜が経過報告。長津功三郎会長から岡山の中尾一郎さんへ賞状と副賞が授与されました。中尾さん、おめでとうございます。

詩集『猫町diary」は、猫との間に生まれた思いを、肩の力を抜いた自然な言葉で表現した詩で誰でも気楽に読める詩集です。哲学的な思考から生まれた言葉や何気ないユーモアのある詩や深みがあり心を打つ詩もあります。力を抜いたライトヴァースに近い詩には現代性があり親しみが生まれます。「詠嘆の深奥を覗くというより、詠嘆している自己を描くという方法論が作者の独自の視点。片意地はらずに世界そのものをさらりと抜け出すような爽快感に満ちた詩集」「胸にスーッと入ってくる。生き物に対する思いやりがあり楽しい詩集」等々、心に残る読後感、という点で特に高い評価がありました。おめでとうございます。

出版社は土曜美術出版販売,定価2200円。難解だと思って敬遠していた現代詩に、きっと親しみが湧き励まされますよ。

今回で長津会長が退任、岡山の壺坂輝代さんが会長に選任されました。副会長は北村均さんと國友積さん、事務局長だった川辺真さんは理事長と兼務。新たに事務局員とし中尾一郎さん、田尻文子さん、会報は川辺さん、書紀として日笠芙美子さん。また総務理事として池澤、一瀉、菅野、橋本、三好、森崎、吉田、明石、片山さんにお願いすることになりました。各県理事も承認されました。顧問は、長津、岡、高垣、洲浜。来年は高知で大会を予定しています。コロナ禍や高齢化など困難なことが多い時代ですが、二度目になる高知での大会を楽しみにしています。
(HP:中四国詩人会 詩の散歩道 詩集紹介20231025洲浜昌三)

R5,「朗読で楽しむ郷土の民話」約40話より選抜

2023年度は、大田市民会館カルチュアー教室で、「郷土の民話」をみんなで朗読してきました。約40話くらい読んだことになりますが、まだまだたくさんあります。しかし時間も限られていますので、8月2日のカルチュアー教室で、今まで読んだ民話の中から、12回「朗読を楽しむ」(9月30日)に発表する民話を選び,朗読し易いように手を入れ、印刷して冊子にしました。読みたい人があればとどけます。

・たにし息子 ・草鞋の中の石  ・鼻なおし ・兵児かかや
・雷のごちそう・長い名前の子ども・茂ヱ衛門キツネ
・茂右衛門狐 ・尻焼兵左衛門  ・一王・仁王物語
・丹波五反田の石塚       ・三瓶姫逃池物語

できれば、朗読する舞台のスクリーンに絵をプロジェクターで投影したいのですが、残念ながら我がメンバーにはそれができる者がいませぬ。だれかいないかな、と思うのですが、いません。絵が好きな子どもさんでもいいんだけどね。高校の美術部はどうかなと思ってある顧問に話したけど、話しただけ、さあ、どうする。どがしょうかな。こがすりゃどがかな、という人はおらんかな、方言の民話もあるけ、方言がうまく話せる人もほしいな。
(ブログ:詩の散歩道 劇研「空」お知らせ 20230821洲浜昌三

R5,千早茜作『しろがねの葉』&「石見銀山の小説と詩」(『山陰文藝』57号)

「山陰文藝」57号は5月1日に刊行されました。3号続けて短編集説を書きましたが、今回は石見銀山を舞台にした小説『しろがねの葉』が直木賞を受賞、素晴らしい小説でしたので触発されて「石見銀山の小説と詩ー何をどのように描くかー」と題して日頃考えていたことを評論として書きました。日本海新聞と山陰中央新報に紹介されましたので参考までに紹介します。日本海新聞を島根で読む人は少ないかもしれませんが、以前から郷土の同人誌など丁寧に紹介しています。詩を取り上げる新聞は稀になりましたが、同紙は詩を公募して選考し掲載しています。俳句、短歌、川柳は毎週掲載しても詩を載せることはなくなりました。そういう時代なんですね。

「石見銀山の小説と詩ー何をどう描くかー」は7ページありますので、PDFにして紹介します。時間泥棒評論の可能性がありますので、興味がある場合にだけクリックしてくださいTime is money、
Time never comes back again です。
R5,2 エッセイ「石見銀山の小説と詩ー何をどのように描くかー」,『山陰文藝』57号 原稿 11ポイント,22行×25字×2段 jtd

 

興味のある小説、エッセイなどたくさんあります。目次だけ紹介します。

58号の〆切は8月末だそうです。連絡は事務局(松江市外中原町15-1 額 重敏)へどうぞ。参加大歓迎です。
(ブログ:詩の散歩道 地域情報 本の紹介 20230703洲浜昌三)

R5,「朗読で楽しむ郷土の民話」(5/24 報告)

スタートが遅くなったので、今回が、第一回目の市民会館カルチュアー教室です。民話や伝承を印刷した16ページ分の冊子を配布して6人で朗読しました。今回は次の本から転記しました。
「たにし息子」「鼠の浄土」(山口町の大谷千代宝さんの語り)
「鳥井地名の由来」「鳥井の石弩城」「若宮さま」「成ヱ門キツネ」「お松きつね」などを朗読しました。
三瓶山口町の民話は、語り口が出雲弁に近く内容も示唆に富んで面白い展開でした。面白いものは、手を入れて再生したいと思っています。次回は6月7日です。
(ブログ:劇研「空」詩の散歩道  本の紹介 20230627洲浜)

R5,詩集「春の残像」書評「石見から世界と心を見つめる」佐相憲一(「コールサック」97号)

詩集「春の残像」(洲浜昌三著)は2018年12月の出版で、編集を担当して頂いた佐相憲一さんは「コールサック」97号へ書評を執筆されました。身に余る心の籠もった書評です。行間や言葉の背後から目指すべき指針が見えてきます。
この書評を他の手段でも公表させて頂く許可は頂いていたのですが、そのままになっていました。読んでみたいとい声もあり、ここで紹介させて頂きます。
出版後にはたくさん感想や書評を頂き、感謝しています。まだ整理しきれていませんが、貴重な声を大切にまとめて置きたいと思っています。この詩集は「22世紀アート」から電子書籍、Kindle版にもなっています。実験的に試みてみましたが、現実をしっかり学ぶことができました。佐相さん、ありがとうございました。
またいつか西の果て石見大田でカンパーイできればいいですね。
(ブログ:詩の散歩道 本の紹介 20230123洲浜)

R4,令和4年 石見で出版され本など

令和4年もあと5時間ほどで幕を閉じます。劇研「空」は市民会館の「朗読を楽しむ」講座を10数回、1010月1日に第11回「朗読を楽しむ」を開催しました。ささやかな活動ですが、今後どうするか模索中です。

「地域の歴史、文化の発掘と再創造・舞台化」を目標の一つにしている劇研「空」ですが、関係する書物を色々と拝読しました。主なものを紹介します。それぞれ読み応えのある本です。一冊ずつ解説したいところですが、簡単に写真を中心に紹介します。まず大田で出版された本です。「石見銀山研究」2号、資料が大いに役立ちます。「鴨山 私考」(渡邉捷弘著)は石見における柿本人麻呂について過去の説を紹介しつつ私見を述べたもので参考になります。「過疎再生」(松場登美著)は石見銀山生活文化研究所長の松場さんの実体験を書かれたもので、現在注目されているの大森の「人と暮らし」の様子がよくわかります。自然な姿勢に感銘を受けます。「穏日晴朗」は大森へ移住されたプロの写真家・藤井保さんの写真と佐々木寿信さんの短歌などを掲載した味のある本です。「石見銀山物語」(長尾英明著)は、石見銀山ガイドの会で長年活躍中の著者が、その経験から過去の研究や資料を端的にまとめ、石見銀山のことが総合的によく分かるように書かれた本で最新の情報なども豊富です。次は石見地方で出版された出版された本と石見に関係する本です。「日本の田舎を元気にする」、寺本さんは現在全国を相手に大活躍中です。同じ邑智郡の邑南町出身です。共感することが大いにあり、期待しています。「石見の山城」(高屋茂男著)、石見地方のほとんどの城を実際に登って調査し書かれた最新の城情報満載です。
皆さんの活動が具体的に書物になるのはとても貴重ですし、ありがたいことです。大いに参考にさせて頂きます。
(ブログ:劇研「空」詩の散歩道 本の紹介 地域情報20221231洲浜)

R4,「山陰文藝」56号、ー多彩な力作ー

11月1日、「山陰文藝」56号が発行されました。5月、11月、年2回の発行を編集長の額さんは厳守。熱心に作品を集め編集されています。今号は充実した作品も多く、感動した作品も多数あり、読み応えのある充実した号になっています。県内では最も会員が多い伝統のある総合文芸同人誌です。
この号から大田の渡邉さんは短歌と詩、加藤さんはエッセイで参加され個性的で味のある作品を寄せられました。「布都外伝(5)」という題で古代出雲のを舞台にした意欲的な連載小説を書いておられる沢村俊介さんも大田の出身です。「松江藩主 松平斉貴」を書かれた内藤丈二さんの作品はよく調査して書かれた貴重な記録です。短編小説が今回多いのですが、胸を打つ感動的な作品にもたくさん出会いました。

石見地方を舞台にして、詩を小説の中には取り入れ、ユーモアーも生かして生きる喜びや哀しみを描こうとした「坂の上の家」(洲浜作)の出だしの部分を紹介しましょう。
同人会員を募集しています。興味のある人はどうぞ。大歓迎です。生きてきた「喜び苦しみ哀しみ」を文芸という形で記録するのも意義のあることと思います。
「山陰文藝」会員募集についてIMG_20221219_0001

県内の主な書店には、置いてあるはずです(定価1000円)。大田市中央図書館には、古いナンバーが数冊しかありませんでしたが、取り寄せて50号から最近のものを寄贈する予定です。
次号の〆切は2月末です。1月には総会も予定されています。
(ブログ:詩の散歩道 詩集や本の紹介  20221219洲浜)

R4,「島根文芸」55号発行と入選者表彰式

12月10日(土)、松江で今年度の「島根文芸」入選者表彰式が行われました。県民文化祭の文芸部門で毎年俳句、単価、川柳、詩、散文の作品を募集。入選作品を掲載した「島根文芸」も55号になりました。ジュニアー部門の作品集も刊行されました。市町村の図書館や学校には寄贈しています。購入したい人は、県の文化振興室へ問い合あせてください。表紙は県総合美術展で知事賞を受賞された田中作夫さんの写真です。ステキですね。
​写真は詩部門の入賞者表彰です。久しぶりに高校生の新鮮ないい作品が入選しました。高校では高文連の文芸部門で毎年募集し「作品集」を発行しています。いい作品が毎年あります。この島根文芸にも応募してほしい。午後は分科会を開き、詩部門では川辺さんと僕が出席、入選されたみなさんと率直な感想を述べて有意義な時間を持ちました。自分の作品がどのように読まれたかを知るこの会はとても貴重な機会です。今年の応募者は少なかったので、来年はぜひもっと多くの人達の応募を期待しています。
(ブログ:詩の散歩道 本の紹介 県民文化祭 20221217洲浜)

R4,「大田高校百周年記念史誌」完成

2021年(令和3)は、島根県立大田高校創立100周年記念の年でした。普通なら盛大に祝典が開催されるところですが、コロナ禍のため関係者を中心に市民会館で行われたそうです。その重要な記念事業の一つである、「100周年記念史誌」が、2022年8月に完成しました。686ページの労作です。

100年の記録をどのようにまとめるか。大変な仕事です。歴史記録中心では面白くありません。この本では「コラム」というページをたくさん設け、生徒や先生、先輩、部活、学校行事など生きた声を沢山収録してあります。生きた百年史誌です。中心になって執筆されたのは卒業生で母校の教員でもある川上恭介先生や土居先生、柳浦先生。大役、ご苦労さまでした。いい本が出来ました。
演劇部関係やぼくが関係したページを抜き刷りして持参して頂きました。それを何回かに渡って紹介しましょう。先ず、演劇部の「星空の卒業式」です。2ページに渡って紹介されています。とてもうまく紹介されているので、読み応えがあります。

ぼくも「邇摩高等学校史」「川本高60年誌」(共著)を担当しましたが、授業と部活で忙しい上に、資料集めや執筆は大変な仕事でした。それを思うと今回の「100年史誌」執筆、完成に心底より「おつかれさまでした」と言いたいと思います。本当なら「かんぱーい!」と盛大に慰労したいところです。
(ブログ:詩の散歩道 演劇だより 本の紹介  20221112洲浜)

R4, 「何をどのように書くか(小説)」

島根県高等学校文化連盟の文学部門では、長年「小説・随筆コンクール」を実施し、入賞作品を『作品集」として刊行しています。16年間選考に関わってきましたが、短期間に多い時は80編余、普通でも30~40編の作品が集まります。やっと選評も書き終わって担当校の先生へ送りました。俳句、短歌、川柳、詩もすばらしい作品がありますが、新聞などで一度も紹介されたことがないので、関係者しか知らないでしょう。4年分の表紙を紹介します。この中からきっと優れた文筆家が出てくるでしょう。
さて、「小説で何をどのように書くか」今年の島根文芸フェスタ散文部門のテーマでもありますが、平成元年に同じテーマで高文連から依頼されて高校で講演したことがあります。その時の資料の一部を何かの参考になればと思い、紹介します。興味のある人はPDFを開いてみてください。
R1, 講演資料 何をどのように書くか(小説) 20200730

詩でも、小説でも脚本でも短歌でも(なんでもじゃ!)「書く」ということは、「何をどのように書くか」という問に対する答えを求め模索していく長い旅でもあります。参考になればと思い紹介しました。

8,9月は、今年は特に多忙。やっと上記の選考、選評書き、「山陰文藝」の小説26枚、朗読劇「あの夏 校舎は原爆病院だった」、朗読会のテキスト作成、アンソロジーのエッセイ・・・やっとこさ!完了!。これから10月1日の第11回「朗読を楽しむ」の舞台進行プラン、パンフレット作成準備です。
(ブログ:劇研「空」 詩の散歩道 高文連文学部門 本の紹介 20220912洲浜)