『山陰詩人』189号です

巻頭語で田村のり子さんが「原発のある県都松江から」と題して書いています。原発まで10キロ圏内に県都・松江市はあります。30㌔以内には出雲市、雲南市、安来市、米子市、境港市も入ります。安全神話と補助金恩恵で骨の髄まで食い尽くされてていたので、今までは少数の人や団体が抗議するだけで、それを神話の目で冷ややかに冷笑して、あいつらまたやっとら、くらいな神話と補助金感謝の心で横目に見ていたというのがぼくが受ける印象です。これからはきっと流れが変わっていくでしょう。

山陰詩人では(正確には編集者は)以前から原発や中海埋め立てに警告を発してきましたが、今号では数編の東北大震災を受けて書いた作品が掲載されています。詩がタイミングよく社会の出来事に反応するというのは滅多にないことで、えらいしじんは、機会詩なんか詩の堕落だ、と相手にしない傾向がありますが、敏感な反応というのは新鮮ですね。詩人が言葉でどういう反応をするか、僕には期待もあります。それぞれの詩を興味深く読みました。

目次の4ページから15ページが東北大震災に寄せて書かれた詩作品です。熊井三郎さんの深くて迫力のある動的な暗喩はいつものことながら胸に響きます。

次の号は190号で記念特集を編集中だとか、記録を重視してきた山陰詩人はその点でも歴史的な価値があります。たいていの作品は時と共に忘れられていきますが、10年、50年、100年過ぎて時と共に価値がでて来るのは記録です。その時生きていた人の声、うめき、歓び、人の生き様、社会の記録、詩誌の記録… どんな記念号ができるか楽しみです。詳細な年表が出来れば物書き人間には最高の宝になります。

(整理を兼ねて189号の目次を紹介しました。興味のある人の参考になれば望外の喜びです。余分は2冊しかありませんが欲しい人には担定価500円(送料込み)でお送りします)

今号

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